SS 和樹の誕生日
5月7日より早いですけど投稿します。
キャラ設定で誕生日なんてつけなければよかった。とほほ
今日は、俺の3歳の誕生日だ。
ミリア(母さん)が、ローソクが3本付いたケーキをテーブルまで持ってくる。
誕生日は俺が好きな一日だ。
元の世界でも「好きな日はいつだ?」と聞かれたら、「誕生日!!」と即答していたくらいだ。
まぁ、なんでこんなに好きになったのかは理由がある。
今回はそんな昔話をみんなに聞いてもらいたい。
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元の世界では、俺は三人兄弟の末っ子だった。兄は2つ上で姉は11歳上だ。
なに不自由なく楽しい日々だった。 しかし
ある日、俺が元の世界でまだ6歳の誕生日の日、俺の両親は俺と姉と兄を残して事故で亡くなった。
俺は誕生日が嫌いだった。
俺と兄は19歳の姉が引きっとてくれて。兄弟がバラバラになることはなかった。だけど…。
やはり19歳には二人の子供の面倒を見ることはできなかった。
俺は、姉のところに残ることができたが、兄は叔父夫婦のところにあずけられた。
と言うよりは、半ば強引だったと今では思う。
それからの暮らしは、以前より良くなたと思う。
しかし、俺が10歳になり姉が23歳になった頃から、姉は帰りが遅くなった。
別に遊んできているのではないと当時の俺でも分かっていた。
それからの俺の日常は寂しい日々だった。
学校が唯一寂しくないところだったが、俺はそんなに学校が好きではなかった。
なんでかは分からない。
でもなんとなく学校に残っていると家に誰もいないと思われるのではないか。と思ったのかもしれない。
家に帰っても話す相手も居い。……当たり前か
そんなのを毎日繰り返しているとあっという間に俺は11歳の誕生日が明日に迫っていた。
どうせひとりだ。
そんなことを思いゴールデンウィークを過ごした。
もちろんこの素晴らしき期間も一人だった。
俺の誕生日当日。
俺は、何も期待せずに学校から家に帰った。
ガチャガチャ
ドアはやっぱりしまっている。
少しでも期待した俺が馬鹿だった。
その時の俺の姉に対する評価は最低だった。
鍵を開けドアを開ける。
静かな空間だ。ここは寂しさしかない。
手を洗い俺はリビングに向かった。
パァァン
クラッカーの音が鳴り響いた。
目の前には、笑顔の姉の姿があった。
起きている姉さんの姿を見たのはいつぶりだろう。
いつも自分より早く出て遅く帰ってくるので姉そのものを見るのも久しぶりかもしれない。
「和樹。お誕生日おめでとう。」
笑顔で祝ってくれる姉。
嬉しかった。でも、俺は顔に出さなかった。
出したら負けたみたいで嫌だった。
「うん。」
俺は、素っ気なく返事をした。
そんな返事に姉は心配したのか。
「どうしたの、誰かにかいじめられた?」
「別に。」
姉はいつもこうだ。いつも俺が寂しいのを知っているくせに…。
「ねえ和樹。プレゼント何が欲しい?」
「いらない。」
「遠慮しなくていいのよ。家族なんだから。」
「かぞく?」
「そう、家族。」
俺の中の何かが崩れた気がした。
「だったら。」
「えっ。」
「だったらなんでもっと早く帰ってきてくれないんだよ。」
俺は叫んだ。
「家族ならもっと一緒にいたかった。ご飯食べたかった。遊びたっかた。家族だったら。だったら…。」
俺は叫びながら目から熱い何かが出てくる。
もう止まらなかった。
今までの自分をさらけ出した気分だった。
「そうだね。ごめんね。でも…」
ピンポーン
インターホンの音がした。
「来たみたいだね。」
姉はそう言って玄関に向かった。
玄関を開けて戻ってきた。
「でもね。今日からずっと一緒だから。」
姉と一緒にいたのは4年前に叔父夫婦に引き取られた兄の姿があった。
身長も伸びて少し変わったけど紛れもない兄の姿だった。
「誕生日おめでとう。和樹。」
「今日から、また一緒に住むようになったの。そして、」
姉と兄は顔を見合わせて言った。
「「ずっと一緒だから。」」
俺は涙がでてきた。
ああ、俺のプレゼントはこれだ。
「姉さん。欲しいモノが決まった。」
「なに?」
「家族。」
その言葉を聞いて二人は笑った。
なぜ笑うのか不思議でたまらなかった。
なぜなのか聞くと。
「そうね。じゃあ今日から私たちは本当の家族ね。」
姉は優しく話かけてくれた。
その日から、俺たちは本当の家族になった。
誰よりも、どの家族よりも、明るく、硬い絆で結ばれた家族に。
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とまぁ、そんなことはあって俺は「誕生日」は好きな日なんだ。
後から聞いた話だが
姉に、なぜ帰りが遅かったのか聞くと。
どうやら、兄も一緒に養えると証明するために資金を貯めていたらしい。
そんな優しい姉は今何をしているのだろう。
毎年の誕生日、いつも姉と兄のことを思い出す。
ミリアとケーキを食べていると姉さんを思い出す。
俺の育ての親は、姉さんだからかもしれない。
誕生日は、元の世界と俺を繋いでくれるかけはしのような気がした。
カズ、誕生日おめでとう。
そして、俺誕生日おめでとう。いやぁ、実は誕生日同じにしてたんです。
この話で、カズの優しさはここからくるんだと思いますね。
では、「転生者の異世界日記」をよろしくお願いします。




