少しでも読者を引き込み、評価を高めるための小説作家戦略 ~ネトコン13を超えて~
■ コンテストに出してる作家は、必ずしもプロを目指してはいない可能性
私自身がネトコン13に参加して感じたのですが、多くの作家さんは多くのコンテストに参加しています。
読者であった当時は「そんなにプロになりたいのか」と思っていましたが、ネトコンに参戦して、見方が変わりました。
明らかに、ネトコンの募集期間中と終了後では、PVやUUに明確な差がありました。
当然、募集終了の時期から激減しました。
この傾向からすると、厳密にはわかりませんが……なろうの検索条件からのアクセスはやはり無視できませんね。
まず、コンテストへの応募は「プロになりたい」という動機も当然あるでしょう……しかし、どちらかと言うと「露出を増やしたい」という動機の方が多いように見えました。
ほとんどのコンテストでは、総合ポイントによる足切りがあることを暗に明に示しています。
では、その総合ポイントはいかにして稼ぐか?
もう、なりふり構わず露出を増やして、読者を獲得していくしかないのです。
その過程で、承認欲求の魔物に喰われてしまうと「プロは無理でも、評価はほしい」となるでしょう……私自身も喰われそうな時があります。
踏ん張りましょう、そして、目的を見失わないままに露出を増やすため、コンテストに応募しましょう。
基本的に、コンテストに応募したら、そのコンテストタグは絶対に消してはいけません。
そして、ほとんどのコンテストでは入賞しなければ書評すら得られません。
それでも、一人でも多くの読者に目にして欲しいのであれば、コンテスト出場自体が露出チャンスになります。
■ 最低限ネトコンには参戦しよう、数少ない「プロの言葉」を得られるチャンス
その中でも、書評――というより「感想」を得られる可能性が高いのが「ネトコン」です。
今なら、検索すればわかりますが……
ネトコン13 検索結果: 24,679作品
ネトコン13感想 検索結果: 8,728作品
そして「ネトコン13感想」タグで参戦した作品のうち、1000~2000作が抽選で当選します。
低く見積もっても、当選倍率は9倍以下ですね。
作風に悩む方にこそ、参戦をおすすめしたいコンテストです。
ただし、応募要項は必ずきちんと読みましょう。
あくまで個人的な推測ですが……例えば「ネトコン13」と「ネトコン13感想」の重複登録は実質倍率が低下するのではないか、と見ています。
「ネトコン13感想」タグだけでよいと、応募要項には明記されていますが――実際には両方のタグを入れてる作家さんも多いです。
応募要項に従い、少しでも信頼を稼ぎましょう。
ネトコンのために、タグは最低限一枠空けておきましょう。
タグに余裕があるなら、他のコンテストにも応募してみるのも良いでしょう。
コンテスト応募作というだけで、注目度は跳ね上がります。
ただし、ネトコンと応募要項がぶつかるようなコンテストは、期間や応募要項を調べて、問題がないかを十分検討する必要があります。
可能であれば、完結済作品の応募が好ましいと思います。
ネトコンの審査作品数を見ると、決して余裕のある日程ではありません。
しかし、完結済み作品であれば、審査も前倒しで進めやすいはずです。
■ 商業出版前提なら、コンテストに落ちても、勝負は終わってない
出版社レベルでも、小説とコミカライズが別出版社になることは、実は頻繁にあります。
「えっ、あの出版社とこの出版社が?」と驚くような事例も少なくありません。
具体的には、KADOKAWA系列の小説が集英社でコミカライズ化がありますね(有名作品なので、ご存知の方も多いでしょう)。
出版社間ですらそうなのです。
編集者レベルでは、横のつながりがある可能性が極めて高いのです。
コンテストに落ちたとしても「この作品はうちでは出せないが――」と、他社の編集に紹介するケースだって十分あり得ます。
これを前提にすると、どんな出版社も軽んじてはいけないという話に繋がります。
編集業界の中で、どのような噂が共有されるかは予測がつきません。
こうした編集者間ネットワークは、ときに『コンテストの審査』すら超えて、作品の未来を左右するかもしれません。
だからこそ、どのレーベルにも、読者に対しても、編集者に対しても……誠実な姿勢で臨むべきなのです。
■ タイトルやあらすじはフックを強く
評価が三万ポイントを超える作品でも、フックが弱い作品はしばしば見かけます。
しかし「タイトルが魅力的ではない」や「あらすじがまとまってない」などの作品は、読者を引き込む導線を自ら断っています。
検索結果に表示されても、タイトルやあらすじがつまらなそうに見えたら……?
