毎話毎話クソみたいな話を生み出すのはやめろ? うん、言われると思ってた。
「セイヤ……セイヤ……」
「姉ちゃん……どうしたんだよ……先生! セイヤって誰なんですか!?」
「わかりません、昨日病院に運ばれてから譫言でずっとこの言葉を……総司くんは知らないのですか?」
「誰なんだよセイヤ……」
その時インターホンが鳴った。俺は即座に玄関に向かう。
「ちわっす、不在連絡入ってたと思うんだけど」
「はぁ……あっ!」
ドアを開け姿を現したのは目つきの鋭い若い男だった。そいつが言うことを察するに郵便物を届けに来たのだろう。
「ありました!」
「代引きで38円、ホラ」
「でも38円の品物ってなんなんすか?」
「知らんよ」
「でも38円でそんなでかい荷物……」
「いいから、はやく」
「でも」
「セイヤ……セイヤぁ……」
不意に姉の声が聞こえてきた。目の前の男にも聞こえたのだろう。俺の後ろを覗き込んできた。
「……立て替えとくから、サインくれ」
「38円くらい払えるわ!」
「いいからいいから」
「お前同情してんのか」
「いや別に」
即答だった。
「ほらサイン、フルネームで」
「だからなんの品物なんですか」
「知らねぇよ! 俺は上に言われて持ってきたの」
「はぁ」
「お前、早くしてくんない? 俺ジェノサイド星から来てるんだけど」
「何処だよ!」
「地球の右隣の惑星だよ」
「わざわざ地球外から舟に乗って……ここ何処だっけ」
「世田谷」
「ここに来たって訳よ」
なんだこいつは、ふざけているのか?
「わざわざ38円の品物を届けに?」
「そうだよ」
「で、中身は?」
「わかんね」
その時不意に男の携帯が鳴る。男は俺に礼をしてその電話に出た。
「もしもしハルです。え? ああ、そうなんすよ、38円払ってくれなくて。地球ってやばいくらい貧乏なんすね、え? 今度飯食いに? おごりなら行く、はいはい」
「おい、なんの荷物なのか聞け」
「わかったわかった」
「んああ、なんでもないっす。ところで、え? 録画? 実録宇宙美少女図鑑? わかったわかった、んじゃ」
「なんで聞かないの!?」
「まぁまぁ」
「馬鹿なの? 馬鹿! ジェノサイド馬鹿!」
「ほら、38円」
「人の話を聞けや!」
頭が痛くなってきた。なんなんだマジこいつ。
「セイヤ……セイヤ……」
「セイヤって聞き覚えあるな……。ああ、俺のネトゲのハンネだ」
「!?」
「おい! お前! オフ会とかしたか?」
「去年女とサシでしたなぁ……」
「マジか! その時の女はなんて名乗ってた!?」
「確か、モミジ……だったか?」
「おお!? ちょっと来てくれ!」
俺は確信してそいつを家に招き入れ姉の元に連れて行く。コイツがセイヤだ!
「姉ちゃん! セイヤさんが会いに来たぞ!」
「うぅん……?」
「探してた人だろう?」
「誰オマエ……2組の染野くん?」
「知らんわ」
「ぇぇ……」
なんとも言えない空気が辺りを支配した。
「とんだ、早とちりボーイだなお前! 今度は38円用意しておけよ! 俺は録画で忙しいんだ!」
男は、出て行った。
なんとも言えない空気はまだ流れている。
「カズキ……カズキ……」
「だから誰なんだよ!! 」
俺は不在連絡表をその場で破り捨てた。




