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天才陰キャJKの脳内実況がうるさすぎて気づいたら学校まるごとデリートしてた

掲載日:2026/01/24

挿絵(By みてみん)

Illust by Gemini (Google)

「はい、そこのモブ。デリート!」


この世はバグだらけのクソゲー。駅のデッキを歩く、名もなき背景モブども。全員の脳内メモリが電卓以下に見える。


キモいとか、ゴミとか、低スペックな語彙力で私をタグ付けしてくる連中。悪いけど、あんたらの思考回路、10年前のガラケー並みに処理落ちしてんだけど。あー、マジで視界がエラーログだらけで鬼うざい。


広瀬ひろせ りん、16歳。埼玉県立志木高校の1年生。


IQ155のギフテッドJK――なんて聞こえはいいけど、実態はただのバグ個体。 現実世界っていう低スペなOSに、私の高機能CPUを無理やりブチ込んだせいで、人生ずっとフリーズしてんだけど。


ここは志木駅東口のデッキ。放課後の夕暮れ。柳瀬川から吹く風が、バクテリアの過剰繁殖による有機物の腐敗臭を運んでくるし。鬼クサい。あー、もう無理。マジで鼻腔のフィルターが限界突破。


今日も足元のタイルのひび割れを無駄にカウント中。この一角だけで428個――あ、私の存在価値と完全一致しちゃって草。超鬼厚メガネの奥で、世界の低すぎる解像度にガチで絶望してるし。


「あっ、いたいた!志木高が誇る陰キャ粗大ゴミ、広瀬じゃん」


鼓膜に突き刺さるのは、超不快な周波数のノイズ。あー、めんど。クラスの一軍とかいう、脳内メモリがファミコン以下の背景どもだ。


『目の前のクソモブが私をド突く確率、100%。私がアスファルトに土下座するまでの所要時間、0.8秒』


案の定、肩をド突かれ、ひび割れたタイルが視界に急接近。膝にクリティカルヒット。うわっ、普通に痛っ……


痛っ……のたった2文字で済む処理を、私の脳内CPUは勝手に複雑化。


『膝への衝撃荷重、推定5000ニュートン。アスファルトの摩擦係数による皮膚組織の損傷率40%』


あー、マジうるさい。IQ155とか、人生っていうクソゲーにおいては、ただのストレージ泥棒。私の高性能マルチタスクが、一瞬の痛みをわざわざ数式にしてフリーズさせてくんだけど。


だる。疲れた。私のニューロン、今すぐ全部デリートしてくんない?


とりあえずイキッてるいじめっ子モブに謝んないと、この不毛なループ終わんないし。100均の安物みたいなアスファルトに、頬をつく。


「あっ、あの…す、すっ…」


はい、出た。私のデフォ設定、秒であやまる口グセ。でも今の私の語彙力、ゴミ箱の空き缶以下。口グセの謝罪すら、喉の奥でヘドロみたいに固まってバグってる。


「何だよ、声も出ねーのか?ガチでキモいんだけど。お前、生きてる意味あんの?」


取り巻きの女子モブが、私の汚れたパーカーを汚物を見るような目で踏んづけた。


はあ?生きてる意味?そんなエモい概念、私に関係ないし。 駐輪場に放置された、誰のか分かんない錆びた自転車の鍵くらいには、どっかにあるんじゃないの。


ああ、人生の効率がマジで無理ゲー。私の肺、光合成できる観葉植物と交換したい。だってCO2を無駄にまき散らす現状より、少しは地球に貢献できるじゃん。


その時、視界の隅から光が割り込んできた。


「やめなよ、みんな。彼女が困ってるじゃないか!」


光の主は、神宮寺じんぐうじ かける。志木高リア充軍団の頂点、完璧超人という名の神様。顔面国宝、成績トップ3、生徒会でサッカー部のエース。駅のデッキを歩けば、モーゼの十戒みたいに道が開く男。


