尾行しちゃうから!
朝起きると恋の姿は消えていた。 まぁ朝食とか作ってるんだろうけど今日は休みなんだしもうちょっと寝てていいか。 なんて言ってられないんだった!
だけど時計を見るとまだ朝の6時。 恋が密着してくるお陰で寝不足なんだ、もう少し寝てもいいか…… と思ったが澤村の事を考えると寝れない。
あいつと休みの日なんかに会って俺は何すればいいんだろう? なんて考えていうちに時間はどんどん過ぎて8時を過ぎ恋が俺の起こしに寝室にやってきた。
「春季君起きてたの? 朝ご飯出来てるよ? 私先に食べちゃった」
「ああ、おはようって……ん?」
恋を見るといつもと雰囲気が違う。可愛いのは可愛いんだがいつにも増して可愛い。
「うん? ああ、これ? じゃーん!今日ちょっとオシャレしてみたんだ! お化粧しちゃった、ほら、こうすると莉華ちゃんのお洋服もっと可愛く着られるでしょ?」
俺の前でクルッと回りワンピースのスカートの裾を摘んでニコッと微笑む。薄い化粧にピンクのリップグロス、それだけで普段よりも色気が増していた。
「ねぇ、どうかな?」
「ああ、いつにも増して可愛いって思ってしまった」
「本当? 嬉しいなぁ、えへへ。 ご飯食べなよ?」
「ああ」
恋の本格的なオシャレを初めて見た俺はあまりの可愛さにドキドキしていた。 これは何かの精神攻撃か?
テーブルに着き恋が用意していた朝食を食べていると恋は俺の向かいに座り食べている俺をジーッと見てきた。 食べ辛いんだけど?
「何?」
「春季君を見てるの」
「そんなにジーッと見られると食べ辛いんだけど?」
「嫌だった?」
恋が少しシュンとして俺の表情を伺う。てかなんでコイツは今日こんなに可愛くしてるんだ? 出掛けるわけでもないだろうに。
恋の作った朝食も恋のせいで味がよくわからなかった。 そして朝食を食べ終わり俺は片付けようとすると恋が自分がやるからと言って俺の横にピッタリと肩をくっつける。
「あッ…… ごめんなさい」
「い、いや、こっちこそ悪い」
なんか変に緊張してしまう…… 可愛いって厄介だな、俺は無心だ、無心を心掛けていなければ。 そんな努力も虚しく恋は俺に事あるごとに接近してくるのでその度に心が揺らぐ。
そして携帯が鳴ると澤村からの電話だった。 恋は誰からかは見てないが俺の表情ですぐ察してムッとした顔で俺から少し離れる。 なんか怖いなと思いながら澤村の電話を受けた。
「高坂起きてたんだね、昨日はいきなり変なメールしてごめんね? でもあたしの本当の気持ちだから…… それでね!今日11時に学校で待ち合わせしない?」
澤村の言葉に時計を見ると今は9時50分、まだ余裕あるなと思いわかったと伝えると楽しみと澤村は言い通話は終了した。
「澤村さんなんだって?」
「11時に学校で待ち合わせだって」
「そっか…… 行っちゃうの?」
恋が俺の肩に近付き顔を近付けてそう言った。 俺はそんな事恋にされると理性が飛びそうになるので少し下がりまぁ約束だからなと言い恋は肩を落としそうだよねと小さく呟く。
「魅力ないのかな……」
「何が?」
「ううん、気にしないで。こっちの事」
そして10時半になったので家を出ようとすると恋が俺の肩を叩く。 何か言うのを迷っている顔をしていた。
「なんだ?」
「えっと…… 私寂しい」
「え?」
「邪魔しないから…… 見つからないようにするから一緒に行きたい」
はぁ!? それなんてストーカー? でも恋は本当に寂しそうな顔をしている。うーん、恋にまた出て行かれるのもアレだし仕方ない。
「じゃあ絶対見つからないようにしろよ?」
「う、うん! 頑張って尾行するから」
なんかおかしいけど頼むぞと恋にそう言い家を出ると後ろから恋がついてきた。
え? もうここから尾行なの?
「恋、別に学校の近くになったらでいいんだぞ?」
「れ、練習! 春季君に迷惑掛けたくないもん!」
「あ、ああ。そう」
まぁそれは今更なんですけど…… そして学校に着くともう澤村は待っていた。 俺に気付くと澤村はおーいと手を振っている。 へぇ、澤村って少し男っぽい性格だと思うけどこうしてみると女の子だなぁと思った。
髪はショートでそのままだけどミニのデニムスカートにボーダーのトップスで澤村らしいけど制服の時とはやっぱり違うなと思った。
「来てくれてありがとね! 昨日は眠れなかったよ、メールでも告白するって凄く緊張するね……」
「俺も眠れなかったよかったよ(違う意味だけど)。 その、澤村が俺の事好きだったなんてさ。 俺そんな誰から告白されるとかの経験もなかったし」
「ああ、そっか。 初めて告白されたのがメールでごめんね? でも言っちゃったらなんかスッキリしてさ! あたしも高坂と遊んでみたかったし返事は待つからさ、今日は遊ぼう? とりあえず一緒にお昼食べよっか?」
「ああ、そうするか。 俺こういうのよくわかんないから何か変な事あったらごめんな?」
「あたしだって初めてだよ、気にしないから、ほら?」
澤村は俺の手を取って歩き始めた。 恋以外でこういう事するのって不思議だな。 恋の事があったから澤村は俺に告白したのかな?
もし今まで通り生活していたら俺は澤村に告白されていたのかな? もしなんて事考えても仕方ないか。
少し遠く背後から恋の気配を感じるのは恋が俺の事を尾行しているのを知っているからだろうか? 恋くれぐれもバレるなよと俺は後ろをチラッと見るとサッと人影が隠れるのを見た…… 大丈夫だよな?




