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 うっすい関係しかないからか烏未波の良心である武田さん以外の誰とも変な輩とも絡まれなかったのはラッキー、だけど道中アンラッキー。

 なんでいるのかわからない。自転車を引きながら隣には駄菓子屋オンナがいる。この夢幻につづくかに思われたグレーの道中を曲がりいつの間にか。


 ニヤケ顔に挑発牽引されてしまったのか……何故かとりあえず入ってしまった三年間はぜったいに利用することのないファミレス。こいつから逃げるという選択肢もあったが、ない。


 ほんとうになんで来たのかどうかが分からないからだ。話はそちらで? ウソみたいな無言の道中、何度訝しむ不機嫌なチラ見をしても黒髪のソイツはそんなイラつく顔をしていた。


 中途半端な時間だからか空いていた席に着き、カラカラと車輪を回す音だけの道中、せき止められていた感情と驚きとすべて。


「なんで!」


「今の時代なんでもわかるから」


「ふざけんなよストーカー!」


「ご注文は?」


「うっ、ホットコーヒー」


「なわけないでしょ」


「は?」


「今をときめく学生2人がホットコーヒーたのむわけないでしょ! てかくそアツいのに! ばかになってんじゃない」


「……は、はぁあ?」


「はぁ、ンンッ……。苺パフェ。抹茶パフェ。おねがいしまっす!」


「か、かしこまりました」


 注文をたわまったウェイトレスはその舞台からはけていき。


「ぱ、ぱふぇえ!?」


「ぱ、ぱふぇえ!? じゃないけど。馬鹿なの? サイガタモツ……ろくな青春送ってないのねぇこんなの常識でしょ?」


 パフェ。パフェに驚いてしまった。そんなものを食べたことも注文したこともなく、下校時にファミレスに立ち寄りちょっとパフェなんて普通じゃなさすぎて才賀保は目を見開きすこし後ろへとのけぞった。


 その嘘みたいな本当の反応を見た彼女は、目はワラい見下しながら大口をあけてソレをウソみたいに過剰に真似した。


「そんなろくな常識があるかぁ! 駄菓子屋オンナァ!」


「あ、もしかしてパフェ代すら払えない? うわー、高校生だよ2000円も出せない雑魚なんだぁうわぁ」


「うるせぇ! ってなんで俺がハラ! って話はそうじゃねぇ!」


「え、あー。ま、いいけど」


 突然クール平然となったり、表情をコロコロ変えながら弄ばれている。校門からずっとつづいたそんな状況下に気付けば振り回されていた。


 アツい頭と顔は冷静さを少しとりもどし目の前の人物より更に下のテンションを行く。


「はぁ、何しに来た」


「何しに? ふふ、だからどんな高校通ってるのか見に来てやったのよ、なのにこんな近場それもカラスミだったなんてね。まちょっと徒歩では遠かったかな? あっつー」


 緑のブレザーを脱ぎ長ソファーの隣カバンの上に放置、首もとをぱたぱたとあおぎ右に傾げながらまだニヤけながら──


「……うるせぇ……笑うなら笑えよ」


「笑う? なにが? カラスミでしょ?」


 十分にあおぎ煽り終えたのか──いやまだ向かい席のそいつは笑いつづけている。


 じんわりと気づかなかった額の汗が顎先へと滴り落ちそうになりそれを払い拭う。まだまだ終わりそうにないこのホットなファミレスのフィールドで気の利くクールに冷たいパフェの到着を願うばかりだ。

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