泥まみれの私の前に、キラキラの真っ白なスニーカーが並んだ。


「大丈夫?広瀬さん、びっくりしたよね」


差し出された、白くて綺麗な手。それにセットで付いてくる、保存料と着色料を限界までブチ込んだ、マックのポテトみたいな笑顔。


あー、無理。腐らない代わりに栄養素ゼロな感じ、マジで胃もたれするんだけど。笑顔の筋肉配置が左右対称すぎて、逆にCGのレンダリングミスにしか見えないし。


この男、実在する人間っていうより、バグったAI画像か何かなの?見てるだけで、私の脳内CPUに過度な負荷がかかって草。


ていうか神宮寺……あんたさあ、幼稚園の頃は砂場で作った山を壊されただけで、25mプールが埋まるくらい泣いてたじゃん。


私が志木から引っ越して10年。隣街の朝霞台の向こうで、私が何を学んだか、あんた1ミリも知らないでしょ。その『王子様』っていう過剰包装、はがした中身がスカスカなの、私には全部見えてるんだけど。


「あっ、あの……」


震える指先で、目よりレンズのほうが主役な極厚メガネを押し上げる。視界の歪みの向こうで、神宮寺の顔面座標をミリ単位で解析トレース


はい、完了。私の脳内CPUが、こいつの表情筋の動きを全スキャンして、勝手にエラーログを吐き出す。あー、マジで高性能視覚センサーも考えもの。見たくもない不純物まで、4K以上の高解像度で視界に強制ポップアップされるんだけど。


周囲のアホ女子たちは『マジ天使!』みたいな視線で神宮寺を拝んでる。はあ?何それ、ウケる。


ま、いっか。とにかく今は、この男の顔面から出されてる信号、警告アラートが脳内で鳴り止まないわけ。


「あっ、あの、神宮寺…くん」


低スペなモブ勢をスルーして、神様の耳にだけクリティカルなバグを流し込む。


「そっ、その、笑顔…。右の口角、0.2ミリ…下がって、ます…」


顔を伏せたまま、蚊が鳴くような声で、猛毒を塗った針をブッ刺した。神宮寺の手が、一瞬でフリーズ。


「えっ……広瀬さん?」


「…死相……死のサイン、出て、ます…よ」


彼の鉄仮面に目に見えないヒビが入る。まっ、見逃すわけないじゃん?誰も気づかなくても、私には見えんの。


0.2ミリのズレ。それって、今日の彼が無意識に吐き出した『限界』の座標。完璧超人のエラー。それをスクールカースト最底辺、ゴミの私にハックされたわけ。


神宮寺の瞳、恐怖でわずかに揺らぎが発生。


「…しっ、失礼、します…」


差し出された『王子様の救済』をフルシカト。音速でエスケープ。背後で神宮寺が自分の頬をペタペタ触ってる。システムが完全フリーズして、オブジェクト化してる気配。


ふん。あんたの笑顔、解像度が低すぎてドット絵に見えるし。その偽物の光で、いつまで自分を騙せるか、せいぜい頑張れば?


私はゴミ箱の中から、あんたの神様ごっこが崩壊する瞬間を、特等席で眺めててあげる。


あー、駅からの夕焼けが、酸化した血液みたい。


10年前のバカみたいに遠いあの日。いじめられて泣きじゃくる王子様を助けた、私の右拳。そのログデータが、なぜか今さら熱を持ってロードされてんだけど。


あー、何なのこれ?マジうざい。10年前のキャッシュくらい、さっさとデリートしてくんない?


