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ジリジリと同じ天の太陽が俺のアタマをヤクのだから夢の中ではないのだろう。頭の中は真っ白ではなくて視界とおなじく鮮明。
いつもの学校の帰り校門前でつかまり、そいつは居た。何もない高2の春なかばにそいつは。
時を戻していまになって気付けば何故かざわついていておかしいと思っていた。そいつ、と出会い俺は、周りはざわざわとなり。鼓動はバクバクとはやくなる。
深緑色の制服は溶け込めないイブツであり、エメラルドの瞳は特別であり。黒いセミロングは呼び止めた自転車の持ち主に近づいてくる。
「才賀くん誰そのかわいいひと?」
「……え武田さん?」
「こいつは……ダガ」
「サイガタモツの幼馴染でーす!」
「ええ! ……ん? 幼馴染? 幼馴染ってふたりいたんだ、あはは」
「え、サイガタモツ幼馴染ふたりやば」
「は!? いや、え? ちょっと──来い!!」
思わず自転車を止めそいつのミドリの袖を引き連れて、隠れられないがその状況から男子生徒は隠れる。
「おいなんだよそれ! そもそもなんでいる!」
「なんでってふたりめの幼馴染だから?」
「なわけあるか!」
思わぬヤツとのエンカウントに秘密の会話というのならばあまりにも滑稽、常時背につきささるモノをひしひしと感じ。
「でさぁ才賀くんおふたり滅茶苦茶目立ってるよ、いつもよりあはは」
滅茶苦茶目立っている、武田さんはそう言っている。野次馬……というよりは当然、臙脂色の生徒たちに横目にされたり見物されたりたくさんの瞳がこいつと俺に集まっていた。だが話しかけたのはラッキーシート前の武田さんだけだ、俺という生徒に話しかけるアレもないのだろう。
「だって」
「……逃げるぞ」
「逃げたいんだぁ」
会ってから終始こいつは笑顔だ……いやニヤけて下にみている。
そのニヤけ顔とおちょくっている意をかんじる返しに少し、おおいにイラついた。
逃げたいに決まっている、この学校で、人生でこんなに目立った事は無いんだから。悪い意味で。
学校の玄関まえで注目をあつめ、そいつのしてやったりキラーパスな瞳に。
このままではひどく紅潮してしまう、そしてソレはここでは最悪なことである。俺という男は幼稚園の卒業劇以来目立つことになれていない、圧倒的に経験が足りない。
「あははうんあの才賀くんが優勝とはね、じゃねー」
武田良子は、校門から右の道へと行き陽気に手を振り2人を置き去りにし去っていった。
「へぇーサイガタモツ、優勝したってよ。何にだろうね?」
「まじでオマエ……」
まだまだ大注目、そしてこの状況から逃げ出すためにすぐさま鉄色の自転車をからからとひき。どすり。
「おい」
「ん?」
「なわけはないんだよ!」
「ひゃっ!? ちょっと! 優勝品だよ?」
真顔クール顔を決めやがったそいつをハンドルを揺らしながら後部シートから飛ぶようにどかし。前カゴにいつの間にやら既に入れられていたそいつの茶色の鞄をちらっと見つめたら────やり場のないため息は漏れて、からからとまた進み出した。