冷静に考えてください。
読者にとっては「面白いかどうか」こそが、最重要になります。
読者だって、有限の時間を使って検索しているのです。
PVやランキングがいくら高くても……極端な話、それらは読者にとって「ノイズ」にしかなりません。
自己満足でランキング報告を書きたいのなら、せめてあらすじの末尾にしましょう。
ブクマや評価のお願いなどは読書体験を損ねるため、あとがきではなく『ランキングタグ設定』を活用しましょう。
書くとしても、簡潔に、そして控えめに……できれば文字サイズも調整をしましょう。
五行くらい長々と書くのは褒められません。
たとえばSNS告知を行った場合、告知を読んで訪れた読者が、必ずしも「なろう」のアカウントを持っている訳ではありません。
そのような人にとっては、上記の全てがノイズとなります。
だからといって、そうした「なろうの外」の読者を軽んじてしまうのは、あまりにも早計です。
■ 読者への導線を可能な限り引け
SNSでは、ほとんどの方が導線を引いてると思います。
作品は読んでもらえなければ、勝負の土俵に立てません。
ここで、注意したいのは――導線の書き込みも、ちゃんとフックを効かせているかという点です。
ただ漫然と「新しい話を投稿しました」なんて投稿しても、その投稿が流し読みされるだけです。
せめて、簡単なあらすじ、その話の注目ポイントくらいは書きましょう。
そして、SNSの導線を引いていたとしても、ブログの導線はどうでしょうか?
そもそも今やブログを持っていないという方もいらっしゃるでしょう。
または、既存のサービスを利用している方もいらっしゃるでしょう。
ここで、自分のブログ開設などを、あわててする必要はありません。
ブログ運営には、あなたの適正が重要になってきます。
ブログであなたのの日常生活を書いても、厳しいですが意味がありません。
例えば、投稿での試行錯誤の記録だとか、成功談、失敗談……
あるいは政治、経済、思想でもなんでもいいです……自分の趣味についてのコンテンツもいいでしょう。
日記ではなく、ある種の作品にする必要があるのです。
すなわち、このような事を行うためのブログで使う『武器』があるかどうか、という話になります。
小説ではそのまま使えない、だけど自信を持って書ける、そういう話題があるなら是非ブログを始めましょう。
これは「作者の名を売るため」という、セルフブランディング戦略の一環となります。
私はCloudflare Pages を独自ドメインで運営しています。
Cloudflare Pagesについては、各自調べて設置すればいいでしょう。
当然、セルフブランディング戦略であれば、独自ドメインが好ましいです。
ペンネームや、ペンネームから派生した愛称など、短いドメインがいいでしょう。
参考までに、私のブログはCloudflare PagesをGitHubと組み合わせて、
静的サイトジェネレーターHugoを利用して無料です。
ドメイン維持費がおよそ月150円程度になっています、これもCloudflareでの管理です。
初回の場合はドメイン取得料が掛かりますが、検討する余地はあるでしょう。
導線を引くことで、ユニークユーザの獲得が増える可能性があります。
■ 週別ユニークユーザがあれば、ジャンル次第でランキング上位は取れる
通常の指南では『ブクマや評価で総合ポイントを上げろ』という話になっているでしょう。
ですが、ここでは基本――そんな、誰もがやってる事には言及しません。
正直、ほとんどどこにも「ユニークユーザを狙え」だなんて書かれていませんよね。
まあ、その理由は想像がつきます。
「どうやってユニークユーザを増やすのか」――その方法が不明瞭だからでしょう。
しかし、なろう読者以外を意識した途端に、この構図は崩壊します。
そういう人に読んで貰うために、タイトルやあらすじのフックは、とても重要ですね。
なろう読者以外をターゲットにすると、なろう外経由でユニークユーザが増えます。
……すると、結果として、なろう内の読者層にもリーチできる可能性があります。
実際、検索ソートに「週間ユニークユーザーが多い順」があります、しかも「最新更新順」のすぐ下、二番目ですよ?
