掴もうぜ、◯◯◯◯ボール
異星人は二ヶ月に一度、無料で母星に帰れる制度がある。まぁ、俺には必要ないが。と放置しまくっていた。
「……ん?」
鳴り響く俺のケータイ、おかしい、俺はメールアドレスは教えてあるが電話番号は誰にも教えていない筈なのに。訝しげに画面を見るとそこには《母》の文字があった。
「……もしもし」
『ハリベル元気? もうすぐ帰還制度だけど、お前の事だからどうせ面倒くさがって帰ってこないと思って釘差しに電話したんだけど』
ハリベルとは俺の向こうでの名だ、つまり本名と言う訳である。異星人は通常、その星の現地名を使用する。しない奴もいるが。
「面倒なので帰りません」
『はぁ……お前の事だからそういうと思ったわ』
「流石ママン」
『ここで残念なお知らせがあるんだけど……聞く?』
「何? 話題のイケメン俳優兼歌手なら結構前に結婚した筈だろ?」
『マサハルの話はしてません』
「んじゃ何?」
『……プラムがそっち行った』
「は? 嘘だろ? 嘘だと言って?」
『嘘(じゃない)です』
「なんか副音声で聞こえてきたんだけど? あああ! マジで!? 地球まで追ってくるとかどんだけなんだよあの雌豚ァ!!」
プラムと言うのは、まぁ端的に言ってしまえば俺の姉である。俺が思い出したくもない姉を脳裏に浮かべているとインターホンが鳴り響いた。直感で危険を察知した俺は窓から脱出を試みようとする……が、それは失敗に終わった。
「ハル。ひ さ し ぶ り ぃ」
「ぅぁぁぁ……」
今世紀最大の不幸が俺を襲う。鮮魚超人だとか洗っていない雑巾とは比べものにならない程の不幸だ。
「おかえりはあちらです、お姉様」
「そんな連れないこと言わないでよぉ」
「ジェノサイドにてお母様が貴女をお待ちです、どうぞお帰りを」
「……うるせえ、捥ぐぞ」
「ヒィィァァ!」
「そんな怯えないでよぉ〜」
「すいません、許してくださいなんでもしますから」
「ほう? なんでもするのかぁ」
つい口を滑らしてなんでもすると言ってしまった。これは完璧に俺の落ち度だ。
「取り敢えず、腕一本寄越せ」
「イヤです」
「んじゃ、足一本」
「イヤです」」
「んじゃ、 キ◯タマ一つ」
「ふざけんな! 一昨日再生したばっかなんだぞ!」
「治ってんだろ? いいじゃん」
そう言って目の前の魔神は俺の股間を擦り始めた。なんなんだこいつ、マジでなんなんだ。
「あの? お姉様? お姉様が潰したタマの数覚えてらっしゃる?」
「お前は今までしたトイレの回数を覚えているのか? アホか? 知らんわ」
「あっ、はい」
「取り敢えず右貰うわ」
「」
右を貰うといって目の前の姉のような大魔神は両玉を奪っていった。
俺は楽園を軽く飛び越えて、理想郷に辿り着くことができたのである。
自転車のサドルでコリッと逝きかけたことがあります




