番外編 -未知への訪問- 12 戦場跡地で大改造
ええ、ちょっと長めの二週間が経過しました。(いえ、スミマセン……)
という訳で、更新を再開致します。
宣伝:書籍六巻ですが、コミック一巻と同時発売予定です。
問題がなければ、今年の十月末に発売となります。
続報が入り次第また連絡しますので、宜しくお願いします!
超獣は大人しく去って行った。
ヴェルドラに勝てぬと、本能で悟ったようである。
それを見送るでもなく、ヴェルドラ達はバーベキューの後始末をして、移動を再開していた。
その無言の移動の最中、ザザが意を決してヴェルドラに話しかける。
「あ、あの……ヴェルドラ、殿、いや、様? 少しお聞きしたい事が……」
恐る恐るという様子で、ザザがヴェルドラに話しかけた。
「どうしたのだザザよ? いつものふてぶてしい態度はどこに行った?」
「い、いや、まあ……ハハハハハ…………」
乾いた笑いで誤魔化すザザ。
それも仕方ない。
今までの自分の態度を省みるに、ヴェルドラに対してかなり失礼な接し方をしていたと、そう思わざるを得ないからだ。
ヴェルドラはニヤニヤと邪な笑みを浮かべ、そんなザザをからかっている。
かなり性格が悪いが、ヴェルドラなので仕方ない。
何しろヴェルドラは、その本性が邪竜なのだから。
暫くザザで遊んでいたヴェルドラだったが、直ぐに飽きた様子。
「うむ、やはりお前は普通に喋るがいい。堅苦しいだけで、全然面白くない」
「ちょ!? 俺は別にアンタを楽しませようとして喋ってる訳じゃ――あっ!」
「クハハハハ! そうそう、お前はそれが似合っておるわ!」
「今まで本当にスミマセンでした! ヴェルドラ様が本当は凄い人だったなんて思わなくて……」
「ザザよ、お前に様付けで呼ばれると気色悪いから、さん付けにするのだ。だがしかし! 我への敬意は忘れるでないぞ?」
「気色悪いって……一体俺をなんだと……」
「気にするな。ザザはザザだ」
「わかった、わかりましたよ! なんか段々、あの時ヴェルドラさんが格好良く見えたのが勘違いだったんじゃないかと疑わしくなってきましたけどね……」
「クアーーーッハッハッハ! 中々面白い冗談だな、ザザよ!」
そんな感じで、ザザも普段の調子を取り戻した。
ヴェルドラもその方が楽しいらしく、偉そうに振る舞いつつも軽口を許すのだった。
畏れられるよりも仲良くしたい、それがヴェルドラの本音なのだ。
「それで、ヴェルドラさ、さんは何者なんですか?」
ザザが踏み込んで質問した。
この質問には皆も興味があったようで、周囲の大人達全員が聞き耳を立てている。
「うむ、別に秘密ではないのだが、言っても信じないであろう?」
「いやいや、信じますって! だって俺達は既に、超獣を殴って撃退するという、馬鹿げた光景を見せられた後なんですから!」
ザザの言葉に、無言で頷く大人達。
「師匠、本当の事を教えてあげたら? どうせ信じてくれないと思うけど」
「どうせ言っても信じないと、ワレも思います」
ラミリスとベレッタがコッソリと囁き、ヴェルドラもそれに同意した。
信じてもらえてももらえなくても、どっちでも別に構わないと思ったのだ。
「では教えよう。我は異世界からの来訪者、超自然的な力の結晶とでもいおうか……まあ簡単に言えば、暴風を司る竜、だな」
説明が面倒になったのか、ヴェルドラは途中で説明を投げた。
この世界の宗教事情がわからないので、神だ聖霊だと言っても理解されないだろうと思ったのだ。
「ハハハ。神話、ですか?」
「懐かしいな、そう言えば神に祈るなんて行為、ずっと忘れてたぜ」
