表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私はただ、生きていく  作者: 夜華心希(よるはな ここみ)
3/4

2話

…私は何者なのか。


何度自分に問いかけても、答えは出てこない。


「…どうして」


心の内を吐露するように声が出る。


段々と呼吸が荒くなっていく。


過呼吸を起こしているようだ。


目の前がふらふらとし、眩暈も始まった。


立って居られなくなってしまい、膝をつく。


…落ち着かなければ。


体が異常をきたしたことで逆に少し冷静になり、何とか落ち着こうとゆっくり深呼吸をする。


少しずつ呼吸は落ち着きを取り戻し、眩暈も収まってきた。


「…なんとか、おちついた、かな」


最後にゆっくりと息を吐き、そうつぶやいた。


…喉がカラカラだ。


何とかもう一度立ち上がり、記憶を頼りに水たまりがあった方へ目を向ける。


そこには前に見た通り、水たまりがあった。


ゆっくりとそこへ歩いていき、確認をする。


水は綺麗に澄んでいて、飲んでも問題なさそうなことが分かる。


ふと水の流れを追っていくと、石壁の方から流れてきていることが分かった。


念のため少しだけ手ですくって口に含むと、少しの甘みを感じる。


「…うん、これなら飲めそう」


そう判断して、両手ですくって飲みはじめる。


思ったよりも喉が渇いていたのか、1回では足りずに何回か繰り返す。


すくって、飲む。

すくって、飲む。

すくって、飲む。


10回目に到達しようかというところで、満足して水をすくうのをやめる。


…少し飲みすぎたかも。


ちょっとだけ重くなった気がするお腹が気になるが、問題は無さそうなので気にしないことにする。


夢中になって飲んでいたため、少し息が荒い。


呼吸を整えるように落ち着かせていく。


「…あ」


ふと、水面に自分の顔が映っていることに気が付いた。


薄暗い洞窟の中で見えにくいため、少し近づいて見てみる。


まず、そのくすんだ白色でかなり長めの髪が目に入った。

しばらく手入れがされていないのか、髪は伸び放題でバサバサになってしまっている。

そして、何か赤黒いものが点々と付着している。


…血の跡だろうか?


少しだけゾッとしつつ、しかし続けて顔を見ようと思い前髪を除ける。


まず目に入ったのは、その蒼い瞳。

少しだけ輝いているように見えるその瞳に、思わず綺麗だと思ってしまった。

目は若干ジト目っぽいタレ目、鼻や口は小さめのようで、全体的に少し幼く見える。


「…そういえば」


そこでふと思いつき、自分の胸部を触る。


そこまで大きくはないが、柔らかいものが少し手を押し返してくる。


…どうやら私は女のようだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