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それは、それとて  作者: 明日


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55/129

閃光の右足



私は叫んだ

「ちょっ、ちょっと待てよ」


女が振り向いた、口が耳まで裂け

血が口の端から滴っていた…


あ……いた、本物だ……


口裂け女

本当に、いたんだ………


私は普通の女だと思っていた

少年達の肉を噛み千切るまで

油断して、出遅れてしまった


後ろで腰を抜かしていた

不良少年たけしは

失禁してから限界だったのだろう

気絶していた


口裂け女と向き合う私は

疑問が浮かんだ。私、綺麗じゃ無いのか?

「いただきまーす」だったぞ?

そんな事を考えていると


ユラユラと私に近づく

口裂け女が聞いてくる

「ねぇ、私の顔どう?」


私は眉をひそめ

正直に伝えるべきかと悩んだ

だが、嘘は良くない


私は正直に伝えた

「キモい」

口裂け女は叫んだ

「キェー」


爆発的なスピードで間合いに入り

強い力で私の両肩を掴み

大口を開けた


鋭い歯がビッシリと並んでいる

こんなのに噛まれたら……


私は重心を後ろに移し

噛みつこうとする口裂け女は

両肩を掴んだまま

前のめりになったその時!


沈み込み

口裂け女のコートの胸ぐらを掴み

体を半回転させ

相手の体重と勢いを利用した


必殺、背負い投げを繰り出した

勿論、両足を払うのは忘れない


「ズドーンっ」

物凄い音がした。柔道の経験は無い

でも、素人でも分かる手応えだ


口裂け女はアスファルトに

頭を打ちつけ、後ろに転がった……

人型の物の怪が

この程度で祓える理由など無いと


私は駆け出し

倒れ込んでいる口裂け女に

追撃のサッカーボールキックを

叩き込んだ

「グチャ」


トンネルの外へ吹き飛んだ

ゴロゴロと転がり、そして止まった

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