日光と虎砲
片膝を付き摩里の後ろで
「師匠、次はどうしましょう?」
真剣な表情で聞いた…
「師匠…?あんた何よ…」
そうだろう、さっきまで邪魔するなと
強気な態度だった奴が、いきなり掌を返す
摩里は蔑んだ目で
「視えは、するのね?」
「視えます、完全に黒煙が」
「あんた、今までどうしてたのよ?」
「はい、それは…」
「ビタン、バタン、グシャって、
やってました…」
「はぁ……?」
いきなり師匠とか、言い出した
こいつ、何を考えてんのよ
今はこの、煙の魔獣…黒衣を滅しないと
れいらさん秋元さんの二人は
ただならぬ雰囲気に、神妙な顔だ
「緑…、あんたなら、どうやる?」
「光を、使います…」
そう、弱点の光をあて、煙を集約させて
小さくする、それを潰す
「何よ…分かってるわね…」
詐欺師って訳ではなさそうね
弱った雪さんは不安そうに
「緑さん、私は、大丈夫かしら?」
「大丈夫です、少し時間を」
「雪さんは目を閉じて、休んで下さい」
「緑さん……お願いします」
大分吸われたな…、かなり弱ってる
急いで祓わないと
「師匠、早めにお願いします…」
「チッ…分かってるわよ」
摩里はベットに貼った小さな紙を
今度は雪さんの身体に貼る
黒煙は雪さんの身体の中に小さくなって行く
私はカーテンと窓を開けて、日光を入れ空気の入れ替えをする、
秋元さんも手伝ってくれる
「緑様、奥様は?」
「少し、厄介な物がいます、大丈夫です」
「奥様をお願いします」
れいらさん、秋元さんを見て強く頷く
摩里を見て早くしろと頷く…
こいつ…と言う視線が帰って来る。
雪さんの身体の中に黒煙が纏まり、集約され
お腹の辺りに一つの黒い野球ボールが出来た
「出たわよ、黒衣の核よ」
「ええ、後はあれを…」
摩里は黒ボールを赤い文字がビッシリと
書かれた紙で包んで手に持つ
「この場所じゃ駄目よ、外に」
「秋元さん、日の当たる広い場所を
お願いします」
「こっ、こちらです」
たくさん花の咲いた中庭、庭園に案内された
「れいらさん、秋元さん離れて下さい」
日の当たる場所で、あのボールを潰して
終わりだから、危険は無いが、用心だな
「滅するわよ」
そう言って摩里は赤い紙を貼り
人差し指と中指を顔の前に出し
「滅」叫んだ炎が上がり燃えた
「終わった…」私は呟いた、その時
炎をボールの中から溢れ出した
黒煙がかき消した、私達は焦る
「何よ…まさか?」
黒煙が人型に集まり、形を成していた
ボロ布を纏い、骸骨の姿に……
「実態を、持ったわ、長く吸っていたから」
「一人じゃ無いな、数人殺られてる」
日光の中で、形に成った骸、かなり強い
摩里が赤い紙を投げる「シュッ」骸に向い
届く前に塵に、
「クッ、かなり強力よ」
「どうする?この場に留められれば」
摩里は白い紙を投げる「封」骸の四方に
張り付き、まるで、結界のように留めた
「長くは持たない、消えるまでは無理よ」
私は静かに摩里を通り過ぎる
「あんた…緑、危険よ」
骸が近付く私に威嚇する
「ジョバァァン、ジョン」
「ヒッ」押し殺した叫び声
建物の影から顔を出す、れいらさん秋元さん
チラ見している……実態を持てば視えるか…
禍々しい姿、たくさんの命を吸った骸
結界の一歩外で立ち止まり、骸を視る
摩里は黙ったまま様子をうかがう
近距離に接近した私は、拳を真上に伸ばし
直立して、ヒーローが空を飛ぶ姿勢を取り
「太陽よ我に力を」叫ぶ、
天高く上げた、拳に力を込め、
ちょっと、直立、両足ジャンプ。
「光の虎砲」と叫び、力強く振り降ろす
骸の頭を割り、身体を割る半分に裂けた
骸は、一瞬黒煙を漂わせ、消えた…




