ライラとプリラム草1(クリス視点)
アリシアのことで相談があるというライラを城に呼び、共にひとときを過ごした。
ライラは、あの時の花を持参してきたのだが、青く小さい可憐な花だった。花を差し出した時のライラの様子が印象的だ。天使のような微笑みをわたしに向けてくれ、とても可愛らしかった。
ライラはアリシアをかばっていた。アリシアが優しいなどと、何を言っているのか。優しいのはライラだろうに。あのような姉の意地悪に耐え、姉をかばうなんて、なんと純真なのか。ライラはアリシアにだまされているに違いない。わたしがアリシアから守ってやらねば。そう思っていた。
ライラが帰りしばらくすると、手や腕がかゆくなってきた。見ると、赤く腫れてきており、小さな発疹ができているところもある。
王宮医を呼び診察を受けると、何かにかぶれたのではないかと言われた。時間とともにかゆみがひどくなる。原因を探したが、特にいつもと変わったところはなかった。そんな時、わたしの執務室からあの花を見つけ、医者が持ってきたのだった。
「殿下、この花はどうされたのですか?」
「それは、ライラ嬢からもらったのだ」
「…ライラ嬢とは…婚約者であるアリシア様の妹様でしたか?」
医者からそう確認された。
「そうだ。その花がどうかしたのか?」
「殿下、この花が原因です。」
そう告げられた。
「この花はプリラム草といって、根は薬の原料となるのですが、花や茎に触れるとかぶれるのです」
飲み薬と塗り薬で対処するしかないと言われた。数日かけて自然とかぶれた皮膚が落ち着くのを待つしかない。その間は対象療法でしのぐしかなく、掻くと悪化するので我慢するようにと言われた。
他にこの花に触れた人を聞かれ、ライラと彼女の侍女。あの場にいたメイドが一人触れていたことを思い出す。医者は、ライラへの連絡と薬の準備をすると一度席をはずした。
ライラもこのかゆみに苦しんでいるのかと思うと、可哀想になってきた。ライラの症状が軽いといいが…。