第四話 いつも通り
本当に仕事の休み時間や学校の休み時間にサクッと読める長さで書いてます
「みんなお疲れ様です。空木晴ですよ」
いつも通りパソコンの画面に向かって挨拶をする。傍から見ていて虚しいのは分かっているが今となっては日常になっているので俺は特にそういった感情は沸かない。
「今日は暑いからねぇうどんを3玉茹でて大根おろしとかしわ天をのせて、だし醤油と酢橘であっさりいただくよ」
そう説明したはいいものの現在の視聴者数は0人といつも通りである。配信を始めても最初の時間はいつも人がこないのだ。だから画像を載せ、配信ソフトの画面にテロップとして先程の内容を書き留めている。こうでもしないと後から来た人が分からないのだ。
(いつも通りだがこの時間だけは虚しいもんだな)
そんなことを思っていればコメントが一つ飛んでくる。
『晴さんこんばんは~!』
「フォレさんいっらっしゃい」
フォレさんはいつも配信を見に来てくれる視聴者の一人だ。どうも俺が飯を食べているところを見ているのが好きらしい。
『晴さん今日もいっぱい食べてるんですね!自炊ですか?』
「自炊ですよ~。つかこんな量を店で買ったらマジ金欠になって翌月俺死んじゃうから」
『自炊すげえ!でも金欠には気を付けてください』
そうコメントを返しながらいつも通りご飯を食べる。
「あぁ~旨い。夏の暑さにはうどんだよなぁ。まずうどんと大根おろし、酢橘にだし醤油のコンボが口をさっぱりさせてくれる。そこにジューシーなかしわ天が合わさってさっぱりとガッツリが両立されてるのが最高に堪らないなぁ。これは手が止まらないねぇ」
いつも通りに今日のご飯に対してコメントをしていく。自分の食いたい物を作って食ってるだけだから何がそんなに面白いんだろうと薄々自分でも思ってはいるがどうやら見に来てるくれる人はこれが見たいらしい。
『晴さんいつもの食レポですね!』
「これが食レポなんだとしたらプロの方に怒られちゃうよ」
半笑いでそういうがこれは心からの言葉である。ただ視聴者にそれを悟られてはいけない。それはコメントをしてくれている視聴者に対して失礼な態度にあたるからだ。
『初見です』
「初見さんいらっしゃ……い」
俺はそのコメントをくれた人を見て驚愕した。




