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それは、それとて  作者: 明日


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41/129

私無理だがしかし







神社の壁に叩きつけられ、

一瞬、呼吸が止まった。

「……ガハッ、ゴホ……ゴホッ……」


頭を振り、無理やり意識を引き戻す。

――不味い、また、離された。


仁さんは、こちらを見る余裕すら無い。

尻尾の攻撃が止まらない。

「ガキン……ガキン……」


鏡が弾くたび、衝撃音が境内に響く。

私は歯を食いしばり、


もう一度、仁さんの背後へ走った。

その瞬間――振り向いた仁さんが叫ぶ。


「緑――!」

遅かった、鵺の尻尾が、

私の身体を絡め取る。

反射的に、拳を振り抜いた。

「ボコッ!」

――硬い。

拳に、じわりと血が滲む。

それでも、

何とか軌道をずらし――


私は、再び仁さんの背後に転がり込んだ。

「……お前」

仁さんが、目を見開く。

「あの尻尾を、止めたのか」

「……まぐれです」

私は息を荒くしながら言う。

「次は……無理です」

頭を、必死に回転させる。

本殿、神様、鏡、跳ね返す。

――繋がる。

そして。別格。

「……仁さん」

私は、確信を込めて言った。


「本殿の鏡……

 特別ですよね」

「ああ」


仁さんは、即答した。

「強い力を持つ。

 だからこそ、今も生きてる」

強い力、繋がる鏡。

――なら。

私は、本殿に向かって叫んだ。


マッキー!」

「そこの鏡に向かって、

 すぅを呼んでくれ!」

「イワオに……

 助けてって言って!」


本殿から、

お弟子さんと一緒に様子を窺っていたマッキーが、

はっとした顔をする。賽の河原から、

鏡を通って帰ってきた――

あの時を、思い出したのだ。


マッキーは走った。

本殿中央。祀られた、

三十センチほどの丸鏡の前に立ち――

叫んだ。


「すぅちゃん……助けて!」

一拍。鏡の表面に、静かな波紋が走る。

「あ〜、マッキー」

懐かしい声。

「久しぶり〜」

次の瞬間、鏡の中から、

青いギャルが――姿を現した。

説明している暇は、無い。


マッキーは、震える声で叫ぶ。

「緑さんが……

 死にかけてます!」

「お願い……助けて下さい

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