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


志木高校の文化祭、通称・志高祭。


文化祭?あー、低スペな背景どもが、脳内メモリを無駄遣いしてCO2を撒き散らすバグイベントのことね。


無意味な熱狂で地球の寿命をゴリゴリ削るとか、ガチで計算合わなすぎて草。私の高機能CPU、その不毛なパケット処理だけでオーバーヒートしそうなんだけど。


「おい、キモ広瀬!ボサッとしてねーで、ゴミ箱の袋かえてこいよ」


おなクラの実行委員モブが、私の机を蹴りながら命令してくる。脳内CPUのクロック数が、たぶん原始人並みのクソ野郎。


はいはい、了解しました、ご主人様。私の脳内では、あんたの不規則な歩行パターンから、5年後の健康被害リスクまで算出済みだから。せいぜい今のうちに調子に乗ってな。


だけど現実の私は、ただの便利使いされる背景モブ。パシリっていう名の無理ゲーを、淡々とこなすだけ。


「あっ、あの…、はい…。すみません…」


いつもの口グセが勝手にロードされる。


教室の過疎エリアから、掃除用具入れのゴミ袋を回収。私のパーソナルスペース、ゴミ箱の隣が一番落ち着くとか、マジで人生のデバッグ案件なんだけど。


文化祭仕様の廊下、安っぽい焼きそばの死臭と無駄なエネルギーが充満中。あー、この不純物だらけの空気、1ミリ吸うだけで脳内メモリが汚染。


もー、効率がガチでゴミ。この熱量を発電に回せば、志木市の街灯くらい一晩中灯せるでしょうが。不毛な妄想をしながら、体育館裏のゴミ集積所で袋をしばる。


「きゃぁぁぁあぁぁー!!!」


ステージの方向から、鼓膜を物理的に破壊しにくる熱狂的ノイズ。まあ、見なくてもわかるけどさ。どうせ神宮寺の神様パフォーマンスが始まったんでしょ。


「みんな、今日は最高の思い出にしよう!」


スピーカー越しでもわかる、完璧な調律。でも、駅前で私が刺した猛毒は、確実に彼のシステムを侵食してるはず。


ねえ、神宮寺。あんた昨日の夜、鏡の前で自分の口角を定規で測ったでしょ?0.2ミリのズレを確かめるために。残念だけど、一度入った亀裂はフォトショの修復ブラシじゃ直せないから。


そんな戯言たわごとを脳内メモリに展開しつつ、ステージ裏の廊下を無駄に歩き回ってみる。その瞬間、背中に強烈な物理的衝撃。


「うわっ、ごめん!…って、なーんだ、ゴミ広瀬じゃん」


わざとらしいSEつきの声。おなクラ一軍女子が、私の背中をステージの入場口へ突き飛ばす。たくっ、この脳内CPUがダイオウイカ並みのタコ女が!


そこからは不運のコンボ。摩擦係数ゼロ、テカテカにワックスが塗られた床で、私の足が泳いだ。


「きゃっ……!」


勢いよく飛び出た先は、殺意レベルのスポットライトが降り注ぐ、特設ステージのセンター。


はい、終わった。全校生徒の視線という名の有害パケットが、私っていう個体に一斉送信。志木高の歴史上、最も非効率で無意味な注目。


「え、誰?」


「あ、陰キャの広瀬じゃね?」


「粗大ゴミ広瀬か!」


「何やってんだよ、キモ広瀬!」


はあ?低スぺな語彙力で勝手にタグ付けしてくんな、クソモブども!その瞬間、足元のケーブルが私の歩行システムに致命的な干渉を仕掛けてきた。


で、ド派手に転倒……


顔面の一部だったメガネ要塞が、無駄に綺麗な放物線を描いて虚空へ。ついでに隠れ家だったフードも強制脱衣。カーテン代わりの前髪まで、見事にかき剥がされてフィックス。


私の顔面データ、全ユーザーに向けて強制公開中。


「嘘…えっ…はぁ?」


「ひっ、広瀬の顔……マジかっ」


「誰?超美人じゃん!!!」


「かっ、かわいい…かよ」


会場全体のオーディオデータが、一瞬でミュート。エアコンの駆動音すらノイズとして検出できる、真空レベルの静寂。


私の素顔、今、殺意マシマシの照明が強制レンダリング中。手入れを極めたノイズゼロの白い肌。無駄なパケットを削ぎ落とした聡明な瞳。神様がうっかり8Kでビルドしちゃった黄金比の顔面。


視界の解像度はガチで死んでるけど、最前列の神宮寺だけは高精度でトレース完了。マイク握ったまま、魂をデリートされたみたいな顔で私を凝視してる。


その表情、完全にデジャヴ。幼稚園の砂場で、私にレスキューされた時の泣き虫の『カケルくん』そのものじゃん!


