表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/85

2023年バレンタインIF『三並 彩佳』

 軽いバレンタイン記念(1/3)

 バレンタイン。それは大切な人にプレゼントを渡す日の事。日本では女性が男性にチョコレートを渡すのが一般的である。そんな日の前日、三並 彩佳は自宅のキッチンで頭を悩ませていた。傍らでは呆けながら冷蔵庫によりかかるロゼリアの姿がある。


「どうしよう。奏多に何を渡そうかな」


 彩佳はパーティーメンバーである、瀬戸 奏多にどんなチョコレートを渡すかで悩んでいたらしい。材料を並べてうなる彼女にロゼリアが一言。


『別に手作りにこだわらなくても良いんじゃないかのう』


 この状態で悩み続けてかれこれ15分。このままでは何も進まないとロゼリアが心配したのである。


「せっかくなら手作りを渡したいからこの材料を買ってきたんだし、何か作らないと気が済まないかな」


 キッチンに並ぶ大量の材料。それは彩佳が奏多の為に買ってきたもので、もともと家にあったものではなかった。


『時間はまだあるし、できるものをいろいろ作ってみて、それで選べばいいのではないかのう?』


 ならばとロゼリアが再度提案する。


「そうだね、そうしようかな」


 彩佳は材料をすべて使って複数作成し、その中から選ぶことに決めた。いくつかのレシピを確認し、最初に作るものを決める。


「最初はチョコクッキーにしようかな」


 彩佳はまずチョコクッキーの製作に取り掛かる。大量に購入した板チョコを取り出し、細かく砕いていく。それをボウルに入れて、バターと混ぜ、電子レンジで溶かしていく。


『甘い匂いじゃのう』


 若干食いしん坊なロゼリアが匂いに反応する。


「ロゼリアの分じゃないでしょ」


 別のボウルに卵と砂糖を入れて混ぜながら彩佳がそういった。


「そろそろ溶けたかな」


 レンジからチョコを溶かしていたボウルを取り出し確認する。


「うん、溶けてる。じゃあ混ぜよう」


 砂糖と卵を加えて混ぜたものとチョコを混ぜ合わせていく。さらに、薄力粉にベーキングパウダーを加えて混ぜていく。


「よし、これで後は冷やして、生地を作るって」


『これがクッキーになるのじゃからお菓子作りも不思議じゃのう』


◆◆◆


 チョコクッキー、チョコタルト、チョコカップケーキ、生チョコ。それらを彩佳が台所の上に並べる。


「どれにしよう……」


『どれもおいしそうじゃのう』


 作ったはいいものの振り出しに戻った状況を前に二人は再び悩み始める。


「じゃあこのチョコカップケーキはどうかな」


『それがいいと思うのじゃ。一番おいしそうだからのう』


 彩佳はそのチョコカップケーキを包装し、そして事前に購入していたあるお菓子を取り出す。


「これの意味、気づくかな」


 そういって彩佳はチョコとそのお菓子を袋に入れた。


◆◆◆


「珍しいな。平日に会うのなんて」


 彩佳に放課後呼び出しを受けた奏多が、青森駅に到着した。


「今日が何の日かは知ってる?」


「何の日……?」


 バレンタインデーという一大イベントを知らないように振る舞う奏多。実際彼はバレンタインからは縁遠い人生を送っていた。故に知ってはいても思い浮かばなかった。


「今日は2月14日だよ」


 2月14日はバレンタインということは関わりがなくても知っている。彩佳に日付を伝えられた奏多はようやくその日に当たることに気が付く。


「あーバレンタインデーか」


「そうそう。それでこれを渡そうと思って」


 彩佳は鞄からたくさんの種類のチョコととあるお菓子が入った袋をだす。


「これは……?」


 奏多はきょとんとしてその袋を見る。自分がチョコをもらえるなどとは思っていないようだ。


「チョコだよチョコ。それと……まぁもう一つは帰ったら確認して」


 奏多はそれを恐る恐る受け取る。


「え、本当にもらっていいのか?」


「奏多の為に作ったんだから当然」


 それを聞いた奏多は「初めてもらった……」と小さな声で呟き、うれしそうな顔をする。


「せっかくだから晩御飯一緒に食べない?」


 彩佳は奏多をご飯に誘う。ここ数日の間に何度か夕食を共にしているので、自然な流れであった。


「おう、今日はどこに行く?」


◆◆◆


 そうしてご飯を食べた帰り道。ロゼリアは彩佳に質問をする。


『奏多、あのお菓子の意味気付くかのう』


 あのお菓子とは、彩佳が作ったものではなく、購入していた市販のお菓子の事だ。


「別に気が付かなくても受け取ってもらえたならそれでいいかな」


 彩佳が奏多に渡した手作りではない方のお菓子。それはマカロンであった。


『そういえばチョコクッキーを渡さなくてよかったのう』


「どうして?」


 彩佳に聞かれたロゼリアはいたずらっぽい笑みを浮かべてこう答える。


『クッキーには友人へ送るという意味があるそうじゃからのう。友達だけで満足できないんじゃろう? 彩佳は』


 日の落ちた帰り道、何も言わない彩佳の顔が少し赤くなっているのをロゼリアは見逃さなかった。

 いかがでしたでしょうか。面白い! 続きが気になる! となっていただけた場合は評価、ブックマーク、感想等よろしくお願いします。モチベの維持につながります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