表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/48

少女の嘘 渚side

家出少女sideです。


私は楠木くすのき なぎさ、15歳。私は中学を卒業してから高校には行ってない。行かせてもらえなかったと言った方が早いのかも……



私は家に居たくなかった。中学に入った頃お父さんとお母さんが離婚してからお父さんの方に引き取られた私は毎日毎日お父さんに文句を言われて苦しかった。



だったらどうして私を引き取ったの? そしてお母さんは私がいらなかったの? 顔だけは綺麗なのは母親に似たな、育っていくうちにどんどん似てきて忌々しいと私はお父さんに言われ続けた。



怖かった、凄く怖かった…… そして中学に行ってた時からわかっていたけどお父さんは私を高校に入学させる気がない。



私にお金を掛けるなんてありえないと言った感じ。私は辛かった、周りの同級生は高校どこへ行くの? なんて楽しそうだったけど私は聞かれたくなかった。でも私は周りに可愛いと言われ目立ちたくないのに目立っていた。



そんな私に周りのみんなは当然私にも高校どこ行くの? とか人の気も知らないで聞いてくる。適当な嘘をついてここへ入ろうと思ってるんだと言うとじゃあ一緒のとこ受けようかななんて言われて嘘に嘘を重ねなきゃいけなかった。



だから私はそれまで友達だった人達とも距離を置いた。そんなんだから学校生活は私にとっては辛く家に帰ってもお父さんがいるから家でも気が休まらない。一体私どうしたらいいの? 学校のみんなに嘘をついて家でも我慢して私の精神は限界だった。



そしてその内に学校では私の嘘はどこからかバレてしまい私が嘘を付いて一緒にこの高校に行こうねなんて言ってた子にも最低なんて言われいつの間にか私は距離を置くどころか関わるのをやめた。



でも本当の事を言って同情されるのも惨めで嫌で違う意味でもっと目立ってしまいそうでもうこんな事なら学校なんかに行かなくていい。



私はすぐに働いてやる! なんて見通しの甘いような事を考えていた。 お父さんだって私がお金を稼ぐようになれば少しは優しくしてくれるのかな? なんて考えていた。



そして私は中学を卒業してその後バイトでもなんでもいいから働こうと思って求人雑誌などを読んでいるとお父さんがいつものように私に文句を言いにきた。



私は働いてお金を稼ぐからねとお父さんに伝えるとお父さんはとてもショックな事を言ってきた。稼ぐんだったら体を売れとお前ならたくさん稼げると。



お父さん、私お父さんの娘なんだよ? お父さんは私がそんな事しても悲しいとか思わないの? 少しでも愛してくれていないの? とお父さんに泣きながら問い掛けるとお父さんに平手打ちをされ壁に頭を叩きつけられた。



痛かった。頭から出血し、殺されるんじゃないかって怖くなった。私はお父さんに写真立てを投げた。 お父さんも同じく頭から血を流していた。 それを見て思った。私とお父さんは同じだ、同じ血が流れているんだ……



こんな人と一緒は嫌だ! 私は家を飛び出していた。 外は雨が降っておりずぶ濡れになった。 構うもんか! そう思って私はひたすら走った、周りの人の目なんて気にならなかった。



そしてどれくらい走ったのか…… 私はここどこなんだろう?って思いながらその日は近くにあった公園の遊具の中で雨宿りした。



次の日も雨…… 凄く憂鬱でこれからどうしようって考えていた。 私は公園の遊具の隙間から外を見た。 雨なので誰も公園に来ていない、だけどそれでいいやって思った。



私は遊具の中でいつの間にか寝ていた。雨はまだ降っていた。すると1匹の猫を見つけた。 私と同じでひとりぼっちかな? と思って猫もずぶ濡れになっていたので私と一緒にここに入る? という意味でにゃあと猫に向かって呼びかけた。



すると猫はこちらを向いた。近付いちゃうと逃げるかな?と思いしばらく様子を見ていたけど逃げないのかな? と思って近付こうとしたら……



人の気配を感じたので私は遊具の中に隠れた。そこに現れたのは高校生?の男の子で濡れている猫を撫でていた。 触っちゃうと貴方も濡れちゃうかもよ?と思って見ようとしたけど傘をさしててよく見えないや。 私が思った通り傘に入った猫は体を震わせてビシャっとその男の子に水がかかった。



ほらね? 私はそれが面白くて笑いを堪えるのに必死だった。でも男の子は怒る事なくしばらく猫を撫でていた。優しい人なんだなぁって思った。私はその光景をじっと見ていた。



男の子の携帯電話が鳴りその音で猫はその場を去って行った。 私はその男の子の声に耳を傾けた。お母さんかお父さんかな? それとも彼女かな?



でも母さんと聞こえたので家族かと思って私はそのまま男の子の会話を盗み聞きしていた。 そして私は聞いたんだ、一人暮らしは順調だよって。そっかぁ、一人暮らしなんだね。



私はそれを聞いた瞬間無性に寂しくなった。 そしてこうも思った。あの男の子に甘えたらさっきの猫みたいに私でも可愛がってくれるかな?って……



電話が終わり猫も居なくなったので彼は公園から出て行く。 待って! と思って慌てて身を乗り出そうとしたら遊具の天井に頭をぶつけてしまう。



痛くてぶつけた箇所に手を当てうずくまる。手を見ると昨日お父さんに付けられた傷からまた血が出てきた。でも今はどうでもいい。



私はそんな事に構わずさっきの男の子を探した。 どこに行ったの? 私は必死に男の子を探すとようやく見つけた。その男の子の跡を私は見つからないように注意しながら尾行する。



なんだかとても悪い事をしているみたいで気が引けた。でも私はその男の子に頼りたかった、私を助けて下さいともう思っていた。



彼は一人暮らししているアパートに着いたようで階段を上って行く。ここがお家なんだぁなんて行ってる場合じゃない。



私はどうやって彼に頼ればいいの? いくらなんでも非常識にも程があるよね…… でも私絶対お父さんの所には戻りたくない。 私人生やり直したい! そう思った時私の中で閃きが走った。 そうだ、記憶喪失になろうと。 どうせ高校には行ってないし身軽でいいかも。身元がわかる事なんてないかも!



今までの事を全部忘れてしまおう。私は新しい私になるんだ、こんな辛い記憶はいらないって。 私は何も学んでなかった。 また嘘をつき優しそうな彼だって騙しちゃうんだ。



やっぱり私お父さんと同じで最底辺な人間だよって自分に笑ってしまう。 だけど一歩進まなきゃ何も始まらない、このままじゃその内補導されてお父さんの所へ戻されちゃう。



私は精一杯の勇気を出して彼の家のインターホンを鳴らした。 緊張した、人生で1番緊張した。



ガチャリとドアが開いた。 私が頼ろうとしている彼が出て来た。 この人なんだ、フワッと彼の住んでいる部屋から暖かくいい匂いがした。この人に私はこれから嘘をつく。そして楠木渚という人物はこの瞬間から終わり!



そして私を見て彼は驚く、そりゃあそうだよね、ずぶ濡れだもん。 だけど言い出さなきゃ……



「私を…… 私を助けて下さい! お願いします!」


「はぁ!? 何言ってんの? てか誰?」


「わからないんです…… 自分が誰なのか」


「はぁ?」



私はお願いしますと泣きながら彼に悲願した。そして彼は仕方なく私を家に入れてくれた。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