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それは、それとて  作者: 明日


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15/129

流され、月日は流れる





先祖代々、この土地の地主。

マンションやアパート、


不動産関係で利益を上げ続けている。

代々の金持ちだ。理由は、


この屋敷の裏山にある。

昔は、何も無い山だったそうだ。


だが、ある時、金が見つかった。

それを元手に、


この辺一帯の土地を買い上げたらしい。

地元では有名な、

近藤一族。田舎では、影響力は大きい。


どうやら、初代の当主が、

迷子の子供を助け、

家に招き入れたことから、


近藤一族のサクセスストーリーは

始まったそうだ。百年以上前に。


決まって、十三日の月が眩しい夜。

彼女は現れる。会場には、

血のつながった者が十三人。


長台に並べられた料理を食べ、

酒を呑みながら、中央にいる女の――

……女の、娘?いや、違う。


身体は小さく、

可愛らしい作りをしているが。


そこにいるのは、

太った、厚化粧のオバサンだ。


古い着物で、雰囲気だけはある。

だが、近代に毒された物の怪。

座敷わらし。私は、こう呼んでいる。


……叔母わらし…


態度に、可愛げは一切ない。

ホストクラブで、ふんぞり返る、

成金婆、そのものだ。


天下の近藤一族の顔役たちが、

必死でもてなす。


「わらし様、ドン・ペリニヨンです」

「こちらは、最高級のキャビアです」


現当主は、熱唱している。

♪アイ・ラブ・ユー

 離さないで〜


風情も、クソもない。時代に流された、

西洋かぶれの物の怪が、


そこにいた。

叔母わらしは言う。

「ペリニヨン、

 美味くねぇ〜。

 は〜い、みんなで飲むよ」


スーツを着た、イケメン風の男たちが叫ぶ。


「わらし様の瞳に、乾杯フォ〜!」


こうして、来月も。近藤一族は、

繁栄を保つのである。


日付が変わり。

「マッキー、帰るよ」


やり切った顔のマッキーが言う。

「もう、終わりですか。

 何か、食べれば良かったです」

「……帰りに、ラーメンでも行こう」

「やった〜」

君は、素直で良いな。

マッキー。

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