リザードマン(蛇人間)VS人類 俺は何人たりとも負けはしない
古の時代。ある1人の神が美しい女性とともにこの地に帝国をつくった。その帝国は3つの巨大な円の運河に囲まれた帝都を持ち、その宮殿はオリハルコンを大量に使われていて美しく輝いていた。金、銀、ミスリル、オリハルコンをはじめとする多くの資源に恵まれ、それでも徳を忘れなかった。帝国民は信心深く、謙虚であった。しかし、時が過ぎ、人々から神性が消えると同時に人間は堕落していった。神に近し存在から単なる知能のある獣になった。富は欲を生み、さらなる欲が生まれた。人々は信心深さが無くなり、物を信じるようになった。
その時、帝国は蛇に飲まれた。
帝国は崩壊し、蛇人間に滅ぼされそうであった時、宮殿のある一室、1人の青年が魔方陣の上に座っていた。
「我が霊魂、肉の戒めから解き放たれよ」
もう、この地に未練はない。大切なものは全てあの悪魔みたいな蛇が壊してしまった。
・・・ 希望は何もない…このままでは私はあの忌まわしき蛇に食われて無駄死にしてしまう。何もせず死にたくはない・・・
青年は自分のつくりだした魔術のなかで究極の術をつかった。
本来は魔術は詠唱は必要としない。
魔術とは魂と脳に魔術式を展開して世界の理に介入し、それを一時的に塗り替えることによって発動する。
だか、詠唱することによって、強力な思念が入り魔術が強くなることもある。
全身が燃えるように熱い。脳に多く存在していた情報がもっと強く、深く刻まれていく。脳ではなく己の魂に刻むことで未来永劫忘れることはないだろう。
だか、これは魂を傷つけているのとたいして変わらない。加減は分からない。初めてのことであり、こんな気狂いみたいなことをするのもたぶん、私しかいないだろう。一つ間違えは魂は永遠に消滅するだろう。狂っているのは承知の上だ。
「これしかもう手がないのだから」
幾千、幾万魔術式が私の周囲に具現し周り始める。
口から血があふれた。熱い、熱い。
冷や汗の代わりに血が毛の穴という穴から滲み出てくる。自分という存在が肉体から解放される快感もあった。何故今までこんな肉体に拘る必要があっただろうか?魂をいじくるときはいつも思っていた。
ついに体が限界をむかえる。
もう物理的に限界だった。自分の血の海に沈みながらも思わずにやけ顔を隠せなかった…誰もそれを見る人はいないが。
魔術士のこの青年は死んだ。そして輪廻転生の後に再びこの地にやってくる。
前世の記憶を強く持ちながら。