他校に知り合いなんて帰宅部の私には幻想です。
前略、親父様。
今迄私の周りには、俺の玉をを潰して快感に浸る奴、突然人を馬に見立てて騎乗する奴など、頭のおかしい奴らばかりでしたが、それ以上の危機が迫っております。
全身毛むくじゃらのイケメンが目の前でしながら道を塞いでいるのです。
「助けて」
俺の呟きは虚空に溶けて消え──
「ん?」
「黙れ、テクニカルゴリラ。今のはモノローグだ返事すんな」
ゴリラは耳が良かった。
そしてそのイ毛メンは若干の汗を額に滲ませてこちらに近づいてくる。気持ちが悪い。
「いやはや、聞いた通りだよ"三高のバタフライナイフ"晴山くん」
「なにそれ」
「なにって……君の二つ名じゃないか?」
「二つ名とかクソダサいのやめて欲しいんですけど。ところで誰が言い出したんだよソレは」
「人畜無害そうな顔をして言葉の凶器で人を刺しまくっている君にぴったりじゃないか」
「人の話を聞けよ、このインテリチンパンジー」
顔と身体のちぐはぐさに吐き気と笑いが込み上げそうになっているが耐えてそいつの相手をする。正直頭がおかしくなりそうであった。
「今日は君に提案があって会いに来たんだ。聞いてくれるかな?」
「ところでその毛皮暖かそうですね?おいくら万円くらいしたんです?」
「これは地毛だ」
「もう冬だけど今日羽織るには暑くありません?」
「この体毛はコートじゃなくて地毛だ!!」
「さっきからウホウホうるさいんだけど野生の猿でも逃げ出したんですかね?」
「泣いていい?」
毛むくじゃらはその場に崩れ落ちた。ガタイの良さから想像もつかない程のメンタルの弱さだった。
「あのそれでですね? 提案……いえ、お願いがあって貴方様に会いに来たのですよ」
「ほーん? なんでもいいけどさ」
俺は冒頭からの疑問を相手にぶつける。
「お前……俺の知り合い?」
「クッソォォォオ!!!!!」
ゴリラは一匹でも騒がしかった。