「都市信仰が生まれてからは、宗教は廃れてしまいましたものね。祈っても助けてなどくれない神よりも、私達の生活を守ってくれる都市の方が信用出来る、と」
そんな感想を述べ合うリンドウやシャルマ達。
ヴェルドラの予想した通り、この世界での宗教観では、超常の存在など信じられてはいないようだった。
「それで、本当は一体……?」
ヴェルドラが冗談を言ったのだろうと判断したザザは、もう一度そう問い直した。
しかしヴェルドラは笑うのみ。
「クハハハハ! 気にするな。我が凄いとだけ知っていれば、それで間違いないであろう!」
それ以上聞いても無駄、そういう事だろうとザザも納得する。
確かに、ヴェルドラが凄いのは間違いない。
どういう原理、どういう技術、どういう性能、その全てが不明であるが、それらは極秘の超技術なのだろうと考えたのだ。
ザザ達の認識は甘いと言わざるを得なかった。
ヴェルドラを、人の枠組みでしか捉えていない。
下手をすれば四甲機将に匹敵するか上回る程の、超高性能の機械化兵である、と認識したのだ。
それは大きな間違いなのだが、この時点でのザザ達がそれに気づく事はなかったのだった。
◇◇◇
暫く歩を進める一行。
宇宙服のように重い防護服は、機動装置の補助があっても速度は出ない。
一時間に進める距離は、せいぜい五キロ程度である。
肉体的疲労は少ないものの、同じ動作の繰り返しによる精神的な疲労が蓄積する。
まして子供達は尚更に、辛そうにしていた。
そんな状況で、カルマン達も申し訳なさそうに言う。
「しかし、なんだな。ヴェルドラ様やベレッタさんがいるから超獣は恐れる必要がないとしても、帝国の奴等に見つかると厄介だな。せめて強化外装があれば、俺達も戦えるんだが……」
「そうですな。小型雷撃機関砲も弾切れですし、我々は外部換装型の機械化兵。本体性能はそこまで高くないですからね」
「それでも戦闘訓練は受けていますし、時間稼ぎくらいは……」
「俺達がミッシェル様より任じられた護送任務なのに、ヴェルドラ様に超獣の警戒まで頼ってしまって……」
だが、そんな事を気にするヴェルドラではなかった。
「気にするな。あの鎧、強化外装というのか? 確かにあれは強かった。だがな、カルマン。強いだけで、面白みがなかったぞ? 意外性がないのだ。初見であったから楽しめたが、二度目であればベレッタの敵ではないだろうな」
「――間違い御座いません。あの程度であれば、十倍の数であったとしても、敵ではないでしょう」
「いやいやいや、確かに俺達はベレッタさんに負けましたが、そこまでの差は……!?」
ベレッタの言葉に、流石にカルマンも言い返した。
だが、ヴェルドラもベレッタの言葉を肯定する。
「いや、カルマンよ。ベレッタが正しいぞ。最初にベレッタがダメージを受けたのは、攻撃の性質が不明だったからだ。知ってしまえば脅威ではない。その程度のモノでしかなかったという事よ」
「ですが、火力だけは高いんですよ? 最強兵器である中性子収束砲まで換装されている、帝国の最新兵器だったんですから!」
「ああ、あれな」
ヴェルドラは頷いた。
確かに、威力だけは高い。
それは認めよう、とヴェルドラも言う。
「だがな、カルマン。あの攻撃武器は砲身が長い上に、発射する直前に微かな起動音がする。あれでは、照射目標点を割り出すなど造作もないぞ?」
「はっ!?」
「照射目標点だ。ベレッタはそれを予測し、その箇所の空間を歪めて攻撃軌道を曲げたのだよ」
何か言いかけて言葉を飲み込むカルマン。
音?
銃身の長さから射線を計算し、着弾点を予測?
タイミングがわかるから、亜光速の攻撃に対処出来ただと!?
