機械仕掛けの海
マッキーの違和感を察して、
迷探偵になった私は、敦を観察した。
痩せ型イケメン、爽やか系。
美容室オーナー、金もある。
まぁ……女性には人気あるだろうな。
左手薬指には指輪。
両耳にはオレンジ色の花のピアス。
二個……か……
「カタンッ」
ハイペースで熱燗をシバいていたキャロリン
K.Oされていた。
敦は飲み過ぎだと言って、
キャロリンを後ろのスペースに寝かせていた。
自分のジャケットを添えて。
さり気ない気配り。
……奴は出来る。
迷探偵・緑は、敦に質問した。
「敦さんは、結婚してるんですか?」
敦は笑いながら、
「ええ、子供もいるんですよ。三歳の」
カクテルや焼酎を通り過ぎ、
テキーラをシバき倒していた。
えっちゃんが言う。
「みどりぃー、言うなよー。
敦さんモテるからさぁ〜。
お前と違ってな、はっ」
迷探偵・緑は、
言葉の、ショートアッパーを食らった。
えっちゃんは酒乱だった。
敦はため息をついて、
「飲み過ぎ。もうやめときな」
そう言って、テキーラを片付けていた。
えっちゃんは敦にもたれ掛かり、
満足そうに眠っていった。
「すいません、緑さん。
二人とも明日は休みだから、
かなり飲んじゃったみたいで」
私は何も効いていない素振りで、
「大丈夫です。お気になさらずに」
敦はマッキーを見て、
「真希ちゃんは、随分逞しくなったね」
鉄仮面マッキーは、
「そうですかね?
変わってない気もするんですけど」
――普通の人は、鬼や物の怪と関わらない。
君は強い。
二人がK.Oされ、三人になった席で談笑していると、
敦が言った。
「すいません、ちょっとトイレに」
席を外した。
思考の海に迷い続ける迷探偵を卒業し、
私はマッキーに聞いた。
「マッキー、あの人嫌いだな。
敦さんだっけ?」
マッキーは少し驚き、
「バレました?
あの人、結婚してるのに、
仕事仲間からお客さんまで凄いんですよ。
女性関係」
私は納得しながら、
「そうなんだね。イケメンだからね」
マッキーは嫌そうに、
「私も何回か誘われましたよ。
しつこく。
行きませんでしたけど」
どうやら敦は、
機械仕掛けのスケコマシーンだったようだ。
色欲を燃料に、手当たり次第。
「奥さん、子供いるのにお盛んですね」
「本当に、可哀想ですよ」
マッキーは怒っていた。
「敦さん来るなら、
来なかったんですけど。
二人も寝ちゃったし、
早めに帰りましょう」
そうだな。
女子会に参加という目的は果たした。
長居する理由は無い。
トイレから戻った敦に、マッキーが言った。
「敦さん、そろそろ私達も。
二人とも寝ちゃったし……」
敦は、
「そう?
もう少しいいんじゃない?
久しぶりだしさ」
そう言って、
「緑さんも、お酒飲みませんか?」
やたら度数の高い酒を勧めてきた。




