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それは、それとて  作者: 明日


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美人と美熟女








久しぶりに

おじSUNを祓う依頼を終え、


車で帰路についていた。

途中で少し休もうと思い、


道沿いの小さな喫茶店に入る。

カウンターの向こうには

ダンディーなマスターが立っていた。

「いらっしゃい」


空いているカウンター席に座り、

「コーヒーを。ミルクと砂糖、少しで」

「はい、コーヒーね」


コーヒーを飲みながら、

ふと隣の席の女性に目がいく。


スマホに夢中だ。

目が、明らかにキマってる。


マスターが苦笑しながら言った。

「常連さんでね。

 最近、ずっとスマホばかり見てるんですよ」

「下田さん、おかわりいるかい?」

「……聞いちゃいない」


どうやら下田さんというらしい。

四十五歳。

和服の似合う美人で、

習字の先生をしていると教えてくれた。


授業前に、ここでお茶をするのが日課だったが、

生徒にスマホの使い方を教わって以来、

様子が変わったらしい。

また下田さんを見る。


……目が凄い。

どこか遠くへ行きそうな視線だ。

正直、心配になる。美人が台無しだ。


「アイたたた……」

下田さんは目頭を押さえ、

少し体を縮めた。


「夢中になると止まらないのよ。

 本当に便利よね〜」

そう言って、こちらに微笑む。


綺麗な人だ。

――おでこに、

第三の目が開いていなければな……


下田さんが目薬をさしている間も、

その第三の目は

落ち着きなく周囲を見回している。

何かを探すように。


「……すオォ……」


小さく、擦れた声が漏れた。

私は、あれを


す魔法と呼んでいる。

正体が何なのかは、分からない。


ただ、触れてはいないのに、

意識だけが引きずられていく。


精神に干渉する、

呪いの一種のようなものだ。

す魔法は視線を巡らせ、

喉を鳴らすように


「オゥ、オゥ……」と音を立てた。

落ち着かない。


依存に近い、焦りの気配。

下田さんは


目の痛みを忘れたように、

再びスマホへ視線を戻す。

……このままでは、


目だけの問題では済まない気がした。

今日は依頼じゃない。

けれど――見なかったことにするには、

少し、厄介だ。

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