言いたい事は色々あったが、それは聞き返すまでもなく答えがわかってしまった。
ベレッタがその通りといわんばかりに頷いていたし、ラミリスもまた、常識よね! という感じに笑っているのを見て。
(なんていう人達だ。意味がわからん。どんな性能をしていたら、そんな事を平然と……)
と、カルマンも驚き呆れたのだった。
そしてその時、何か閃いたようにヴェルドラが口を開いた。
「どうせならカルマンよ、子供達に設計してもらったらどうだ?」
「は? それはどういう意味でしょう?」
「何、簡単な話よ。あの強化外装とやらに、子供達の発想した武器を取り付けるのだよ。ベレッタが壊した機体を回収しておったし、どこぞかに部品さえあれば、修理も可能なのではないか?」
とんでもない事を――とカルマンは思ったが、これに喜んだのは子供達だ。
「やりたい!」
「歩くの疲れた」
「ちょっとだけでいいから休憩したい!」
バーベキューが終わってから半日も経っていないのだが、そんな風に騒ぎ出す。
「ちょ、ちょっとヴェルドラさん! せっかく子供達が頑張って文句も言ってなかったのですから、そんな甘言で子供達に期待させるのは……」
ザザがヴェルドラを諌めるも、ヴェルドラは気にしない。
「期待させるなと言うが、ザザよ。我は本気である! 強化外装の修理をしておくのはついでなのだよ。出来ればな、何か移動用の乗り物を調達出来ないかと思ったのだ」
「それはどういう……?」
「壊れた乗り物でもあれば、ベレッタが修理出来る。そうすれば、早く移動出来るであろう? そろそろ六日経つ。早く目的の拠点とやらに移動しなければ、刻限が来てしまうのだ!」
「刻限? 一体なんの話です?」
刻限と聞いて、ラミリスとベレッタは察する。
そろそろ一週間経つ。
それはつまりリムルが帰還する日が近付くという事を意味し、早く元の世界に戻って証拠隠滅を図らねばならないという事なのだ。
一旦戻って何食わぬ顔で過ごし、折を見てこの世界に戻って来る。
この世界の情報を読み取った今、もう一度この次元に異世界への門を繋ぐのも可能なのだから。
ミッシェルに護衛を約束した以上、それは果たそうとヴェルドラは考えていた。
なるべくなら拠点まで護衛した後に、元の世界に戻りたい。
そうなると、移動速度の上昇を検討する必要があると考えたのである。
最悪の場合、自分の正体を見せて全員を運搬する案まで検討しているヴェルドラ。
だが、それはなるべくなら控えたいと思っていた。
そこで、乗り物を用意する案を思いついたのだ。
「で、どうなのだザザ? 動かせそうな乗り物があり、部品が調達出来そうな場所はあるか?」
ザザは少し思案した。
ヴェルドラに答える気がない以上、聞いても無駄だと悟っている。
乗り物が用意出来るなら素晴らしいが、それは無理だろうとザザは思った。
しかしそんなザザであったが、ベレッタの修理能力の高さは自分の目で見て知っているので、もしかしたら、と期待してしまったのだ。
「確かこの先に、帝国が廃棄した試験場があったはずだ。今は、旧世代の兵器墓場になって――」
「よし、そこに行こう! そこで色々と遊――用意しようではないか!」
勝手に話を纏めるヴェルドラ。
シャルマは苦笑し、リンドウは肩を竦めて。
大人達はやれやれと呆れつつも、信頼の篭った眼差しでヴェルドラ達を見る。
そして子供達は、また休憩――そしてあわよくば美味しい食事――が出来そうだとわかって歓声を上げた。
誰からも反対意見は出ず、こうしてヴェルドラ達は廃棄された試験場へと向かったのである。
◇◇◇
ザザの案内で試験場跡地にやって来て、既に一時間以上。
そこでは、皆が熱心に素材回収に励んでいた。
またまた防護服を脱ぎ、身軽な姿になっている。
言うまでもなく、ヴェルドラがこの周辺の浄化を行ったからだ。
子供達はヴェルドラと地面を睨み、なにやら熱い議論を戦わせている。
大人達が集めてきた部品を検証し、どのように組み込むか意見を出し合っていたのだ。
ベレッタは淡々と修理と改造を行い、それを見てラミリスがイチャモンをつける。
そんな感じで日は落ちていった。
子供達は、破棄された塹壕跡を片付けてそこで睡眠を取っている。
またしてもヴェルドラが周囲を『結界』で隔離したので、久々に防護服を脱いで地面に横たわっての休息であった。
