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スパホのファミレスで使える電子マネーで支払いは済ませた、いえの家電、新しい冷蔵庫を買ったときのポイントでだ……お母さんが何やら裏技で増やした金だし、あと4万円はある……いいよな!
どことなく視線をまだ感じる店を出たら──まだアイツがいた。
店の前でにやけダブルピースを揺らしている、変態だ。こちらを煽っているのかただの馬鹿なのか……。
「ごちそうさまっ! ま男が私に払うのは当然だよねっ」
「……じぶんで言うのか……わけわかんね」
「そりゃ私だもん!」
「……っておまえその制服あそこの女子校だろ」
深緑色のどこか気品のある制服。ブレザースタイルなのは同じだけどカラスミより近場にある翠晴女子の制服だ。
つい、下から舐めるように確認してしまった才賀保は内心慌ててしまい、エメラルドの目が合ったとき髪を無駄に掻きむしって視線を少しそらしてしまう。
「ん? あぁ、ダッサイ色だよねこれ! わたしそのえんじ色、カラスミの制服が良かった! もう滅茶苦茶今日校門で待ってたときもっ」
「……はぁ? 何もよくねぇよ、じゃなっ」
「ヨクナ、ちょっと! まだまだ遠いんだけどっ! パフェデートしたばかりのかわいい女子放置はありえないってサイガタモツくん!」
「デートじゃなくて恐喝だろ駄菓子屋、あとまたじぶんで……はぁ」
こんなやつは輩ギャルの多そうな烏未波にも存在しやしない……はじめてだ。自分の顔にどんだけ自信あんだよ…………まぁじっさ──
くだらない会話をしながらもロックを開け鉄色の自転車はその場をゆるりと立ち去ろうとした──タッタッタッがごっ、とカバンは自転車の前カゴに。
「おいっ!」
「サイガタモツの晴女現役JKといく二人乗りチャレンジ!」
「はハレジョでゲンエキ!? さっきから、イヤズット! なにがやりたいんだよ!」
「強いて言えば……せいしゅん?」
顎に人差し指をあて目はどこを見上げているのか、あざとい一般人がぶん殴りたくなるような表情と口調で。
「せ、青春……」
「だって優勝しなきゃっ、青春なら!!」
「おまえ……本当に他人と会話する気あるか?」
「さ、行ったイッタ! まさか女子1人すら運べない?? サイガタモツは?」
「いちいちみくだ……運んだら帰れよ!」
「ふふふ、そりゃ帰りますよ運べたらねぇーーっ」
座り心地のわるい後部座席に横座るおもし。またその特別な瞳で振り返り苦笑う俺を当然のように見つめてくる。
コロコロと表情とテンションを変えまくるこのハレジョ駄菓子屋オンナに、俺才賀保は……その美貌に転がされているのだろうか。
俺の軽すぎる人生に乗られてるしノセられているそんな気しかしないけど────
えんじ色とふかみどりは、おもいペダルを回しながらカラカラとゆっくり、元気なおうえんを背に加速していく。




