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それは、それとて  作者: 明日


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48/129

見てる場所








最近出来た、

《夢の館》という店。

占い師、兼、麻生カンパニー代表――

……麻生りんこ。


占いが当たると噂になり、

開運シール、アクセサリー、壺などを

まあまあの値段で売りつけているらしい。


前に一度、

夢の館の客を見かけたことがある。

全員、金ピカのアクセサリーを身に着け、

順番待ちの列を成していた。


――新手の新興宗教か?

そう思ったほどだ。……そんな女が、

なぜ緑屋に来た?


「ほら、ウチも色々な顧客を

 抱えておりますでしょう?」


「仕事柄、お客様の混乱を招かないように、

 緑屋さんにご挨拶を、と思いまして〜」

……意味が分からない。


緑屋は、

開運グッズも、占いも、売っていない。

客層が被る理由など、どこにも無い。

その空気を即座に察したマッキーが、

悔しそうに紅茶を箱へ戻した。

……出来る。


「麻生さん」私は、あえて呼び方を変えた。

「私は、しがない便利屋です。

 お客様が混乱することなど、無いでしょ う」


麻生様から、“麻生さん”へ降格。

その瞬間、

麻生りんこは、少しだけ表情を変えた。

そして、語り出す。

「……正直に、お話ししますわね」

「少し前に、近藤様のお嬢さんが

 うちのお店にいらしたのよ〜」


――来た。

地主、近藤一族。この街の“本丸”だ。

高校生のお嬢さんが、占いにドハマり。

開運グッズを、爆買い。


客が太いと気づいた麻生カンパニーは、

すぐに動いた。

開運セミナーへの勧誘。

風水。土地には邪気がどうの。

水の流れが合わない等の、営業

だが。グッズ販売までは良かった。


しかし――

土地絡みになった瞬間、話は切られた。

門前払い、理由が分からず、

必死に食い下がった結果――


「そこで、緑屋さんのお名前が

 出てきたのですわ」


……なるほど。


私は、ようやく理解した。

こいつは、

近藤一族から、手を引けと

そう言いに来たんだ。





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