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 誕生日は3月、高校2年の16歳。


 才賀保(さいがたもつ)という男はどこか諦めている。


 いつものように自転車を飛ばし古びた公立高校へと通う。青信号のラッキーつづきがきっと本日2番目の幸せ。


 ぼっちでも辛くないのはスパホという友を得たからか。電池の残量が友の生命いつもマックスにし登校している。


 授業が退屈だとか友達らしい友達がいないだとか1人で飯を食うだとか。……ムカつく先生がいるとか。ひと昔前の時代なら俺はこんなに平然と生きていけなかったかもしれない。


 スーパーAI(エーアイ)フォンがあればそれをじっと見つめて隠れて笑っていれば退屈も苦痛も凌げる。


 2年B組、俺のクラスでの立ち位置はというと……。透明人間、なのだろう。色付くことも輝くこともない無色透明。毎日毎日スパホばっかり見てるやつ、でもそれは今の時代当たり前の光景だ、堂々とスパホとにらめっこ。この先の学校生活これ以上誰とも仲が深まることがないと思うとすこし悲しくなるけど自分から求めるということもないから、底のそこの現状維持。


 窓際の1番後ろ……から2番目の席はありがたい。ラッキーシートに座りながら。


「こいつ将棋つええ」

「フッ」

「くっそムカつくなぁメガネ!」

「フッ」


「にゃーお」

「猫動画は無限!」

「青春終わるぞ」


「ゆめのみほ先生だって」

「何点だった?」

「72」

「70」

「99」

「たかっ!」

「69」

「70切りは嫉妬おつ!」

「なんでよ!」

「ははははは」


「よしお気に入り11!」

「ははは」

「時間の無駄だろ」

「あ? 猫動画よりはマシだから」

「ははははたしかに」


 さて今日も空白の青春休みじかんを埋めるために眺める、この二画面式のスーパーAIフォン。AIのアシスト機能を活かすために二画面になったガラケーを進化させたような折り畳み式。


 暗転しばらく起動した世界。


 左画面上のクールメイドは俺にVメッセで報告をする。


クールメイド


今月の売り上げは……57万G(ゴールド)。人件費はAIなので無料。お小遣い欲しいです。



 現実セカイではぼっち、でも現実から覗く、繋がる裏世界では違う。駄菓子が売れましたよ。そう毎日俺の作った美人でクールなメイドが言うんだ。



 くすっと笑った才賀保、周りのちょっとした視線も気にならないくらい自分の世界に浸っていた。



 ある個人開発アプリ、開発者は俺にとってすこし面白いことを始めた。この世界は新たに始まったんだろう。


 だから俺も勝手にはじめることにした。


 ウランドを。

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