ここから「なろう」がどれほど週間UUを重視しているか、垣間見えてはきませんか?
私はカルト層向け作品を書いてるために、残念ながら評価には繋がりませんでした(笑)。
それでも現時点でこの評価……もしかしたら週別ユニークユーザ以外は、当時はもっと低かったかもしれない数値を例に挙げます――
最終更新日:2025/05/20 11:33 読了時間:約348分(173,889文字)
週別ユニークユーザ: 282人 レビュー数: 0件 挿絵あり
総合ポイント: 26 pt
ブックマーク: 4件 評価人数: 2 人 評価ポイント: 18 pt
この作品「電脳麻薬カンパニー狂騒曲」の「パニックSF完結済み日間作品ランキング」瞬間最大風速が【2位】です。
当時の週別ユニークユーザは600~1000周辺でした。
この水準であれば、「ネトコン13×完結済パニックSF」のカテゴリ内で、週別ユニークユーザ最上位層に食い込むことが可能です。
具体的には『一位争奪戦』の常連クラス――つまり、相手次第では週間一位も連続で狙えるレベルでした。
事実、ネトコン13という条件を外した「完結済パニックSF」での週別ユニークユーザ『二位争奪戦』水準であり、これも連続で狙えるレベルでした。
評価が得られれば、もっと高くて安定したランキングが取れるでしょう。
あるジャンルでは「ネトコン13×あるジャンル」でトップ10のうち9作品を同じ作者が占めていたのを観測しています。
週間UU近辺を全ジャンルで見ていて「なんだ、この俺に限りなく近い総合ポイント?(要するに二桁)」って驚きましたよ。
なお、私なりの解釈では「小説家になろう」は、本気で小説家の卵を探しているんです。
だから、評価が低くとも、注目されている作品はランキングに載るという現象が起こるのではないかと。
ただ、こればかりは、あなたの書くジャンル次第の話ですね。
もちろん、ハイファンタジーや異世界恋愛などのような超激戦ジャンルでは、同じように「ユニークユーザ数上位を取れば即ランキング上位」という単純な話ではありません。
事実、私もヒューマンドラマジャンルでは大苦戦しています。
なにしろ、これらのジャンルでは評価ポイントやブクマ数の影響が極めて大きく、ユニークユーザ数が高くても「評価されない」ことが多々あると推測します。
ジャンルによっては、ユニークユーザ数が多いからと、ランキングに繋がるとはならないでしょう。
とはいえ、ユニークユーザは『読まれた』という確かな証です。
導線を引くことは、どのジャンルでも無駄ではありません。
これは、あくまでユニークユーザ利用戦略が有効なジャンルもある、という理解でご活用ください。
無理して書けないニッチジャンルに挑むよりは、あなたが本当に書きたいことこそが最も大切です。
ジャンル戦略は、あくまで参考程度に。
また、ジャンルでの対策はこちらが参考になるでしょう。
https://www.cg-con.com/topics/36447/
■ 短編と長編の相互導線を引いて、シナジー効果を狙え
また、長編を書いてるあなたは、短編でシナジー効果を狙うのも効果的です。
あなたの作品に魅了された読者は「この作家、他になにを書いているのだろう」と動きます、私自身がそう動きます。
ですから、短編で読者を獲得して魅了し、長編への導線を引く、もしくはその逆とするのです。
また、長編を執筆しているあなたにとって、短編との『シナジー効果』を狙うのは非常に効果的です。
あなたの作品に魅了された読者は――
「この作家、他になにを書いているのだろう?」
と、自然に動きます――実際、私自身もそうして動いてきました。
ですから、短編で読者を惹きつけて長編へ導く。
あるいはその逆――長編から短編へ『興味の梯子』をかけるのも、有効な戦略です。
■ 改行に気をつけろ
