お魚天国? いいえ、汚肴天国です。
「お前か! 惑星ジェノサイドから来た転入生ってのは!」
「あん?」
優雅な昼食を謳歌していると、突然クソ汚い声が俺の脳内を侵食してきた。脳内に響き渡るヌメッとした声につられて食べていた唐揚げが口内で萎びて行くのを感じる。後生臭い。
「俺は、お前の惑星の隣の隣のそのまた隣の惑星から来た有魚徹だ!」
「オエッ! オロロロロロロ」
「うわっ! 汚ねぇ!」
「オエー」
「変なモンでも食ったか?」
「……そのドブに浸かったような声を発するのをやめろ、後臭い」
「いきなり失礼だな!?!!」
「俺は悪くない、お前が悪い。声帯を取れ、風呂に入れ、そして死ね、黒のたこ焼きよりも臭いとかお前生きてる価値ないよ」
「嫌だよ!? てか、初対面で酷いな!?」
コイツ、風呂に入りたくないと言った。人間の義務を果たしていない。歩く公害は須らく死ぬべきだと思う。というか死ね」
「あの、途中から声に出してるんですけど」
「うるさい」
吐いて胃がすっきりしたところで汚声の主を見ようと顔を上げるとそこには魚が二足歩行でこちらを見ていた。多分マグロだ。
「捌くぞ」
「なんで!?」
「とりあえず俺の前に現れるなら声帯を切り落とすか、食卓に並べられてから姿を見せろ」
「食用魚人じゃないです」
「お前なんで生きてんの?」
「死にたくないから生きてるんだよ」
「近い将来にどうせスーパーの鮮魚コーナーに並ぶのに?」
「お前喋る魚食いたいか? 気持ち悪いだろ? いや、俺は別にキモくないぞ……」
目の前のマグロが何か怒って、そして一人悲しみ始めたが如何でもいい。と言うかマグロに人間の手と足がダイレクトに生えてるとかもはやホラー通り越してシュールである。こんな歩く猥褻物は地球人に悪い影響を与えるのでこないで欲しい。そしてあわよくば死んで欲しい」
「また声に出してますが……」
「海に帰って、どうぞ」
「チクショォォォオオオオ!!」
マグロが陸を駆ける。颯爽と何処かへ行ったが後ろ姿もキモかった。
「なんだったんだ、あと吐いた物はちゃんと掃除しろよ……」
仕方がないので俺が掃除した。不幸だ。