あー、ガチで草。10年経っても、そのヘタレ根性、全然書き換わってないわけ?


「あっ、あの…、すみません」


っていうか何これ。鬼やば!露出狂?外界のバカを検知してバグらせるメガネを失った今、私は全裸でサバンナに放り出されたも同然。もう無理。1秒でも早く、この光の拷問からログアウトしなきゃ!


床を這いつくばってメガネ緊急回収。レンズがひび割れて視界にノイズが走ってるけどオールシカト。脳内CPUをフル回転させて、秒で脱出ルートを演算。Wi-Fiの届かない圏外、ステージ裏へと強制ログアウト。


「待って、広瀬さんっ……!」


神宮寺の声が聞こえた気がしたけどガン無視。それどころじゃないし。バックヤードの暗がりに逃げ込み、予備のメガネをカバンから取り出してかけ直す。さらに度の強い、鬼ダサいやつ。


あー、ガチで最悪なんだけど。マジ勘弁。私の美貌という名の機密情報が、こんなバカどもの網膜に焼き付けられるなんて。あー、効率がマイナス1万。視線による情報漏洩の損害賠償を全校生徒に請求したい。


あー、でも胸の鼓動がうるさい。なんなの、神宮寺のあの顔。私が10年前の女の子だって気づいたわけ?じゃないよね?


ていうか彼の作った『完璧な世界』。今、確実に音を立ててクラッシュし始めてるし。神様の終焉とか、メシウマすぎて草。


「……バカ。……あんな顔、して……」


ステージ裏。震える指先で、自分の唇をなぞってみる。あー、なんか意味フ。私のバイタルデータ、異常なビート刻んでオーバーヒート寸前なんだけど。


10年前、あのヘタレ神様をいじめっ子から救い出した後。泣き止まないあいつの頭を、乱暴に撫で回してやった時の触覚データ。それが今、私の指先に鮮やかな4Kで復元されてる。


ねえ、神宮寺。あんたの神様ごっこの賞味期限、そろそろ切れるよ。そして、後に残る本当のあんたを救えるのは、この地獄のゴミ箱にいる私だけなんだからね。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


文化祭のバグ発生から1週間。校内では、IQがマイナスに振り切れた冤罪えんざいイベントが絶賛開催中。


志木高の空気、もはやドブ。にごりまくり。この空間、1ミリも呼吸したくないんだけど。


そして、神宮寺の完璧だった笑顔には、今や0.2ミリどころか震度7クラスの亀裂が入ってる。ガチの崩壊寸前……


「ねえ、聞いた?神宮寺くんがサッカー部の部室で財布パクったって」


「マジ?昨日の放課後、一人で残ってるの見たやついるらしいよ」


「盗んだ財布、あいつのカバンにあったんだろ?だったらもう無理ゲーじゃん」


思考停止したモブキャラどもが、正義っていう名のドラッグをキメて、昨日までの神様を奈落へ落そうと必死。マジ超うけるんだけど。


あー、効率がゴミ以下。この高校には、ロジックより感情が先に暴走する産廃未満のアホしかいないわけ?


証拠能力ゼロの目撃証言に、ガラクタ同然の状況証拠って。えっ、たったそれだけで草。その低スペな短絡思考、マジでバグ。ガチで脳みそのアップデート、サボりすぎっしょ!


