うぇぇ
私達は、
鵺――否、鵺だった“それ”の死骸を、
黙って見つめていた。
私と仁さんは、
もう二度と見る事は無いであろう存在を、
ただ、目に焼き付けていた。
一方で、すぅとマッキーは、
「キモいよね〜」
「ほんと、それですね〜」
と、完全に女子トークを展開している。
イワオは私の横で、
腕を組み、少し考え込むようにしていた。
「……私との殴り合いは、
手加減してくれてたんだな?」
そう言うと、
イワオは笑いながら答えた。
「俺は、本気を出すのに
すぅの許可がいるからな」
――良かった。
本気のイワオなら、
私は秒で消し飛んでいた。
「助かったよ、すぅ、イワオ。
本当にありがとう」
私は、ここできっちり頭を下げた。
二人は「気にするな」と笑った。
再び死骸を見ながら、
「これが鵺かぁ……」と呟いた、その時。
すぅが首を傾げた。
「鵺なら、古い奴は聞いた事あるけど〜
これは、多分違うよ」
イワオも頷く。
「いろんな物の怪を吸収してるが……
まだ若いな。五十年も生きてない」
私は、思わず聞いた。
「じゃあ……これ、何?」
すぅは少し考えてから言った。
「共喰いを繰り返す奴が、
たま〜に出るんだよね」
「何でも食べ続けて、
少しずつ吸収して……
今の姿になったんじゃないかな」
共喰いは、基本的に嫌われる。
「だから、見つけ次第――ぶっ殺す」
……う〜ん。
これは、鵺の“偽物”か。
私は、うぇぇ、と呼ぶことにした
そして、すぅはおもむろに
“うぇぇ”に手をかざす。
魂ごと、吸収していった。
「妊娠中は、お腹すくからぁ」
ほんの数秒で、
うぇぇの体は、跡形もなく消え去った。
――やっぱり。
一番強いのは、
……すぅだと思った




