表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生者の異世界日記  作者: ナガト
序章 転移者
5/43

ダンジョンと冒険者

 

 あれから半年が過ぎた。

 

 俺は、この半年いろいろなものを調べたりしてきた。

 この世界の政治、経済の他に例の魔法についても調べた。

 金は、ルーンと呼ばれていることなどの一般常識も教えてくれた。

 タルスのところに居候してすっかり俺もこの家族の一員になってしまったなぁ。


 すると突然ミリアさんが、


「カズさん、今日の晩ご飯は何がよろしいですか?」


 えっと、なんで俺に聞くの?


「えーっと、タルスに聞いてはどうでしょうか?」

 俺は苦笑いをしながらそう返した。

 するとミリアさんが頬を膨らませて、


「タルスはいつも、なんでもいいばっかりだからつまらないもですもん。」


 俺とタルスは苦笑してしまった。

 確かに、この半年間「なんでもいい。」ばっかりでかわいそうとは思っていた。


「なんでもいいんですか?」


 俺がそう尋ねると


「ええ、私ができるものなら。」


 俺は、少し考えてから提案した。


「じゃあ、ハンバーグが食べたいです。」


 この世界に来て食事でもとの世界の食べ物に近いものがハンバーグだった。

 肉は、どんなものを使っているのかはわからないが…とても美味しかった。

 うん、美味しければいいんだ。


「はい!」

 

 ふふふ。と上機嫌で鼻歌を歌っているミリアさんを見て、

 今日も平和だな。と感じていた。



 食後俺は必ずこの世界の書物を読んでいる。

 物語などで字を学んで、そこからいろいろなものを読んできた。

 

 今日は、モンスターについての本を読んでいる。

 書物によるとモンスターは、迷宮ダンジョンと呼ばれる場所で生まれ、そこに居座るのも居ればダンジョンから出て森に住みそこに生息する動物を絶滅させたりしている。

 モンスターは核というものがありそこを攻撃すると完全に消滅してしまう。

 また、核はポーションの材料になったり、色々と役に立つ。そのため倒したモンスターから核を取り出しギルドに売ることによって生活している人もいる。

 その人たちをみんなこう呼んでいる。


  冒険者…と。


 俺は、この本を読んで、ダンジョンに行きたくなった。

 10歳若返ったからか少し考えが子供っぽくなってしまったのかもしれない。

「わくわくするなぁ~。」

 そんな独り言をつぶやいたそのとき、


 ゴゴゴゴゴゴ!

 地面が、天井が、全てが揺れた。


「なっ、なんなんだ。」


 はじめに声をだしたのはタルスだった。


  キャーーーッ


 外から誰かの叫び声。

 

 外を見るとそこは今までのガリス街じゃなかった。

 空は紫色、割れた地面、崩れた家、そして…


「モ、モンスター。」


 初めて見る、奇怪な生き物に足がすくむ。

 家の中にいる俺達のことはまだ気づいていないみたいだけど見つかるのは時間の問題だろう。


 に、逃げるか。でも三人行動はまずい三人固まるとそれこそ見つかってしまう。

 俺の考えを読んでいたかのようにタルスが、


「俺が、時間を稼ぐお前はミリアを連れて逃げろ!」


 俺は、目を見開いた。

 自分が犠牲になる。彼はそういったのだ。


 「で、でも…それじゃお前が…。」


 俺は動揺の声しか出なかった。

 タルスは真剣な眼差しで俺に


 「ミリアを…俺の妹を頼む。」

 「だ、ダメ。兄さん!」


 いつもタルスと呼んでいたのに素が出てしっまていた。


 「お前、カズの前では大人の女性に見られたいからって。名前で呼んでたじゃないか。」

 「そ、それは。うぅぅ~。」


 妹の初々しい姿を見て顔が緩んだ。

 これがきっと彼の最後の笑顔だろう。

 俺は、なんとなく察してしまった。


 タルスは、何か吹っ切れたような顔をして、


 「じゃぁ頼んだぞ。」


 そう言い残して家から飛び出していった。

 彼はモンスターをおびき寄せている


 そのとき俺は何となく彼が勇敢な冒険者に見えた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