別に怨みはない。恨みなんて微塵もないんだからね!!!!
睡眠時間の足しにもならないクッソ短い冬休みを終えて久しぶりの学校だ。
しかし、冬休みと言うのなら一か月くらい休みをくれ。俺は疲れているんだ。
「ハルくんあけましておめでとう〜」
「あけおめ、ハル」
「アケマシテオメデトウ? なんだそれは? 何かの呪文か?」
「新年の挨拶も知らないのか?」
「そう言えばハルくんが移住してきて1年目だね。 知らないのも当然かな?」
「いや、しかし母星にも新年を祝う言葉くらいある筈ではないか?」
「うーん、いろんな惑星があるからねぇ……」
俺を置いてきぼりにして会話を繰り広げているのは頻尿と貧乳。
と言うか、赤也が俺以外の人と話しているのを初めて見た気がする。コイツ、ちゃんと人と意思疎通が出来たのか。
「ところで話は変わるんだが……」
「ん?」
「いや、そのアケマシテオメデトウと言うのはわかった。わかったんだが、めりーくりすますとは一体なんだ? この前腐る程聞いてな……」
「あー、メリークリスマスな」
「クリスマスの祝い言葉だよ〜、地球の行事の一つでね、恋人同士で過ごす日なんだって〜」
「え、そうなのか?」
「そうだよ〜、テレビでやってたからね」
「そう言えばそんな内容のニュースやら何やらがやってたな……」
「特典ボイスとかいろわけのわからない仕事が急に来たから自分で調べたんだがまさかそんな浮かれた内容だったとは……」
「調べたんならわかんだろ」
赤也が知らなかったような素振りで俺たちに聞き返していた。
「いや、俺が調べた限りでは地球の神の生誕祭と聞いたが……」
「えー、そうなの?」
「なんでも、眷属の散他愚老守を使役して罪人を裁いて回るとか」
「えっ、サンタさんの服が赤いのってもしかして……」
百井は顔を青ざめさせ信じられないといった様子だ。
俺は2人が皆まで言わずとも答えにたどり着いてしまった。地球は恐ろしいところだという思いが強くなる。
「返り血……と言うわけだな?」
「ああ、しかもサンタは良い子の願いをも叶えてくれるらしい」
「何者なんだよサンタ……」
「紅く染まりきったサンタが夜な夜な枕元にプレゼントを置いてくれるとか何とか」
「それって……罪人の首……とか?」
「其処まではわからん。……長く喋ったら用を足したくなった。行ってくる」
「お前ってヤツァいつもそれだな……」
「俺に文句を言うな。俺の膀胱に文句を言え。アッ漏れる」
頻尿がそう言って退散する。そして彼は今日、二度と教室に姿を表すことはなかった。長話で膀胱を酷使し過ぎたとの事だ。メールでその様に言っていた。要らない情報だった。
「本当にあいつはおめでたいな……」