無駄に空行を入れたり、逆に地の文を改行抜きで続ける作品も見受けられます。
このような事は避けて、読者の負荷を考えましょう。
無駄な改行は百害あって一利なしです。
ブラウザで閲覧する場合、読者側が自分で適切な幅を設定できます。
スマホでもPCでも、無駄な改行は一画面に表示される文字数が少なくなり、視認性が悪くなるだけです。
率直な話、無駄な空行の作品に行き当たったら、私は速攻で画面を閉じます。
逆に地の文が改行抜きというのは、意外と深刻な問題です。
文字が詰まって読者の負荷が高いだけでなく、それは台詞や演出効果が少ないということを意味しています。
言い換えると、小説ではなく「あらすじ」になってしまっています。
地の文が多い例:
爆発音がしたので、外に飛び出したら、世界が光に包まれて廃墟になった街が現れた。
地の文を軽減した例:
突如、爆発音がした。
「な、なんだ――?」
外に飛び出して、その光景に唖然とした。
「ま、眩しい――!」
世界が光に包まれていた――その光が収まったら、そこには今まで暮らしていた街の……廃墟しか残っていなかった。
どうでしょうか?地の文と台詞を適度に織り交ぜることで、躍動感が出たと思います。
また、この台詞で、少なくとも爆発音を聞いたのは男性だというのも明らかになっていますね。
名前をこの時点で出したくない、もしくは名前不要でも台詞一つで語れるものがあります。
ここでは台詞と地の文の間に空行を入れてませんが、ケースバイケースで入れましょう。
地の文と台詞の間に空行があれば、多くの場合はテンポがよくなるでしょう。
もちろん、草稿段階でなら「仮置きとして」地の文を置くことは否定はしません。
また、難読漢字については「小説家が読者に届ける、たった一つの重要なこと ~伝わらない言葉に意味はない~」に記しました。要するに『難読漢字を出すのは控えましょう』です。
https://ncode.syosetu.com/n2117lc/
■ 長編を書くなら、ある程度書きためろ、キツいなら最後まで書いてから公開だ
ライブ感覚で読者の感想を見て話の転がし方を変える……という芸当は、今はできなくて構いません。
というか、できる必要があるのでしょうか?
連載作品の場合は――最低限、章単位(1章あたり20エピソード以上を想定※個人差あり)で書きためましょう。
そして、手元で徹底的に推敲しましょう。
誤字脱字は可能な限り潰す、表記揺れも可能な限り潰す。難読漢字で読者の思考を止める表記は改める。人名が多すぎないかをチェックする(人の記憶に適正なマジックナンバー 7±2人)など――『書いてからが本番』と言っても過言ではありません。
先に書いた「仮のあらすじ」のような部分も、徹底的に潰していきましょう。
読者の誤字脱字報告に頼るなど、作家としてあるまじき行為です。
プロになれば編集が誤字を潰してくれるなんて、どうしようもない甘えです。
事実――私が知る限り『きちんと読んでいれば気づく固有名詞間違い』が堂々と出版されているのを複数見ています。
おそらく、皆さんも聞いたことがある有名作品でさえそうです。
そして、掲載を始めたなら、可能な限りノンストップで掲載しましょう。
章の終わりから時間が空いてしまうと、読者は内容を忘れてしまっているかもしれません。
また、ある程度長く書いていると、設定の不整合もどんどん出てきます。
設定の整合性に自信がない方は、私のように全て手元で書き上げるのがいいでしょう。
私などは、何度も言葉を研ぎ澄まし、全て書き上げてから、何度も推敲して上げてるはずなのに、まだまだ設定不整合や誤字脱字、表記揺れに苦しんでますからね(笑)
アマチュア小説の執筆であれば、一日中創作に打ち込める人は少数派でしょう。
そうなると必然的に、週二回更新とか週一回更新とか……更新間隔は減っていきます。
すると読者はどう見るでしょうか?
