4人でお出掛け
恋に服を貸すために俺達は4人で莉華の家に行く事になって今は電車に乗っている。 なんかよく考えてみたら俺まで行く必要ないよな? 前に一回は行ったことあるけどさ。それに莉華は涼の友達なのであって俺はその知り合いみたいなもんだし。
「つうかさ、俺まで行って良いの? 別に涼達3人で行けばよくね?」
「高坂君何行ってんの? 高坂君行かなきゃ恋ちゃん家まで送るの誰よ?」
ああ、そっか。 確かにそう言われてみればそうかもしれないな。 本当に記憶喪失だったら道わかんないだろうし……
恋を見ると恋は俺を見つめていた。
「一緒に…… 一緒に来て下さい」
「あ、ああ。 わかったよ」
そんなにまじまじと見られて言われると流石に照れるからやめてくれ。 それにしても学校休んでまで結局涼と莉華に会うと休んだ気がしないな。
学校に行って普通に遊んで帰るみたいだ。 いつもと違うのは俺の隣に恋が居る事か。 そして涼と莉華はもう2人だけの世界で仲良く話していた。
昨日会ったばかりでもうこんなに早くにこいつらにバレるなんてなぁなんて恋を見ながら思ってると恋もこちらを見てきた。 俺が見るとニコッと笑い掛ける。
「春季君のお友達ってかっこいいし、美人ですね」
コソッと恋が俺にそう言ってきた。
「まぁ飛び抜けてイケメンで可愛いのはコイツらくらいだよ。 俺は涼の引き立て役みたいなもんだしな」
「そんな事ないですよ、私から見たら春季君が救世主みたいなものですし、それに春季君もかっこいいと思います」
うん、これはお世辞だな。 だってそんなモテた事ないもん、大方俺の機嫌を損ねないようにしてるんだろうけどあんまり気を遣われると疲れるから普通にしてていいけどな。
電車から降りるて莉華の家に向かう。流石にもう夕方になっていた。 この調子だと帰るの夜遅くになりそうだな。 家に帰って飯食って風呂入ったら夜遅くになってそうだなと考えながら歩いていると莉華の家に着いた。
「ただいま! お母さん、涼とその友達連れて来たよ」
すると奥から莉華の母さんがトコトコとやって来た。 相変わらず美人な母さんだな。
「あ、涼君いらっしゃい! 来てくれて嬉しいわ、伶奈ちゃん元気にしてる?」
「はい、いつも元気ですよ」
莉華の母さんにあははという感じで涼は答える。
「それと春季君だよね? また来てくれたんだ、春季君も莉華と仲良くしてあげてね! それと…… 隣の子は?」
「高坂君の彼女の恋ちゃんって言うの」
「え? そうなの? 可愛い子じゃない」
そう言われた恋は物凄く赤くなって照れていた。 なんで余計な事言うんだよ莉華!
「あ、いえ、友達です!」
莉華にこの野郎と視線を向ける莉華はがえへへという顔で誤魔化す。
「それでね! 私と恋ちゃん仲良くなったから私の服何着かあげたいなって連れて来たの!」
「仲良くなったら服をあげる…… ねぇ」
莉華の母さんは少しうーんと考えていたがまぁいっかと言って俺達を家に上げてくれた。 そして早速莉華は恋を連れて部屋に行ってしまった。
涼は俺と一緒に莉華の家のリビングに居る。 莉華の母さんはジュースを俺達に持って来てくれて莉華は学校でどう? と俺達に話し掛けた。 まぁ俺より涼が話すだろうと思い俺は少しボーッとしていた。
「莉華にもあんな可愛い友達が出来るなんてお母さんとしても嬉しい。 なんだか私と伶奈ちゃんの昔の頃とか思い出すよねぇ」
涼はいつも聞いてますみたいな感じで自然に受け流していた。 そしてしばらくすると莉華と恋は部屋からリビングに戻ってきた。
恋は服をショップバッグに入れてもらいこんなにもらっちゃったと俺に見せてきた。 まぁ嬉しそうにしてるからよかったなと言うと笑顔でうん!と答えた。
「なんだか春季君と恋ちゃんもいい感じねぇ」
莉華の母さんがまた余計な事を言うと恋はモジモジとしだして照れ笑いを浮かべていた。 だからそっち方向に向かわせるのやめてくれよ…… 俺まで恥ずかしくなるだろ。
「もう遅いからみんなで夕飯でも食べて行く? 伶奈ちゃんには私から涼君はうちで食べてくって言うからいいけど春季君達はどうする?」
流石に服まで貰ってそれは悪いから断ろうとすると涼がいいからお前らも食べて行けよと言いご馳走してもらう事になった。 流石に涼は小さい頃から莉華の家によく遊びにきているから慣れている。
すると莉華の父さんも帰ってきたようだ。俺と恋はあまり慣れない所だから借りてきた猫のような感じになっている。
「おかえり瑛太、今日ね、涼君と友達が来てるのよ」
「へぇ、涼君いらっしゃい。 それと春季君かい、そっちはそうすると春季君の彼女かな?」
うん、全員に言われるなこれ。 そんなに俺達カップルに見えるか? なんて思ったけどそう言っとけみたいな感じなんだろう。
「凛、今日は涼君達が来てるからご馳走作ってくれよ?」
「当たり前じゃん! 張り切っちゃうよ」
仲良い夫婦だなぁと恋を見ると恋はその光景を羨ましそうに見ていた。 そんな恋の横顔を見ていると恋も俺を向いてなんだか羨ましいですねと言ってきた。 まぁそう思うんだなと俺は何気なくそうだなと返す。
そして莉華の家で夕飯を済ませた俺達は明日は学校なので帰る事にした。 学校と言えば恋はいつ学校から連絡が来るのだろうと帰り道考えていた。 思ったより早く身元わかったりしてなと思ってたら服の袖を恋に引っ張られていた。
「春季君、なんか会ってからよく春季君に無視されてるんだけど……」
「え、無視なんかしてた? ずっとお前の事考えてたんだけど?」
「へ?!」
俺の言葉に恋は驚きボッと顔を紅潮させる。 ヤバッ! 失言した、今の言い方だと俺が恋の事ばかり考えているようじゃないか! 確かに恋の事は考えてるけどそういう意味じゃない!
「は、春季君、そんなに私の事考えてくれてたの?」
「いや、全然考えてない!」
「え?」
今度は途端にスゥッと冷めた表情になっていく。 今の言い方も極端すぎた! そんなこんなで無事?俺達は家に帰った。