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 まったくもって意味のわからないこと。


 それは今の目の前に展開しているこの状況だろう。


「あー、最悪だ……。で?」


「で?」


「わざわざここまでするのはさ……こないだの復讐? あれはな、そりゃ言い捨てたのは悪かったけど俺は間違っちゃいないからな! 裏世界なんだからなにやっ」


「うん。そうだね」


「うん、そうだねって……?」


「私アレからほんのッ少しだけムカついて調べたの。そしたらあなたがメイッパイヤッターで上げてるじゃないほらこれとか、最近でも変な駄菓子、ブッ壊れ電柱チョコ意味不明なんだけどナニこれ? ふふ」


「な、なにってそりゃクールメイドが頭突きでブッ壊した電柱チョコ500G、全12種フィギュア付きだけど」


「ふふふ、聞いても意味不明なんだけど? ふぅんじゃあ、このクールメイ」

「言っとくけど断じてお前ではない」


「はいはい無理があるけどぉわかったよワタシじゃないワタシじゃない」


「はぁ……」


「でさぁ! これなんなの? こういうの詳しいの?」


「……いやべつに詳しくもないし何か面白そうだから始めてみただけ……だ」


「お待たせしました、抹茶パフェのお客様?」


 重そうにおぼんを持った修行の足りないウェイトレス、苺パフェと抹茶パフェが来た。


 抹茶はべつに嫌いじゃない。


 給仕に向かい手をかるく上げて。頂に抹茶ソフトと抹茶チョコにしらたま中層にコーンフレークとバニラその下にまた抹茶、抹茶ソースのかかった王道抹茶パフェがドンと才賀保の前へと運ばれ──たのは一瞬であった。


「それ私のなんだけど、馬鹿なの? あなたはこっち」


 テーブルからスプーンを取り出している間に前後にスライドし入れ替わった、何故かただの苺パフェが俺の目の前にあり。


「はぁ? なんで俺が苺なんだよ!」


「は? なんでそこにキレてるわけ!? 苺好きでしょ?」


「んなわけあるかー! 苺なんてなぁ、誰もが好きだと思うなよお前ら! 甘くて酸っぱくて水っぽくてミカンの旨味チカラ下位互換なんだよ!」


 思ったよりもボリュームがデカかったのはパフェだけではなく。


 ざわざわとそこに視線が集まっているのがわかる。そう視線が──


「ははははちょっと正気ですか? ここファミレスですよ。じゃあ、はんぶんこにする? 仕方ないなぁあむ」


 もうそれは食されており銀のスプーンから唇がはなれる。見せつける……みせつけられているこちらをニヤニヤと、確信してやっている気しかしない……この意味のわからない駄菓子屋オンナは……。


「い、いらない!」


「いちほひらいなんでひょ」


「嫌いだけど食べれないとは言ってない。いや苺もいいとこあるよ、ほら、なんだっけ……有名だし」


「何子供に苺の挽回しようとしてんのよ。もう変人にしか見えてないよ。ねぇーー」


 ただただ俺、とパフェを見つめる謎の横のテーブルの子供女子の視線……さいあくが重なる。ファミレスでこういう光景は漫画とかで見たことがある……なんでこの時間にいるんだ……てか親は? たのむっ、俺をそんな目でみないでくれ!


 スプーンは既に手にとっている。苺パフェをいただき。その様子を子供女子に、いや2人に見つめられている。なんだこの状況は……。


 エメラルドの瞳がじっと、ニヤニヤと。才賀保はこの苺パフェに逃げ道を探し黙々と食し続けた。


 ただただ黙々とクールメイドよりクールに、クールな甘味を高校生男子は。




「はぁあのさぁ」


「…………」


「もしかしてそれで乗り切る気?」


「うん」


「信じられないわ……」


「別に信じる必要もない赤の他人」


「うわっ、常にそんな思考なんだ」


「うん。で?」


「ちょっとそれちょうだいっ抹茶飽きた」


「無理だね! うん! 苺のこの絶妙な酸味飽きないわー、みかんなら既に飽きてんもんなぁー!」


 横目でチラリ下手なおどけを見せながら苺パフェの凄さを解説、大げさに食レポ、ただただ見つめる女児に見せつけた。


 戻ってきた母親にも。


 その目は完全に不審者扱いをしている、我が子を守るための目を確実におれに向けてしている。


 その人体をうるおす冷たい甘さに才賀保はフリーズしながら。


「うっ……」


「はははすみませーん」


 げらげらと目の前の駄菓子屋女子は俺を笑い続けている。


 さいあくな状況にはまだまだこんな底があったんだ。


 男は人生一番の苦笑いを他人にみせなかなか減らないはじめての苺パフェを崩していきながら。

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