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それは、それとて  作者: 明日


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隠れた、戦い








「山に、主がいるのは知ってるか?」

「主? 王のことでしょ?」


「そうだ。一つの山の主……王が変わった」

「それで、バランスが崩れた」

「変わるって、王を知ってるの?」


私は頷き、

「知ってる……私は元王だから……」

斜め上を見ながら、薄目でそう告げる。


「……はぁ? 意味わかんない」

何こいつ、いちいち。あの顔、イラつくわ。


私は話した。めっさ簡単に。

青ギャルから亜子までの流れを。

最後の辺りは熱弁のあまり、より目になっていた。


「その目、キモいからやめろ」

目潰しを食らった。


「ぎゃゃ!」

「普通に話せよ、ねぇ?」

「はい……」


どおりで、変な力を持つわけだわ。

王になったことが原因かしら?

いや、王の資格は鬼?に渡されたって――。


「あんた、その力なに?」

「魔獣を割る力?」


私は目潰しが怖くて、

「自分でも、分かりません」

「鬼のお婆さんから……」

「取られて……貰いました。多分」

「その……青ギャル?から?」

「別の鬼です……」


…………ハァ……。


あたしは、この緑という奴の意味が分からない。

視える、触れるまではいい。

こいつ――緑は、その先に破壊がある。


普通は、どんなに修行しても、

補助なしの打撃で魔獣を滅することはできない。


「……気持ち悪い……」


また目潰しか……?

警戒したが、狭い車内だ。距離は取れない。

絶対に避ける。


「もしかしたら最近の異変は、

 元帥山の王が目覚める予兆かしら?」


「知りません」

頭を少し左右に振る。的は絞らせない。


「亜子に聞いてみないと分かりません」


「王の一人ね、確か白夜山の」

「そうです。あ?……聞いてみます?」

「はぁ? 王と連絡取れんの?」


来るか?

頭を動かす。

目潰しは額で止めてやるからな。


「うちのマッキーが取れます」

「誰よ、マッキーって」

頭をカクカク……何してんのよ。


「朝、事務所にいた美人の方じゃなくて」

「可愛い人です」


マッキーは可愛い子だ。


「…………あんたの……会社……変態ね」


変態だと? 失礼な奴だな……。

……嫉妬?か。緑屋は小金持ちだからな。


うん……何か異変が起きたのは間違いない。

オシャレと実体を持った骸……。

実在した退魔師。


何かが起きそうな予兆か……。

それぞれの山に目を持つ亜子に、聞いてみないとな。


「ところで、あの紙なに?

 貼り付けたり、燃やしたり……赤い紙とか?」


凄い。便利だった。私も欲しい。


「……あれは符よ。呪符」

「……呪符って何?」

「あんた、何も知らないじゃない」

「よく、今まで生きてきたわね? 先生は?」


先生か……。

私は誰かに教わったことはない。


視えるようになって、祓っていく中で、

色んなことに出会ってきた……。

最近、物の怪も強くなってるし、

私も力をつけないと、いけないのかも。


斜め上を見ながら、ため息をついた。


「ハァ……」

「びしっ」

「ぎゃゃ」




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