二進法の計算すら怪しい知能指数で、よくもまあ偉そうに裁判官気取りとか。脳内OS入れ替えてから出直してくんない?


放課後の教室。昨日まで親友づらしてた奴が、神宮寺の胸ぐらをつかんでる。


「神宮寺……お前マジでやったのかよ?信じてたのに……」


神宮寺は抵抗する気力すらゼロ。


あー、マジで草。友情なんていう不安定なキャッシュデータ、一瞬で上書きされるもんなのね。もう無理っしょ。爆速で走り出したフェイクニュースなんて誰にも止められないから。


あいつ、雨に打たれる捨て猫みたいな絶望的な目をしてる。完璧な王子様のOSは、過負荷で完全にシステムダウン中。


うーん……マジで笑えない。激やば案件。はい、詰み。さすがに無理ゲーすぎて、私の超ハイスペな脳内演算でも、生存ルートが見当たらないんだけど…


まっ、でも余裕っしょ。真犯人をデリートすれば済む話だし。私は教室の隅、掃除用具入れの隣にある最底辺の指定席から、この茶番を観測中。


牛乳瓶の底レンズ越しに、犯人が残した稚拙な物理バグと、おなクラどもの集団心理を全スキャン完了。脳内の演算処理が、複数の解決ルートを秒でビルドしちゃったんだけど。



でもリアルの私は、ガチで何もできてない。


「あっ、あの…」


震える手でボロボロの古本を握りしめ、存在感を消すだけ……詰みフラグ立ってるの、神宮寺じゃなくて私のほうかも。


ねえ、神宮寺。あんたは、この程度の悪意で壊れるほどもろいメッキだったわけ?幼稚園の砂場で私に『凛ちゃんは僕が一生守るから!』なんて抜かしてたっけね。あの頃の意気地なしから、一歩も進歩してないじゃん。


気づくと、おなクラ全員が彼をディスりながら、逃げるようにエスケープ。夕暮れの教室には、椅子を蹴り飛ばされ、床に膝をつく『元・神様』。そして、空気と同化したゴミ箱の化身、私だけ。


神宮寺が、カスカスの枯れた声でつぶやく。


「…もう、だめだ…。全て、全て失った……」


完全消灯中の、彼の瞳を見た。はい、詰んでる。賞味期限が3年前に切れた缶詰の裏側。暗くて、冷たくて、ガチで救いようがない。


「広瀬さんも……僕のこと、泥棒だって……思ってる、よね……」



―――その瞬間―――――――



脳内にレーザービームがマッハで走った。


演算処理が完全終了。私の中で何かが完結。神宮寺への同情?愛情?それとも10年蓄積ちくせきされた特大のイライラ?


