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 このところカラスミで何かがおかしいと思ったらたいていそれはある男子生徒のことなのだろう。


 何もない放課後にまたそいつは居たんだ。ダイレクトメールだけのうすい繋がりのそいつが。


 校門にたどり着かないまででももう見えていたその周りとは全然ちがう分かりやすい色が。



「もう3日なんですけど」


「……なにが」


「なにがじゃないでしょ、ほら行くよサイガタモツ」


「なんでだよ、なんでいるんだ」


「だってハレジョからカラスミは近いしぃ?」


「徒歩じゃそこまで近くもないぞ」


「そっじゃ、このまま消えてほしい?」


「は?」


「どっちかえらびま」

「とりあえずさ、もうずっと恥ずかしいからさ……行こうぜ」


「え? ふふふ? どもー」


 烏未波の生徒にご挨拶をする翠晴女子、ざわつく視線に陽気にご挨拶。


 また意味の分からない押しかけにより注目を浴びてしまっていて、このままじゃ本当にまた赤面必至だろう。それを問うてもこいつの思うツボでしかないのだから。


 よからぬうわさで俺の烏未波での生活が崩壊してしまうまえに。こいつをどうにか処理しないといけない。


 鉄色の自転車はカラカラといく、自らハレジョの鞄を回収して、二人乗りまではさせない。




▼▼▼

▽▽▽




 週に2度同じファミレスで学校帰りに男女がパフェだけを食べる、そんな高校生活を青春と名づけるのならばそんなこと……誰がしているんだろう。


 シンプルにチョコパフェを頬張っていく。


 それはひどくシンプルに冷たくて甘くて美味しい。


 でも目の前の事態もこのチョコレートパフェのようにシンプルだ。


 ぐさっとパフェ用のスプーンをその甘すぎるタワーにブッ刺してまずは威嚇。


 そいつが見せつけたスパホの画面に映る3DAIキャラクターは鏡を見ているようであり、もし自分のドッペルゲンガーを見つけたら人間といのものは危機感と不快感からそいつをぶん殴るのだろう。


「おいこれ俺のパクリだよな」


「ン?」


 また飽きもせず飽きたはずの抹茶パフェを食べている。その美しい造形のエメラルドの瞳が今は可愛くはない、スプーンをんっと、抹茶パフェを頬張るあざとさをぶん殴りたい。


「ン、じゃねぇよどこからどうみても俺じゃねぇか!」


「はぁ? なぜせっかくノ! たのしいたのしいゲームで! 私とちがぁいッどこにでも居そうなあなたに似せたキャラをわざわざ作るというのですかぁー?」


「ふざけんな! 目とか髪型も雰囲気もほぼ俺じゃねぇか! 消せ!」


「いやですけど、自意識過剰? あなたみたいな男を私が飼うわけないじゃん」


「飼う?」


「うん飼ってるの」


「けせ!」


「あははははは……無理っ」


 怒っている風に見えるのは男子生徒だけであり、明らかに俺を煽るためだけに計画をもってこのウランドをはじめやがったこいつは。



 このやり取りに何かデジャブを感じるのは、目の前のクールメイドではなくハレジョが俺にそう仕向けているからだろう、せいしゅんと題した明確なアクイをもって。



 そしてまたこの時間帯ならば暇を持て余しすぎた主婦は既に何故か来店していて大人しい子供を置き去りにする。その邪のない瞳でじっとこっちを見つめられると今の才賀保がどんな状況に置かれているのか理解させられてしまう。


 横から突き刺さる子供の視線と、それにヤラれた俺を目の前でニヤけてげらげらと。


 ブッ刺さったスプーンを引き抜き、あむっ、と食す。得意の才賀保の省エネモードに切り替え、またしてもこの駄菓子屋オンナに高められたテンションを冷静さをもってクールダウンすることにした。目の前の異国人の問いかけを無視しチョコレートパフェの攻略をたのしみながら。


 まだ春でもなく夏でもないのに、さいあくがこのところつづいている。

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