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階段落ちしましたわ

よろしくお願い致します。

「みゃっ!」

「えっ!」


気づいたら階段落ちです。もう何度目でしょうか…。お姉様のとばっちりで何度も()()()()()ので、わたくしも慣れました。こういう時は、変に抵抗しない方がよいのです。流れに身を任せ、でも、しっかり頭は守る。これが、怪我を最小限にするコツです。

それにしても、「みゃっ」って何ですか。可愛らしいですね。()()何もないところで躓いたのですね。だから申しましたのに。踵の低い靴で安定性を求めたのでしょうけれど、普段ヒールのある靴しか履かない方がペタンコ靴を履いたら、余計に躓くことがあるって。そもそも、貴族令嬢が庶民の履くようなペタンコ靴はダメでしてよ。

本当に間の悪いお姉様。自分がよろけるくらいで済めばよいのに、うっかり人を巻き添えにして、巻き添えにした方のほうに被害をもたらすのですから…。まぁ、他人ではなく、巻き添えになったのが妹のわたくしですから、今回はまだマシですけれど。

どうしたらよいかしら…お祓いにもご祈祷にも連れて行きましたが、これっっっぽっちも効果がありませんでしたものね。婚約者である殿下が、お姉様がひたすらに間の悪い天然ドジっ子だとご理解くださっていることが唯一の救いではありますが…。


階段を落ち終わると、周りから上がった悲鳴を聞き付けたのか、駆けつけた殿下に抱え込まれましたわ。

「殿下…」

「ライラ大丈夫か?」

「はい。でも、歩けるかわかりませんので医務室までお連れくださると助かりますわ」

殿下がわたくしを横抱きにして立ち上がります。

「殿下、お姉様も一緒にお連れくださいませね」

殿下に小声でお願いすると、殿下はお姉様の方に振り返り声をかけてくださいました。わたくしからは見えませんが、お姉様の驚いた顔が目に浮かびます。自分が躓いたら、わたくしが階段落ちですもの…。

「アリシア、一緒に来なさい」

殿下の言葉で我に帰ったお姉様が、階段を急いで降りてくる足音が聞こえます。あぁ…お姉様、急いではまた躓きますわ…。

お姉様が側に来たことを確認し、殿下が歩き始めました。



「ご覧になりまして?アリシア様が突き落としましたわよね?」

「俺も見たぞ。妹を階段から突き落とすなんて、本当にひどい方だ」

「殿下も真っ先にライラ様に駆け寄っておられて、やはりあのお二人…」

などと、野次馬たちの声が聞こえる中、わたくしはおとなしく殿下の腕の中です。

「「はぁ…」」

思わず漏れてしまったわたくしの溜息と、殿下の溜息が重なりましたわ。


貴族令嬢は通常ヒールのある靴を履いている設定です。もちろん自宅ではペタンコ靴も履きますが、外行きはヒール靴です。

お姉様は自分が躓きやすい自覚があるので、ヒールのほとんどない靴を履いてみました。が…靴の問題ではないようです…。

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