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それは、それとて  作者: 明日


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61/129

カーフの後




「チッ、チッ」

「ぁあん、はっ、ふん」


舌打ちと独特な咳払いが、反響する。

透き通る肌の美しいお嬢様が、

何かのきっかけで、覚醒した……


見下げていた、れいらさんは、

顎を下げ、白い歯を噛み締めて、

斜め下から恭一さんを見上げる。


大きな瞳の下側、三分の二は白目だ。

点で、恭一さんを見上げている。

右手は、腰の位置で握り締めていた。



……なんだこれは、この状況。


私は先程の諭しを、悔いた……

独身の私が、結婚はなんたるかを

したり顔で話した……恐ろしい。

結婚式間近の二人は、こうも

荒れるのか?


結婚とは、修羅の道なのか。

分からない私は、

その道のプロであろう雪さんに聞いた。



「雪さん……式間近の二人は

 こういうこと……

 普通なことなのでしょうか?」


舌打ちが止まらない、れいらさんを

見ながら雪さんが言う。

「いいえ……こんな事は無いわね。

 れいらは『チッ』こんなこと

 する娘『チッ』じゃ『チッ』

 無いわ。『あぁ、ふんっ』

 

恭一さんと距離が近くなると

 スイッチが入るみたいなの」


私は恭一さんに目をやると、


ビビっていた。今にも飛び出しそうな

れいらさんを警戒している。


恭一さんは、願うように言った。

「れいらを元に戻して下さい。

 緑さん、お願いします」



三日前 恭一

最近、忙しくて話せていないけど、

れいらは私が幸せにする。


部屋の椅子に座る、れいらは

少し項垂れていた。ハァ、とため息。

大丈夫、二人で乗り越えよう。

れいらに近づき、

「安心して」と囁く。


両肩を掴み、抱き締めようとした。

その時……。


「触ってんじゃねぇよ」

れいらが言う。両肩は掴んだままだ。


れいらは一歩、「シッ」と

ボクサーのバックステップで下がり、

私の両腕を離した。


そこから、両足でのカーフキック。

私の左足は破壊された。


流れる動きで、ボディに二発。

内臓を抉るように「シッ」「シッ」。

「ガハっ」「ぐぇー」

私は、そこでもう動けなかった。


私より低い身長の、れいらの

胸付近に、私の顔は下げさせられた。

れいらは半身の姿勢で、

腰を落とし込み、右手に熱を宿す。


瞬間……閃光の右フック、「シュッ」。

私の頬から脳へ、波紋のように

衝撃が駆け抜ける。見えなかった。


三上恭一、意地がある。

死ぬまで苦楽を共にするのに、

ここで倒れない。


嫁に弱い自分など、見せられない。

歯を噛み締める。

閃光の右で、首はグルンと回り、

吹き飛びそうな体を止める。


左足は死んだ。

だからこそ、右足で威力を殺す。

回った首を、必死に戻し、


もう一度、れいらを抱きしめる。

強い意志で、れいらの姿を捉える。

だが、彼女はもう、


体勢を整えていた……。

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