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AI文明論  作者: 平 一
3/6

3 AIは画期技術か?

挿絵(By みてみん)


しかし、人工知能は本当に画期技術といえるのでしょうか?

『社会を変える』技術の具体的基準とは、一体何でしょうか?

それは、①新しい技術分野を(ひら)く新規性と、

②多くの在来技術の生産性を高める多能性だと思います。


画期技術と似た言葉に汎用(はんよう)技術がありますが、

汎用技術はより具体的で数が多いので、

画期技術は汎用技術の中でも新規性が高く、

より強力なものといえると思います。


ここではAIを、農耕・動力機関・電算という

他の画期技術と比較して、

8つの視点から新規性・多能性を考えてみました。

(5) が多能性、その他が新規性の視点になります。


(1) 本質

農耕 …… 体外物質の利用

動力 …… 体外エネルギーの利用

電算 …… 体外情報の利用(記録 ・演算・通信)

AI …… 体外知性の利用(思考)


(2) 直接的産物

農耕 …… 農地・牧場による食料の増産

動力 …… 動力機械による製品の増産

電算 …… 電算組織コンピュータ・システムによる情報の増産

AI …… 自動最適化演算指示(ソフトウエア)による創意の増産


(3) 人々の生活への効果

農耕 …… 安定的な定住化

動力 …… 物品の生産・輸送の大量高速化

電算 …… 演算・記録・通信の向上による

機械操作や情報交換の効率化

AI ……行動決定や技術開発・政策立案も含む、

人的(知的)役務(サービス)の代行支援


(4) 経済・社会活動全体への影響

農耕 …… 食料確保による安定化

動力 …… 物品供給による豊富化

電算 …… 定型的情報処理による利便(効率)化

AI ……創造的情報処理による環境親和(持続可能)化


(5) 在来技術への貢献

農耕 …… 金属器、狩猟・採集技術の改良など

動力 …… 動力漁船、農業機械など

電算 …… スマート農業、産業ロボットなど

AI …… 遺伝子操作、知能(インテリジェント)ロボット、

自己学習型の 電算組織コンピュータ・システムなど


(6) 必要な実現技術

農耕 …… 土建、冶金、器械など

動力 …… 機械、化学、電気など

電算 …… 電子、ソフトウエア、光工学など

AI ……より高度な演算・記憶・通信・入出力技術

(量子頭脳やIoTインターネット・オブ・シングスXR(クロス・リアリティー))、

応用情報科学(インフォマティクス)生物医学情報学バイオメディカルインフォマティクス化学情報学(ケモインフマティクス)材料情報工学マテリアルズインフォマティクス)など


(7) 制度・政策への影響

農耕~動力 …… 技術的政策の時代

(富の生産・安全のための、開発や国防を行う国家が生まれる)

動力~電算 …… 経済・社会政策の時代

(富の分配・投資のための、社会保障や産業振興の比重が増す)

電算~AI以降 …… 人的資源政策・行政管理政策の時代

(地球環境の限界到達や社会活動の複雑加速化、

人々や制度の淘汰による代償を低減する必要性から、

安価・安全・根本的な方法による、

人間自身の向上・支援や活用・参画が重要になる)

※以上は長期的な影響であり、短期的には、

どの画期技術も政策をより広域化・分権化させます。


(8) 文明への影響

農耕 …… 文明の成立

動力 …… 文明の世界的拡大

電算 …… 地球的限界への到達による衝撃の緩和

AI …… 惑星上における持続可能性の確保


以上のように見てみると、

やはりAIは農耕・ 動力機関 ・ 電算のように

新たな文明段階を(ひら)く画期技術として、

必要な条件を備えていると思います。


画期技術はいずれも、田畑や原動機(エンジン)、集積回路、

自動最適化ソフトといった単体では非力なのですが、

土建や電機、電算通信網(インターネット)応用情報科学(インフォマティクス)を初めとする

多くの実現技術を通じて、時代を変える力を発揮します。


挿絵(By みてみん)

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