脱出と恐怖
俺は、タルスによって切り開かれた道をミリアとともに走っていく。
ミリアは、タルスが行ったあと泣いて今も泣いている。
俺はなんて声をかければいいのかわからなかった。
(元気出せ。俺がいるから。俺も悲しい。)
どれも彼女の心には届かないだろう。
(たった半年の付き合いで何をいえばいいてんだ。)
そんなことを思っていると大道理に出て来た。
大通りは先ほどと違って人が大勢いてモンスターから逃げていた。
人々の中には冒険者や警備の人などがいて彼らがモンスターからみんなを守っていた。
「坊主、早く逃げろ。モンスターの餌になるぞ。」
すぐに俺のことだと分かった。
「ミリアさん、早くいきましょう。」
ただひたすら泣いている彼女の手をひっぱていった。
「やばいぞ。」
「こ、こちに来るなぁぁぁ。」
「私、死にたくない。」
「ママぁー。」
さあざまな声が聞こえる中、急いでガスリ街の外を目指した。
(はやく、はやく、はやく!)
呪文のように心の中で繰り返していた。
走っている途中に信じがたいものが目に写ってきた。
「あ、悪魔…。」
誰からかそんな言葉が漏れた。
目の前にいるのはまさしく悪魔。
黒い肌に羊の顔手足の先には、鋭い爪が生えていた。
いままでのモンスターとはひと味もふた味も違う雰囲気を出していた。
この感情は、そう。絶望だ
(あと少しなのに…。)
タイミングが悪いとしか言いようがなかった。
冒険者たちは急いでほかのモンスターを退治し禍々しい悪魔に立ち向かった。
「いっけー。」
「「「「おおー!」」」」
リーダーらしき人物の一声で冒険者達は悪魔めがけてかけていった。
冒険者たちも人数が多いわけではない15~20程度だ。
しかし、見た目通りで強さは今までのモンスターの 比べ物にならないほど強かった。
悪魔が冒険者たちに向けて手をかざすと黒いエネルギーの塊のようなものを放った。
ドッカァァァァン!
たった、たった一発で冒険者の半分を重傷に追いやってしまった。
かすり傷で済むものも多いが1部は防具までもが半壊状態だった。
どう考えても勝ってこない
みんながそう想い出した。
しかし、俺はそう考えながらもこの稼いでいる時間でどうにかしてみんなを逃がそうと努力した。
「押さないでください。押すと余計遅くなります。」
俺は冷静に正確にみんなに指示していった。
冒険者たちが時間を稼いでから30分たった頃にみんな街の外に出たので、冒険者たちに伝えに行く。
「みんな避難しまし…危ない!」
「えっ。」
冒険者にあの黒いエネルギー弾がとんできた。
俺は考えるよりも早く行動に移した。
スマホを取り出し魔法アプリをタップする。選ぶのは
魔法.(魔方陣:炎)
エネルギー弾に向かって炎を放つ。
ドッカァァァン!
二つがぶつかり合いはじけ飛んだ。
(あのエネルギー弾を弾いた!もしかしたら少しでもダメージを与えられるかもしれない。)
そう思った俺は、三発魔法を繰り出した。
ドカッドカッドカァァァン!
見事に当たった炎からダメージを受けた悪魔の姿があった。
ダメージを受けて怒っているのかパワー全開と言わんばかりにエネルギー弾を最大限まで貯め始めた。
もい一度、今度は数で押し切ろうとしたそんな時に激しいめまいに襲われた。
(クッソ、こんなと、き、に…。)
カズの意識は遠ざかり耳の奥に爆発音が聞こえた。