あー、マジでもう何でもいいし。とにかくIQ155を誇る私の神スペックなロジックが、この低脳な茶番に『強制終了(Alt+F4)』のコマンドを叩き込んだ。


ジ・エンド。


私はゆっくりと椅子を引く。キィッ、というウザい高音が、静まり返った教室に響く。背筋を伸ばして防弾ガラス製メガネを、そっと外した。


「あんたさぁ、……マジで、超ダッサッ!」


神宮寺がビビりすぎて、ピクッと跳ねた。


「いつまで被害者面して、その低い解像度の世界に浸ってんのよ?」


私の声が、教室全体に鬼神レベルで響き渡る。


彼は、UFOでも見たんかって目で顔を上げた。


「……えっ、広瀬…さん?」


彼を見下ろして、私の『真の姿』をフル公開。前髪をかき上げたチート級の笑顔を、その絶望顔にぶち込んでやった。


「あんた、また私の後ろに隠れんの?10年前のあの砂場みたいに」


彼の瞳の色が、恐怖から驚愕きょうがくへ、そして狂ったレベルの希望へと、猛スピードで上書きされてく。


「広瀬さん、まさか……いや、りっ、凛ちゃん!?君だったんだね、あの子…」


「はあ?今さら気づくとか、マジありえないんだけど。あんたの脳内、やっぱ電卓並みじゃん。ほら、立ちなさいよ、泣き虫のカ・ケ・ル!!!」


私は、彼が落とした100均並みのプライドを、ヒールでバキバキに踏みつけて言ってやった。


「さあ、いくわよ、カケル。覚悟しなさい!あんたを泥沼から引きずり出してあげる。でも私の時給、ガチで鬼高いからね!」


ねえ、神宮寺。いや……カケル。レンズ越しに眺めていた地獄を、今度は私が統治してあげる。


泥沼から産声を上げた魔王が、世界をデバッグするために翼を広げたのよ!


とか言っちゃってー、ガチで激アツな展開なんですけどー!!!


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


翌朝。高校の体育館は、全校生徒という名の『思考停止した集団心理の標本』で埋め尽くされていた。


壇上にはカケルと、生徒指導とかいう低スペックな教師どものラインナップ。かつての神様は、今や公開処刑を待つ罪人みたいにうなだれてる。ガチで見てられないんだけど。


教師の報告とか、柳瀬川のノイズすぎて鬼不快。あー、めっちゃムカつく!カケルを退学させる宣告文は、駅の券売機から出た行き先不明のレシート。冷え切ったゴミデータが、ただ読み上げられてるだけ。


あー、マジうけるわ、大先生様。5Gの時代に糸電話で戦ってる気分はどう?そのガバガバな証拠とやらで、よくもまあ全校生徒の前に立てたわね。まあ、その無能ゆえの勇気だけは評価してあげるけど。


「えー、ということで最後に、神宮寺くん。何か伝えたいことはあるかな?」


教師が宣告した、その瞬間。


ガシャンッッッ!!!!!!


私は体育館の静寂を物理破壊。防音扉を全スペックで一蹴して、ボコボコにしてやった。弾け飛んだネジが、壁で悲鳴を吐いてる。


えっ、やりすぎ?


ログインボーナスにしては刺激が強すぎ?


ま、いっか。ゴミ箱から魔王が降臨したんだから。これくらいの演出はデフォルトでしょ。私は、前髪のカーテンも分厚いメガネも、全部ゴミ箱にポイしてきた。今は、この高校で最も美しく、最も残酷なジョーカーなんだからさ。


全校生徒が、息をすることさえ忘れてフリーズしてる。


私の、磨き抜かれたダイヤみたいな美貌はどう?


ガチでまぶしすぎない?


カットしたてのシルクブラウンの髪で、空気を切り裂きながら歩いてあげる。耳元で輝くローズゴールドのピアス。すべてを射抜く知性の刃を隠したブルーの瞳。めっちゃかわいいでしょ?


あいつらの眼球、ランダムに弾けるピンボールみたいに跳ね回ってて超ウケるんだけど。目の前の超常現象に脳が追いつけなくて、激しくショートしてんじゃん。


っていうか、誰も私だって気づいてなくない?


じゃ、一発かましますか!


「あ、あの…すみません…」


その瞬間、体育館に稲妻が落ちたような衝撃。あいつらの理性を焼き切るほどのバグが、空気を支配する。


「えっ……ひっ、広瀬の声?」


「マジで広瀬?…粗大ゴミの…」


「嘘でしょ、広瀬なの?」


「なっ、なんなんだよ、これ…」


モブどもが一斉に、処理能力を超えたエラーログを吐き出すようにざわめき出す。


私はステージへ一直線。喉がちぎれるレベルで絶叫してやった。


「うっせーわ!!!マジで超ウケる!あんたら、お釣りも商品も出てこない自販機ぐらい、中身空っぽなんだけど!」


昨日までのゴミ箱の主は、もうどこにもいない。ここにいるのは、全知全能のヒロイン、広瀬凛なんだから!