「ああ、この作者はもう余裕がないな。下手すると打ち切りがあるかも」
こう警戒されても不思議ではありません。
まあ、そうでなくても週一回更新などは、内容を忘れられても不思議ではない間隔ですね。
だからこそ、総合すると「書きためろ」それでも辛いなら「最後まで書いてから公開しろ」になるんです。
■ 完結ブーストは効果的に、章完結で完結済とするのは要注意
俗にいう『完結ブースト』……これは、ジャンル内で更新日が非常に新しく、完結済みの作品が注目されやすいという現象を指します。
これは即ち「最終更新日でソートして読む熱心な読者がいる」ということです。しかも完結済みという条件で。
ここで、考えてみてください。
そのような熱心な読者に、『第一章完結』とされた作品が、本当に刺さるでしょうか?
ニーズは色々あります、そして決して少なくない層が「完結している安心感」を求めているでしょう。
私もそうでした。そして、そういった読者層にとって『第一章完結』と銘打たれた作品は……言葉は悪いですが、『ノイズ』に映ることが多いです。
どうしても第二章の構想が短期間に浮かびそうにない、そして物語は一応これで楽しめる……などの条件が重なった時には、やむなく使う事になるでしょう。
先にも書いたように、長期間空ければ、読者は内容を忘れてしまうでしょう
新章の冒頭で簡単なあらすじを入れるなどの工夫は、必須となるでしょう。
一応、プロになったときを想定すると――
運が良ければ、打ち切りの際に『話を畳む』チャンスが得られるでしょう。
チャンスを逃さないために、いつでも「話を畳む訓練」は必要だと思います。
残念ながら、プロであっても『話を畳む』チャンスが得られないことは……ままあります。
少なくとも、続きが出ないという作品は、思い当たりがあるでしょう。
すなわち、一冊ごとに『ここでひとまず話を畳む』という戦略が必須となります。
最低限、エタっている作品が存在する作家の連載中作品……いくら面白くても、読む気が起こりますか?
また、エタっている作品が『完結済』と表示されていたら……それもまた読む気が失せるのではないでしょうか?
とあるエッセイを読んだところ、エタる作品の割合は……実は相当高いらしいです。70%とかそういう数字です
だからと言って、あなたの作品もエタらせていいと、そう肯定するつもりはありません。
このエッセイは少し古いものでしたが、完結作品を書ける、それだけで……「なろう」では20%程度の希少な存在になれます。
読者も『完結済み』を条件にして検索するケースは、それなりに多いでしょう(私もその口です)。
■ AIの使い方で主導権を失うな、創作支援と創作放棄の境界線
今や、AIを使っている人は多いでしょう。
しかし、どこからどこまで使っているかは人によって異なるでしょう。
1.例えば「アイデアをプロンプトに投げて、その出力を整形して自作とする」
2.例えば「あらすじまでAIに書かせて、それに加筆修正する」
3.例えば「アイデアの引き出しにして自分で書き、誤字脱字チェックや表記揺れ検出」
私は3.の使い方をしています。ここで、それぞれの長所短所を挙げてみます。
1.はとにかく短編向きで、長編に向かないですね。
長編になると、AIが内容を覚えられません。
結局、長編を書く場合は2.の手法に近づいていくでしょう。
また、1.はAI出力の典型的な「文章や構造の整いすぎ」が問題となります。
下手をすると「ありがちな作品の量産」になりかねません、没個性的な文章になるリスクが高いです。
また、モデルの大幅アップデートによる『言葉遣いの変化』に対応しきれないリスクがあります。
過去作との文体不整合が発生してしまうのは、作家として致命的です。
2.は短編・長編の両方のどちらにも使えますね……長編では限定的ですが。
ある意味、ここからが、主導権をこちらが握るターニングポイントだと思います。
ただ、あらすじをAIに書かせるというのは、多かれ少なかれその文章に引きずられます。
3.は昔ながらの小説家の姿勢に近いですね、AIを編集として使うスタイルです。
私もこの手法を取っていますが、欠点は……とにかく書く時間が掛かります。
書く時間が掛かるということは、公開までにも時間も掛かります。
きちんと内面的に持続するモチベーションがないとキツいでしょう。
また……私も部分的に、AIに書いてもらった箇所を小説に取り込むことがあります。
しかし、後で読み返してみると、どうしても浮いてしまうんですね。
だから、何度も何度も手を入れて、なんとか自分の文章に寄せています。
合格ラインは、AIに文章を読ませて、AIが書いた物かどうか迷うあたりでいいでしょう。
もちろん、AIを使ったことがないという方もいるでしょう。
そういう方は一度、既に書いてある作品を、どこかのAIサービスで誤字脱字チェックをさせてみるのがいいかもしれませんね?
