表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/85

決着

 さて、神頼みのギャンブラーらしく、ここからは完全に運ゲーを挑もう。ランダムブレスをキープマジックからではなくそのまま使うのは久しぶりだ。


 神様。最適解をお願いします。


 ランダムブレスを発動する。すると、いつもより一回り巨大な魔法陣が現れる。


「させないよ!」


 気づけばすぐそばに来ていた吉野さんに向けて、現れた魔法陣の魔法を放つ。効果等を確認していなかった。だからどんな技が出てくるのか気になってはいたが、その組み合わせは俺が今まで一度も見たことがないものだった。


 ……そして、超が付くほど、強力だった。


 魔法陣から放たれた風の魔法は吉野さんを吹き飛ばし、その顕現している羽の一部を消し飛ばした。


 今までに見たどれよりも強力。これはいったい……?


「いっつ……一体何を!?」


 何が起こったのかわからないという様子で吉野さんが俺に聞く。俺もわからないんだから答えようがない。


「さぁ? さて、まだまだ俺は負けませんよ」


 もう一度ランダムブレスを使用し、頭上に魔法陣をだす。一つ前と同じく巨大な魔法陣。その効果は。


 【火】【超火力特化】【広範囲】。


 超火力特化など何度もランダムブレスを使っていて初めて見たが、これも神に頼んだおかげだろうか。


 それとも、この戦闘中のランダム使用が鍵なのか。はたまた真髄に触れたのか。


 答えはわからない。だが、この状況、戦いぬかなきゃ損じゃないか?


「『ヘルフレイム』!」


 前からつけたかったカタカナの名前。せっかくだからここで付けようじゃないか。


 俺の周りを超高火力の炎が蹂躙する。今までとは比較にならない炎の出力。今ならAクラスの魔物でさえ余裕で討伐できる気がするぞ!


「近寄れないっ!?」


 吉野さんのステータスの防御力をもってしてもこの炎には近寄れないようだ。広範囲同時攻撃をしたはずなのに当たっていないのは納得いかないが、持続というものがあるからな。この間にもう一つ。


 さぁ、今度の魔法陣は。おっと普通の魔法だな。これはしまっておこう。


 まだチャンスはある。もう一度。


「きた! 『アビサル・ブレイク』」」


 【水】【超火力特化】【広範囲】。


 今度は大洪水のような水が俺の周囲を破壊していく。炎の持続が消滅するが、それは構わない。この魔法なら、吉野さんにダメージを与えられる。


 水の奔流をある程度操作し、全てが吉野さんの方に向かうように仕向ける。


「ぐぅっ!」


 水の奔流が吉野さんを押し流す。大きなダメージが与えられているようには見えないが、ダメージに喰わて距離を稼ぐことができた。


 これでまだまだランダムブレスを回し続ける余裕ができる。魔法陣を出して、普通のであれば即座にキープマジックに放りこみ、回数を稼ぐ。


 少し回数がかかったが、ようやく次の巨大な魔法陣が現れる。


 【風】【超火力特化】【近距離】。すでに水の奔流から立ち直った吉野さんがこちらに向かってきている。それに合わせてこいつをぶち込む。


「Bクラス試験を受ける実力じゃ収まらないよね君!」


 背後からの吉野さんの声。俺の近くにたどりつく前に加速したのか? まずい、斬られる!?


 聖剣に魔力を流して加速、魔法発動を間に合わせる!


「痛っ!」


 魔法発動が間に合うが、左腕を斬り飛ばされた。やはり血はでず、煙のようなものが発生するだけなので、失血による敗北の可能性はないだろうが、痛みがあるのと、剣を両腕で振るえなくなったのはかなりの打撃だ。


 発動が間に合った風の魔法は幾重にも重なる風の刃で、それは吉野さんの輝く鎧に傷を付けて行く。その刃は吉野さんの目にも損傷を負わせる。


「くっ」


 吉野さんは目に損傷を負ってからすぐにその刃の圏内から脱出する。致命傷にはもちろんならない。タフすぎるだろ。


「もう君の満点は決定だけど! ここからは私の矜持の問題。最後に一撃、もらっていってもらうわよ!」


 光輝く吉野さんの聖剣に魔力が凝縮されていく。絶対やばい。何としてもよけないと間違いなく死ぬ。洗練されたその気配から感じる殺意は俺の足を留める。


 ……そういえばこれを彩佳達が見ているんだよな。ただやられるだけじゃ、格好は付かないよな。絶対に俺だけなすすべなくやられるような真似はできない。


 隻腕での剣技なんてものは、スキルがなければできはしない。逆にいえば、剣聖のスキルを持っている俺になら、できる。吉野さんが俺から少し離れた場所で技の用意をしているうちに、俺は剣聖スキルの可能性を探る。


 片腕でも、問題なく戦えるように。全身の神経全てを研ぎ澄まして、深くまでスキルの可能性を漁っていく。極限まで集中している今だからこそ、スキルの可能性を探し当てることができた。


 これが……スキルの真髄。


 剣聖スキルの真髄に触れてわかった。ランダムブレスにはまだ別の何かがある。それは今の俺ではまだ触れることのできぬもの。


 剣聖スキルの真髄。吉野さんにぶつけてやろうじゃないか。


「剣聖・真髄『無我の構え』」


 どうやら剣聖スキルの真髄には様々な技があるようで、今の俺にはこれだけしか扱えそうになかった。右腕の剣を前方、吉野さんに向けて構え、集中する。


 その時、吉野さんから魔力の波動が放出される。凄まじい圧だ。


「これで終わり! 『番狂わせの聖剣』」


 瞬間、俺の目の前に移動してきた吉野さんがその聖剣を上段から俺に振り落とす。加速していなければ目に留めることすら出来ない一撃。これはよけられないだろう。だが、吉野さんのその胴は今、ガラ空きだ。


「『盤転』」


 剣聖スキルで手に入れた圧倒的技巧。それを活かして俺に吉野さんの聖剣が直撃する瞬間に俺の剣を吉野さんの胴に打ち込む。


 確かに鎧を破壊し、肉を断った手ごたえを感じた所で、視界が切り替わる。


 そこは白い扉の前。試験を始める前の場所にいた。


 どうやら俺は、一度死んだらしい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