表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
それは、それとて  作者: 明日


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

43/129

青鬼








仁さんは、もう言葉を失っていた。

神主としての知識も経験も、


目の前の光景を理解するには足りなかった。

マッキーは本殿から飛び出し、

両手を口に当てて叫ぶ。

「イワオさーん!がんばってくださーい!」

……応援モードだ。


すぅは私の隣に立ち、

腕を組んだまま、イワオに言った。

「久しぶりにさぁ〜

 全力、全開でいいわよ〜」

その言葉が届いた瞬間だった。


イワオが、雄叫びを上げた。

「オオォォォォッ!!」

空気が、震えた。全身に力が込められ、

バンッ、と音を立てて筋肉が膨れ上がる。


皮膚の下で、

筋が、骨が、意思を持ったように隆起する。

目が血走り、地面の石畳が、ミシリと軋んだ。


――格が、違う。

鵺が、一歩、後ずさる。猿の頭が喚き、

虎の頭が牙を剥く。


尻尾が、二本、同時に跳ねた。

「ガギンッ!!」

両腕で、まとめて受け止めた。

掴む。次の瞬間。

「ブンッ」

鵺の巨体が、

まるで布袋のように振り回され、

境内の端へ叩きつけられた。

「ドォン!!」

地面が割れ、

砂埃が舞い上がる。


鵺が起き上がろうとする前に、

イワオは、もう踏み込んでいた。

速い、巨体に似合わぬ速度で距離を詰め、

拳を叩き込む。

「ゴッ」

猿の頭が、ひしゃげた。

「グギャッ!」

続けて、逆の拳。

「ドンッ」

虎の頭が、横に吹き飛ぶ。

鵺の身体が、崩れ落ちる。

尻尾が暴れ、爪が空を裂く。


だが――

当たらない。

イワオは、一切、焦らない。

淡々と、確実に、

“壊す”。


拳が、振り下ろされた。

「ズドンッ!!」

鈍い衝撃音。

鵺の身体が、完全に地に沈んだ。

動かない、境内に、

重たい静寂が戻る。


すぅが、手を叩いた。

「はーい、終わり〜やっぱ強いわぁ」

マッキーが、目を輝かせて言う。

「……すご……」

仁さんは、ただ立ち尽くし、


呟いた。

「……これが…鬼、か……」

私は、ようやく息を吐いた。

――助かった。

完全に、圧倒的勝利だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