お金持ち?
日曜日、朝。待ち合わせ場所である探索者協会前で彩佳を待つ。まぁまだ待ち合わせ時間の30分前。しばらく待たないとな。
「おはよう。早いね」
『待ち合わせより大分早いのう』
15分ほど待ったところで、彩佳がやってきた。もちろんロゼリアも一緒だ。
「おはよう、二人とも。じゃ、入るか?」
「そうだね。早く済ませちゃおう」
『そういえば奏多も試験の予約をするといっておったな』
Bクラスの昇格試験だな。彩佳はAクラスの昇格試験だけど。
「そうだぞ。でも、とりあえず俺は先に換金だ」
30万近くあったお金も直近の散財で半分以上使ってしまったからな。本当にお金がない。
「私は換金はこまめにしてるから今日は大丈夫かな。先に予約して待ってるね」
探索者協会の中に入り別行動だな。俺と彩佳はそれぞれ別の窓口に向かう。
「探索者協会にようこそ! 本日はどのようなご用件で?」
「買い取りをお願いします」
「かしこまりました。こちらにアイテムをお願いします」
受付嬢さんが出してきたトレイに魔石を出していく。困ったな、これだと入りきらない。まぁいい、とりあえずだそう。今日持ってきたのはBクラスの魔石3個、Cクラスの魔石21個、Dクラスの魔石が100個だ。
家にはまだまだ大量にDクラスの魔石がある。まぁ持ってこれる分だけだからな。
「お、多いですね。すいません、こちらのトレイと分けてお願いします」
指定された通りに分けて出す。二つ目のトレイが埋まりそうになったところで全部だ。
「これだけあると査定に時間がかかるので少々お待ちいただいてもよろしいでしょうか」
「はい。あ、それとBクラス試験の予約をしたいのですが、今の待ち時間の間に受付を済ませることは可能ですか?」
できれば少し時間短縮をして置きたい。彩佳を待たせてしまうのは少しな。
「可能ですよ。こちらの用紙に記入をお願いします。それと試験費用が2万円ほどかかりますがよろしいでしょうか?」
そういえばあったな、試験費用。試験にはあまり費用は掛からないのだが、無鉄砲に試験を受ける人を減らすために金額を設定したのだとか。
「はい、構いません」
「ありがとうございます。それでは査定を行います。整理番号は12番ですね。用紙を記入しながらお待ちください」
そういうと受付の人は奥へと下がっていった。
用紙には、年齢、住所等々、様々な個人情報を書き込む必要があった。探索者証だけならばここまで個人情報は必要なかった。Bクラスより先からはプロなのだという意識をここから感じる。
個人情報等々を書き終え、待合の席で査定終了を待つ。なんと言っても数が数だからな。気長に待つしかないだろう。彩佳には少し迷惑をかけるな。
「終わったよ」
『久々の試験じゃの。対人戦がどうなるか心配じゃ』
ちょうど彩佳達が戻ってきた。クラス昇格試験は、2つの項目がある。1つは筆記試験。これはまぁ割と常識的なものだから、真面目に探索者をやっていれば間違いなく通過するだろう。
問題は2つ目の対人戦。これは日本のみでの試験形式なのだが、ある特殊な能力を持った人が闘技場を用意してくれるので、そこで本気の闘いを格上の探索者を相手に行うというもの。
格上の探索者に認められれば晴れてクラス昇格というわけだ。Bクラスに上がる際はAクラスと、Aクラスに上がる際はSクラスとの戦闘になる。また、Sクラス昇格の際の試験は別物になるが、これは今は説明しなくても構わないだろう。
昔は対魔物の試験であったらしいが、犠牲者が出たこと、特殊な能力者の協力を得られたことで体制が変わったそうだ。
俺も、もうすぐこれを受けることになるのだと思うと緊張してきたな。
「12番でお待ちのお客様~! 査定が終了いたしましたのでカウンターへお越しください!」
彩佳とロゼリアと話しながら30分ほど待った後、呼ばれたのでカウンターへ向かう。
「それでは買い取りの清算になります。明細をご覧ください」
前回の換金と同じように明細を渡される。
・Dクラス魔石 1万350円×100 103万5000円
・Cクラス魔石(小) 3万円×21 63万円
・Bクラス魔石(小) 15万2000円×3 45万6000円
・総計 212万2000円
は? 桁の数が違うだろ、これ。ため込みすぎたかな……。金額の明細を見て俺は驚いた。学生が持つ金額ではないな。後で今まで育ててくれた父さんと母さんに感謝を込めて何か買っていこう。
「こちらは口座振り込みでお間違いありませんか?」
「はい、それで大丈夫です」
これが現金だとさすがに怖くて持てない。いや、まぁ戦闘力的には一介の強盗なんかは怖くないんだけれども。気の持ちようというものがある。
「それでは口座に振り込ませていただくので、後日確認をお願いします。それでは、ありがとうございました!」
「ありがとうございました! ……すいません、忘れてました」
挨拶をした手前で恥ずかしいが、個人情報を書き込んだ試験の予約用紙を出し忘れていた。
「あ、すいません。確認させていただきます」
受付嬢さんが何やら受付のパソコンに入力していく。
「Bクラス昇格試験でしたら今週の土曜日からでも受験可能ですが、いかがなさいますか?」
「じゃあ、土曜日にお願いします」
「かしこまりました。開始時間は午前10時となります。では、これで以上ですね?」
「はい」
忘れていることはないはずだ。
「それでは、またお越しくださいね」
受付を離れて彩佳とロゼリアが待っている場所へ向かう。
「お待たせ」
「お疲れ様~。試験日いつになった?」
彩佳が待合の席でくつろいでいる。ロゼリアなんか誰も見えないのをいいことに椅子の上に立ってやがる。フリーダムだな……。
「試験日は今週の土曜になったよ」
「今週の土曜は昨日じゃ……?」
『彩佳よ、一週間の始めは日曜日じゃよ』
一番フリーダムな奴がまともなことを言っている。なんだろうこのギャップは。
「なるほど……? じゃあ今週の土曜日の予定は開けておかなくちゃ」
「なにか予定でもあるのか?」
少し気になる。彩佳も土曜日に試験なのだろうか。
「奏多の昇格試験の配信を見る」
配信……? 特段動画配信等は俺はしてないぞ。
「なるほど……?」
『奏多よ、探索者協会はクラス昇格試験の対人戦は公開しておるのじゃぞ』
ロゼリアがいまいちわかっていなさそうな俺を見かねてか教えてくれた。
なるほど、それはいいことを知った。調べてみてアーカイブが残っているなら今度見てみることにしよう。
ところでロゼリアはいつまで椅子の上に立っているんだ……?
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