どれだけ性能の良い防護服であろうと、座ったままの睡眠では疲れは取れない。
理論上は完全回復するという話だが、人の精神はそんなに単純に出来てはいないのだ。
子供達だけでなく大人までも、ここ数日の疲れを癒すように泥の様な眠りについていたのだった。
その横で、眠らぬ者達がいる。
ヴェルドラ、ラミリス、ベレッタの三名だ。
ザザ達はいつものように周辺の警戒に出向いており、今はこの三名しか残っていない。
三名は音が漏れ出ぬように気を使いながら、コソコソと何かやっていた。
「ねえねえ、この案がいいんじゃない? この両肩にビーム砲を乗っけてさ、頭の上にも乗っけてさ、胸を開くとそこにもビーム砲が! 最高じゃん? 格好いいじゃん?」
「アホか。そんなにあちこちビーム砲をくっつけても、エンジン出力が足りなくて動かせぬわ! それにな、排熱板と伝導熱線だけでは、発生する熱処理が追いつかぬぞ。それに、そんなにゴチャゴチャ載せても格好悪いではないか!」
「ですがヴェルドラ様、『エンジンを二基搭載出来ないのですか?』という質問をした子がおります。結論としては不可能ではないので、両肩に載せる程度なら実現可能かと」
「ふむ、なるほどな……」
等々。
昼間の内に子供達から集めたアイデアを検証し、実現可能なものがないか検討していたのである。
ラミリスなどは、自分の趣味全開で自らもアイデアを出していた。
子供達が休んでいる夜の内に、移動手段の確保とザザ達の新武装を用意しようと企んでいたのだった。
乗り物は既に用意した。
一台に二百名は乗れる大型輸送バスが五台、ひっそりと完成して整列している。
破壊された戦車群を分解し、壊れていない部品を回収して、それを再利用したのである。
ある程度の構造は既に『解析鑑定』済みであり、試験運転をしなくても問題ないと判定結果を出している。
この世界でも、ヴェルドラ達の能力は優秀なのだ。
主砲である200mm電磁加速砲は取っ払っており、その分車体の安定性と走行性能を向上させていた。
そのお陰で、足回りがキャタピラであるにもかかわらず、その最高速度は実に時速百キロを超えるのだ。
乗り心地も考慮しており、空間拡張により全乗員がゆったりと座れて、横になれる内部スペースが確保されている。
問題となる走行移動距離だが……何しろ搭載されているのは熱核融合エンジンなのだ、車体が壊れぬ限り半永久的に活動可能なのだった。
これがあれば徒歩でチマチマ移動する必要がなくなり、楽に移動出来るというもの。
キャタピラなので、どんな悪路でも問題にならず、明日中には目的地まで到着出来る見込みであった。
そして次に、ザザ達の新武装である。
それをさっきから話し合っていたのだが、これに関しては意見が纏まらない。
ラミリスは、ともかく火力を高めたい。
ヴェルドラは、性能以前に見た目の重要性を説く。
そんな二人の意見をすり合わせるのがベレッタなのだが、そんなベレッタの努力も我侭な二人の前には風前の灯のように儚いものだった。
「もうさ、全身から破壊光線が出るように出来ないワケ?」
「そんな事をしてどうする? 味方をも巻き込むであろうが!」
いがみ合う二人。
ベレッタは疲れていた。
だんだん面倒になり、二人を放置して勝手に修理を開始する。
ベレッタはまず、回収しておいた強化外装の中で比較的損傷の少ないものを取り出し、丁寧に並べていく。
それらを分解し、一体の仮組を行った。
そうしていると……。
「ふむ。やはり実物を見た方がイメージしやすいな」
「そうだね師匠。考えてみればさ、ザザちゃんもコレを扱えるんだよね? だったらさ、いくつか作ってみればいいよね。ビーム兵器をありったけ搭載させてても、指揮官用の砲台として考えればアリなんじゃないかなって思うワケ!」
「一理ある。ベレッタの言うように、エンジンを二基搭載させて出力を向上させても良いしな」
などと言いつつ、いつの間にか口論を止めたヴェルドラとラミリスも見学し始めた。
「まず、主力兵装を何にするのがいいか、それを決めるべきでしょう」
「ほう?」
「ベレッタ、何か意見があるのね?」
ベレッタは頷く。
ベレッタの主観では、ラミリスの意見にも頷ける点があるのだ。
従者は主に似る。
ビバ大艦巨砲主義!
