弱さと君と王
私は、ただ待っている。感覚を閉ざし、
耳だけに集中する……
私は、特殊な力など持っていない。
だが、戦いは避けられない。
偽物鵺との戦いで、自分の弱さ、
鬼の強さを知った……
このままでは、駄目だ……
もう少しだけでいい。自分を守る強さを。
体の力を抜く。耳だけに集中……
「いしや〜きいも〜、おいも〜」
目を見開き「来た!」
小銭入れを確認し、足に力を入れ、
事務所のドアを開けた。
「マッキー、行ってくる〜」
慌ただしく走る私に、
マッキーは言葉を返す。
「私は、二つ食べられます大っきいやつ〜」
ここ三日間の戦い。
詩が聞こえて、ゆっくり向かっても間に合わない。
二日惨敗だ……
負けられない戦いが、ここにはある。
「焼き芋、四つ下さい。大きいやつ!」
焼き芋王
「あいよ〜、速かったね、兄ちゃん」
間に合った……
ホクホクの甘い焼き芋を
二人で頬張る。
「うま、うま……」
「ジリリ、ジリリ〜」
皿に焼き芋を戻すマッキー。
「はい、緑屋です
緑さ〜ん、お電話で〜す」
ちょうど食べ終わった私は、
「はい、お電話代わりました」
女性
「れいらと言います。上手く説明できないですが、
おかしな事が一ヶ月以上、続いてまして……」
上手く説明できない……
まぁ、よくある事だな。
普通に生きていれば、関わらずに済む
「物」に触れてしまうと……
「こちらから、向かいましょうか?」
今回の依頼は、三上れいらさん、27歳。
一ヶ月後に結婚式を控える美人さんだ。
教えられた住所に向かうと、
豪華な扉の前だった……
豪邸だ。
私は三上の名を思い出した。
この街に一つだけある大きな港。
海の仕事を一斉に引き受ける。
代々、家業として受け継がれ、
100年以上の歴史を持つセレブ。
その血は、今も尚、輝き続ける。
………三上一族……




