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それは、それとて  作者: 明日


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ちぃとモックンと胃もたれ

静かな夜の公園

私は

「便利屋をやってる、緑です」

口裂け女

「緑さん、私、口裂け女です…」

……う〜ん? よし、私は閃いた。

「君は、今から、ちぃだ」


瞬間的に、あだ名をつけた。


口裂け女のちぃ

「ちぃ…私、ちぃ…えへっ」

気に入ったみたいだった。


ちぃは、話してくれた。

なぜ人を襲ったのか。凄い乙女だった。


ちぃには、恋人がいる…

近くの整骨院に住む、

動く人体模型の、モックン。

初めは、仲良く夜な夜な

デートを重ねていた。


だが、ある時を境に、モックンは

美に目覚めた。


剥き出しの自分の半身を

皮膚で覆いたい。

そう考えるようになった。


ちぃは、愛する恋人のために

人間を襲い、皮膚を集めていたと…


……やばい。物凄い。帰りたい。

私には、胃もたれする内容だ。しんどい。


ちぃは、止まらない。

「モックンとの出会いは運命よ

 俺は、美しい姿で君の横に立つって

 キャーっ、痺れる、痺れるわ」


……どうしよう?


私は、冷静に伝える。

「ちぃ、人間の世界では問題になってる

 これ以上続けるなら

 君を祓わないといけない」


ちぃは迷っていた。

「でも、モックンが美しくなりたい

 夢を叶えてあげたい」


私は頭を使った。

「君は、モックンの外見が好きなのかい?」

ちぃは、ハッとして

「違うわ

 モックンの

 優しいところを愛してるのよ」

ふん…私は言った。

「じゃあ、もう、人間の皮を集める

 必要はないでしょ?」

ちぃは、理解したように

「そうね

 もう必要ないわね

 今のモックンが好きだわ」


………アホらし…帰ろう

 


後日談、海の藻屑


人体模型が人を襲うと言う

噂話が流れた……


この仕事、

噂には敏感でなれればならない


夜スーパーの買い出しから

帰宅途中、人体模型が私の

車の前を走っていた、


しばらく、追走した後

海の大橋、中間地点に差し掛かった時


私は、アクセルを強く、強く踏み込んだ


「ブーン、パンパン、ブォーブォン」


「ドカーん」「うぁぁー」

「バラバラ」「ポチャン」


私は、心が満たされた

「……退散…」



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