直訳すると、 大艦巨砲主義万歳となる。
大艦巨砲主義とは言うまでもなく、男の浪漫だ。
それに実際の話、浪漫というだけではなくちゃんとした意味もある。運用を間違えなければ、ちゃんとした兵器として活用出来るのだ。
そんな訳でベレッタも、高火力兵装を搭載する事については文句はない。
「まず、中性子収束砲ですが、これはかなりの威力があります。外せません」
「だよね!」
「うむ、それはわかる」
「しかし!」
そこでベレッタは熱を込めて叫ぶ。
「両腕を接続して砲塔とした時点で、『あ、アイツ何かするな!』と、敵に悟らせてしまいます」
「え〜〜〜、なんでさ? 格好良いじゃん!?」
「う、うむ。 我も少し格好いいと思ったが、そこは流石に警戒するわな……」
「その通りです。この際、格好良さは関係ありませんよ、ラミリス様」
「うっ……。わかったわよ。続きをお願い」
はい、とベレッタは頷いた。
そして続きを語る。
「この兵器の場合、撃ってしまえば対策出来ないという自信から、あの様なスタイルになっていたのでしょう。準備にかかる時間も大して必要としませんし、致命的に欠陥品という訳ではありません。ですが、もっと良い案があるのです」
そう言って、ベレッタは地面に図を描きながら説明する。
それは着用型の強化外装ではなく、第二の身体とも呼べる機動身体の概要である。
他にも、今の機械身体の改良案や、新型の強化外装等が描かれていた。
戦闘身体でしか扱えぬ、大出力の火器武装へと換装された強化外装の威容もあった。
流石に全身からビームは撃てないものの、ラミリスの要望をある程度叶えたものとなっていたのである。
「むむっ!?」
「流石よ、ベレッタ。これはアタシの言わんとする思いが、全て詰まった夢の設計図になっているわね!」
いがみ合っていた事など忘れ、二人は食い入るように地面に描かれた設計図を見る。
「なるほど。この新しい機動躯体には、最初から熱核融合炉が心臓部に内蔵されておるのか。確かに、我等の『空間操作』を駆使すれば、空間拡張技術も大幅に向上するであろう。出力不足も補えるというものだな。それに――」
「うんうん! ビーム兵器は外装にしちゃってるんだね! これなら沢山用意出来るし、状況に応じて換装すれば戦術幅も広がるって寸法ね。やるじゃんベレッタ!」
「お褒めに与り、恐悦至極で御座います」
その後、ヴェルドラ達は残っている部品を使って色々と、更に面白い武装が作れないか話し合った。
その議論は白熱し、彼等の悪乗りも合わさって、試作機にはとんでもない魔改造が施されていく。
そして当然の帰結として――
「で、ザザよ。貴様はどれがいい?」
「は? 一体、これは……」
明け方、見回りより戻ったザザ達の前に、恐るべき力を秘めた超兵器の数々が並ぶ事になったのだった。
◇◇◇
誇らし気なラミリス。
遣り遂げた感で一杯のベレッタ。
遠い目をしたザザ。
そして、唖然として立ち尽くすカルマン一行。
キラキラした目でバスや兵器群を眺める子供達。
目が覚めたらバスが出来ていたと語りあい、余りにも非常識過ぎて何を言っているのか自分でも理解出来ない大人達。
そんな者達を見回して、ヴェルドラが高らかに笑う。