「ひっ、広瀬さん…!?なんだその格好は!集会中に勝手に…」


生徒指導の老害が、私をブロッキングする。


「いいから黙って聞きなさいよ、このマヌケ教師!あんたの低スペじゃ、私のロジックに追いつけるわけないでしょ!」


一瞥いちべつで、文字通り黙らせてやった。


まあ入学以来、全テストでカンスト無双してる私に意見できる教師とか、マジで不在なんだけどね。


そして真犯人――カケルを陥れた主犯のクズを、人差し指でピンポイントにロックオン。


「真犯人はあんた!鍵の複製、防犯カメラの死角の計算、財布の隠ぺい。あんたの低スペックな工作、私の脳内メモリの無駄づかいだから。タイパ最悪な茶番は、今すぐデリート!!!」


そこからは、最新AIが幼児に算数教えるレベルの、鬼エモい公開処刑タイム。私の放つ一言が、真犯人のアリバイも、矛盾も、動機も、精密に一括デリート。


鬼速のロジックで、一気にオーバークロック。最後は、真犯人がその場にフリーズ。自白っていう名のエラーログ、全件出力完了。


静まり返る体育館。


私はカケルの元へ歩み寄り、その手に私の熱を、今度は私から強めに同期させた。


「ほらっ、行くよ!泣き虫の王子様、カケル!」


私たちは、フリーズして置物と化した背景モブどもをフルシカト。


体育館から強制ログアウトした。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


志木駅のペデストリアンデッキ。夕陽に焼かれた駅前ビルが、マザーボードの基板みたいに赤く点滅してる。


隣を歩くカケルは、さっきまでの絶望から完全にログアウトしたみたい。少しだけ晴れやかな、それでいて鬼情けない顔をしてやがる。


「…ねえ、凛ちゃん」


カケルが立ち止まって、私の名前を呼んだ。


「僕の人生、完全にクラッシュしたと思ってた。でも、君が強制終了を止めてくれたんだね。……ありがとう」


私はあえて、氷点下レベルの冷たい声で突き放した。


「勘違いしないで。あんたみたいな欠陥プログラムを放置すると、私の脳内メモリが非効率に消費され続けるから。ただの最適化よ。……でも、もうガチでさぁ、手間かけさせないでよね、このバカっ!」


「あはは、相変わらず厳しいな、凛ちゃんは。…でも、本当にありがとう。長い時間かけて、このお礼、君に全部するから」


カケルが、あの日の砂場で私に見せたのと同じ、クシャクシャの笑顔を浮かべた。保存料抜きの、消費期限がたった数秒しかない、本物の笑顔。


……でも、なんだか変。私の心臓のクロック周波数が、一気にオーバーヒートを起こしたみたい。何これ?『ドキドキ』ってやつ?ありえないんだけど。


「これからも僕の隣で、僕の間違いを指摘してよ。凛ちゃんがいないと、僕はまた、偽物の神様に戻っちゃいそうだから」


私は、柳瀬川の向こう側に沈む太陽をにらみつけた。頬が熱いのは、夕焼けの放射熱のせいだ。……絶対に、そう。そうに決まってんだから。


「ふーん。でも、あんたに払えるかな、私のコンサル料。志木駅の改札、一生タダパスより鬼高いよ?」


そう言いながら、誰にも非公開の、最高に性格の悪い笑顔を浮かべてやった。私の脳内OSには存在しないはずの、非論理的な感情。データも経験値もゼロなのに、この感情が何なのか、私には分かっちゃった。


「でも……ま、次のデートのスペック次第では、あんたを私のメインシステムに組み込んであげてもいいけど?」


本当はデートの内容なんて、もうどうでもよかった。この感情をデバッグして消去するつもりなんて、最初から1ミリもないんだから。


志木駅のデッキに伸びる、2つの影。1つに同期するように揺れながら、新しい世界のログを刻み始めていた。


「はい、新規ログ。ガチでセーブ完了!」

挿絵(By みてみん)

Illust by Gemini (Google)

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