Aクラス止まり
総合pt1600&500ブクマ大感謝!
少し間を置いたのち、前線の方でロックリザードが湧き始めているのが見えた。相も変わらずとんでもない量だ。
「捌きづらい魔物だろうし、これまで以上にうち漏らしが増えるだろうけど……。ロゼリアは大丈夫か?」
「いや、あの魔物には物理系の方が有効じゃ。彩佳に代わる」
ロゼリアはそう言って輝きだす。優しくないなぁ!?
「奏多、大丈夫?」
目を瞑っていると戻ったらしい彩佳に声をかけられた。
「多分、大丈夫」
「よかった、そろそろ来るよ」
<赤色の閃光>の皆さんが懸命に対応してくれているおかげで、10分の1以下しかこちらには向かってこないがそれでも多い。
「ロゼリア、合わせれる?」
『任せるのじゃ』
彩佳は鞄から出した剣をロゼリアに渡し、同じ鞄から出した剣を装備する。あれマジックバックじゃん。車一台買える値段するやつ。
「はぁっ!」
近くまで来ていたロックリザードを魔剣で切り伏せていく。今日はこいつを狩りまくりたいと思ってダンジョンに来たけど、こんな形で狩ることになるとはな。
「行くよ! 『二重剣戟』!」
彩佳とロゼリアの二人が同時にロックリザードに切りかかる。まるで鏡で映したかのように同じ動きをする二人。容姿の件もあって絵になるな。
見てる場合じゃないけどな。
「『旋風波』!」
数匹のロックリザードに囲まれたために周囲系統の魔法を使って吹き飛ばす。
『「はぁ!」』
彩佳とロゼリアの攻撃が最後のロックリザードを切り裂く。
まだ前線ではロックリザードとの闘いが続いているが、数が減ってきているようで、俺らの方には来ていない。
『嫌な予感が近づいてきておる、本波が近くなっておるのじゃ』
お得意の勘で予測するロゼリア。本波がBクラスの魔物の群れだとしたら、かなりしんどいんじゃないか? 俺も足手まといになりかねない。
「一応俺は下がっておいたほうがいいか?」
「うん、私が守るから、さらに後方で支援をお願い」
守られるだけの構図は悔しいが、今はまだ探索者として活動を始めたばかりだ。文句は言えない。
「了解、魔法でサポートはする」
「ありがとう」
『本波が来るのじゃ! 奏多は下がっておれ!』
何かを感じたのかロゼリアが叫ぶ。俺はその声を聴いてすぐに彩佳の後方へさがる。
本波に現れるのはてっきりBクラスのブラストタートル辺りだと思っていた。
はっきり言うと、認識が甘かった。ダンジョンという超常の存在をなめていた。
「あれは……!」
遠いからあまり聞こえはしないが、彩佳が息をのむ声が聞こえた。
「まじかよ……」
その魔物は大群で現れた。Aクラスの化け物が、だ。
【アークスパイダー】
・Aクラス下位の魔物
・鋼鉄をも砕く牙があり、毒を持っている。
・弱点は火、氷、光
その正体はアークスパイダー。体高3mほどの馬鹿でかい蜘蛛の魔物だ。相性的には<赤色の閃光>の面々に有利があるだろうが、それでもAクラスの化け物の大群は厳しいものがあるんじゃないだろうか。
前線を見ると、Aクラスの吉野さんが前にでて、他の物理系の2人は魔法系の2人を守護する陣形で戦うようだ。2人の魔法使いは生命線だろう。有利属性もちだからな。
かなり絶望的な状況のなか、吉野さんの持つ剣に光が灯る。俺と同じタイプの魔剣か? ちょっと申し訳ないけど鑑定させてもらおう。
【聖剣 バックギラ】
・階級 伝説級
・逆境の際に力を増す勇者の剣。
・この聖剣が劣勢となったと判断する場合のみ、様々な能力を使用可能となる。
俺の魔剣より一つ上の階級、名前付きの剣だ。なるほど、制限がかかっている分きっと強力なアイテムだろうな。
そして気が付くと、一匹のアークスパイダーが両断されていた。下位とはいえAランクを瞬殺とは……。
他にもいるアークスパイダーたちは魔法耐性が高くないようなので、次々と魔法で倒されていく。弱点要素、かなり大事かもしれないな。
大群とは言え先ほどのリザードたちと比べると、少ない。これは俺たちの出番はないだろうし、あったらやばい。
◆◆◆
吉野さんが先導する<赤色の閃光>は、見事20匹以上のアークスパイダーを討伐しきってしまった。
俺は彩佳の元に戻る。
「すごかったな、先輩探索者たち」
「そうだね。私じゃ一匹が限界かな」
Aクラスを一匹倒せるだけすごいと思うけどな。すると、視界の端に浮かない顔をしているロゼリアが映った。
「どうしたロゼリア。そんな浮かない顔をして」
『気のせいだと思いたいんじゃが、終わってない気がするのじゃ』
下位とは言えAクラスの大群だぞ? それがボスじゃないとしたら一体どんな化け物が出てくるっていうんだよ。
「待てよ、このダンジョンに生息する魔物の一覧……」
……そういえば一種類だけSクラスがいた。
「いっぱいいるけどアークスパイダーが一番高いよ?」
違うんだ彩佳、一種類だけいるんだ。それも、アークスパイダーの上位種だと思われる存在が。
「いや、俺の鑑定で見たことがある。上がいるんだ、まだ」
<赤色の閃光>パーティーメンバーの四人がこちらにとんでくる。
何かに気が付いた吉野さんがこちらに投げ飛ばしたらしい。全員がBクラス以上なので皆綺麗に着地する。
「リーダー!?」
「どういうことなの!?」
Bクラスの方々は口々に声を荒らげて吉野さんを見る。
吉野さんはこちらを見て何か言っているようだった。距離があるのからか俺にはよくわからなかったが、何かの合図だったのか、<赤色の閃光>のパーティーメンバー押し黙ってしまった。
吉野さんはその後、すぐに青森ダンジョンの北口である大穴に向きなおる。
輝きを増した聖剣を持って。
たった一種類。このダンジョンに生息するSクラスの魔物……。その名前は……。
「デッドスパイダー……」
Aクラスなど遥かに超える、Sクラスの生ける厄災がこの地上に姿を見せた。
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