元気のないお姉様
「お姉様のことで、ご相談があります」
そう書いて殿下へお手紙を出しました。
わたしから、お姉様の婚約者である殿下へ手紙を出すなんてマナー違反だとお父様にたしなめられましたが、「お姉様に対する誤解を解きたいのです…」と上目遣いでお願いすると、お父様はあっさり了承してくださいました。わたしのお手紙は、お父様が殿下へ届けてくださいます。
わたしが計画を進めている間も、お姉様の元気は戻りません。落ち込んだ様子で、今では食も進まなくなってしまっています。いつもは「残したら料理人に失礼でしょう。せっかくいつも美味しいお料理を作ってくれているのに…」と、食欲がないときはあらかじめ少量の給仕を望まれるお姉様ですが、今は「ごめんなさい…」と悲しそうに食事を残してしまわれます。皆がわかるほどに、いろいろな変化が出ているお姉様のことが心配で、お母様に療養をお願いしました。セバスも援護射撃をしてくれ、お姉様はお祖父様のところに療養に行くことになりました。
「ライラ、持っていく本はどれにしますか?遊びたいものがあるなら、忘れずに荷物に入れてもらいなさいね」
お姉様が突然、わたしの部屋にいらっしゃいました。
「わたしも一緒に行ってよいのですか?」
「もちろんよ。…え?ライラは行かないの?ライラが行かないなら、やっぱり行くのをやめようかしら…」
思わずお姉様に抱きつきました。セバスの言う通りです。お姉様はわたしが嫌いになったのではありません。お姉様が行かれるところ、わたしもついて行きます。もちろんです。
お姉様と一緒にお祖父様のところへ行くことになりましたが、殿下に呼ばれた日が、療養へ出発する日とかぶりました…。
殿下も間が悪いです。
でも、殿下に「ぎゃふん」をしかけてから、お姉様とゆっくりすることにいたします。