「クアーーーッハッハッハ! さあ者共、これに乗ってさっさと出発しようではないか。ザザよ、貴様も呆けてないで、カルマン達と相談してどの武装を扱うか決めておくのだぞ!」
「ちょ、ちょっと待ってくれ! その前に、これは一体どうしたんですか!?」
サラッと流そうとするヴェルドラを引き止め、ザザが説明を求めた。
しかし、それを宥めたのはカルマンだ。
「まあまあ、ザザさんよ。もうそろそろ理解しようや。あの人達には、常識は通用しねーんだよ。認めよう。そして、素直にコイツを使わせてもらおうじゃねーか」
驚きの適応力を見せ、カルマンは用意された兵器群を現実のものとして受け入れた様子。
それにシャルマにリンドウも。
「ヴェルドラ様、これはどのように動かすのかしら?」
「シャルマ様、こういう物に関しては、私の得意とする所です。お任せ下さい!」
「あら、リンドウ。では任せるわね。ヴェルドラ様、本当にありがとうございます。これでより安全で快適に移動出来そうですわね」
と、あっと言う間に馴染んでしまった。
驚くだけ時間の無駄であると割り切り、前向きに生きる事にしたようである。
おいおい、俺だけ置いてけぼりかよ……と、ザザは泣きたくなった。
しかし誰も気にしてくれないので、仕方なしにバスに乗り込む。
「で、ザザよ。新しい機体に脳を移植する覚悟は出来たのか? やはり想定していた通り、この機動躯体と相性がいいのは、貴様とカルマンのみだぞ」
ヴェルドラが言う。
カルマンは現在、ベレッタとラミリスが手術中だった。
一台のバスの二階部が工房兼、兵器置き場になっており、そこでは簡単な手術も行えるようになっていたらしい。
ザザはもう何も言わない。
確かにカルマンの言う通り、ヴェルドラ達の事で思い悩んでも仕方ないと割り切ったのだ。
「それじゃあ、お願いします。俺ももう、仲間を失いたくはないですしね」
結局ザザも、覚悟を決めてそう答えたのだった。
カルマンの手術は一時間もかからずに終わり、続いてザザも手術を行った。
カプセルに収納されている脳部を移して調整を行うだけなので、ラミリスやベレッタにとってはお茶の子さいさいなのだ。
そしてザザの手術も終わり、カルマンの部下達の改良も順調に行われた。
こうしてザザやカルマン達は、戦う為の新たな力を手に入れたのだ。
ザザ――機動躯体。
――主武装:高出力熱線砲。
機動外装S型格闘戦用。
――主武装:中性粒子ビーム砲。※両腕を交差させ前方に突き出して発射する。
――副武装:150mm超電磁加速砲。※外部武装の為、換装可能。
カルマン――機動躯体。
――主武装:高出力熱線砲。
機動外装S型火力戦用。
――主武装:荷電粒子砲。
――主武装:中性子収束砲。
――副武装:中性粒子ビーム砲。※両腕を交差させ前方に突き出して発射する。
計三基の熱核融合炉を備え、相乗効果で一千万kwを超える出力を発揮する。
本体の機動躯体は、ヴェルドラが『解析鑑定』したミッシェルの身体と同等の構造をしている。ただし、出力は遠く及ばなかった。
カルマンの四名の部下達――機械身体・改。
――主武装:なし。
強化外装N型。
――主武装:中性子収束砲。※両腕を合体させて砲台にする。
――主武装:高出力熱線砲。
熱核融合炉を二基搭載し、旧型の三倍以上の三百万kwもの出力を誇る。
全体的に性能が向上し、音速の五倍で飛行可能になっている。