詳しくは拙作「小説家ならテンプレートを使い倒せ!AIを使い倒せ!」をご覧ください。
https://ncode.syosetu.com/n6821lc/
■ よく見かけるが、読者視点で『アウト』に見える表記
正直、私には理解しがたいのが、こういった表記です。
「モチベーション維持のため、ブクマや評価をお願いします!」
いや、何を言っているの、と感じませんか?
あなたの承認欲求を満たすために読んでる訳じゃない、と感じませんか?
あまりにも『小説家』というものを軽んじている、と感じませんか?
このエッセイを読んでくださっている作家さんたちは、評価も少ない孤独の中でも必死に書き続けている方々だと思いますから……。
ちなみに私自身も、感想をいただいたことは一度しかありません。
先の「電脳麻薬カンパニー狂騒曲」は、あれで私の中でエースなんですよ?
でも、本当に『書きたい』『読んでもらいたい』という気持ちがあれば……それこそが最大のモチベーション源になるはずです。
読者を自分の『駒』のよう扱ってはいけません。
ここで敢えて断言しますが、ポイント乞食やってる人達はプロとしてやっていけません。
プロになれば、評価なんて売上げくらいしかないんですよ?
当然、書きたくない文章も書かなくてはいけない局面もありますよ?
そういう訳で、彼ら彼女らは「ポイント稼ぎゲームをやっている」と流しましょう。
お願いをするにしても、改めて書きますが――あとがきではなく、せめてランキングタグに小さな文字で書きましょう。
文面もまた「面白かったなら、感想や評価を頂けると筆者の励みになります」程度に抑えて、強制をしないように。
■ 意外と見落としやすい縦書き添削
なろう小説はブラウザ上では横書き表示のため、つい忘れがちですが、ぜひ縦書きでの添削も行いましょう。
なろうにはPDF化のサービスがあり、これが縦書き表示になります。
また、スマホやタブレットの一部アプリでは、なろう小説を自動的に縦書きで表示するビューアが存在します。
そして執筆する上でも意外と大きいのが、横書きでは気づかなかった句読点の位置や話のリズムの違和感が、縦書きにすることで浮かび上がってきます。
すなわち、自分で気づかなかった違和感が、浮かび上がってくるわけですね。
たとえば一太郎をお持ちなら、公開用テキストを貼り付けるだけで確認できます。
お持ちでない場合でも、テキストエディタの縦書き表示や対応をしているものを活用すれば十分代替が可能です。
電子出版を視野に入れている場合は、この段階でEPUB化して縦書きの確認するのも有効です。
最悪でも、公開した後に自分の作品を、なろうでPDF化して結果を確認しましょう。
※EPUB化については、拙作『あなたが歴史に名を残すための小説作家戦略』のおまけをご参照ください。
https://ncode.syosetu.com/n2278kz/
Windowsなら:『Mery』をおすすめします。
無償で動作も軽く、縦書き対応に加えてアウトライン表示機能もプラグインで追加可能です。
章構成や全体構造を俯瞰するのに便利です。
Macなら:『CotEditor』+『Pages(縦書き)』の併用がいいかと思います。
CotEditorは軽量なテキストエディタ、Pagesはレイアウト確認やEPUB書き出しに向いています。
EPUB閲覧には、私はWindowsの『超縦書』を利用していますが、
他にも『Calibre』や『Thorium Reader』なども良い選択肢となるでしょう。
Windows利用者もMac利用者も、私の言葉を鵜呑みにせず、色々なソフトウェアを試してみるのがいいでしょう。
■ おわりに
ここに書いた事は「アマチュア~プロ志望の初級者層」を想定しています。
もちろん、奥の手については言語化しないでおきます。
割と当たり前の事ばかりかもしれませんが……少しでも、どこか一文でも、お役に立てば幸いです。
以上、評価もろくに得られないアマチュア作家からの指南でした(笑)