#1 はじまり
『結晶』。
それはダンジョンでしか採取できないレアアイテムの一つ。その価値は希少で、高価なものならば1つで100,000,000$以上するものもある。
しかし、そんな結晶も天然のまま持っているだけでは意味がない。そのため結晶の売買を行う結晶店という専門の店で鑑定を行いお金にしたり、その場で加工したりというのが冒険者の稼ぎである。
町の大通りの賑やかさとは程遠く、暗く重い静けさを感じる裏通り。通称、貧乏の集落。
ここのとある小さな結晶店で大きな怒声が響き渡った。
「あぁ!?俺が必死こいて取ってきた結晶がたったの5$だとぉ!?」
怒声の正体はチンケな格好の冒険者。
ガラの悪い人相で店の青年を睨みつける。
「いや、だから、それ結晶じゃないんですって……」
ガラの悪い冒険から目を逸らしながらおずおずと説明をする青年。
彼の名はクリフ・エバート。
若者ながら、小さな結晶店の店長を務めている(そもそも他の店員がひとりもいない)。
「じゃあ何か、俺の結晶は偽物だっていうのか?あぁん?」
白く透明な石を片手に、顎をしゃくらせてクリフに顔を近づける冒険者。
一方のクリフは再び目線を逸らして、冷や汗を流す。
「偽物っていうか、その……」
「なんだよ?言ってみろや!」
「…………塩です」
「…………あ?」
2人に気まずい沈黙が訪れる。
冒険者はゆっくりと視線を塩(?)の方へ向ける。
自分の知っている塩とは程遠い形をした塩(?)とのにらめっこが終わると、額に怒りマークをつけてクリフの方へ向き直る。
「てめぇ……喧嘩売ってんのかぁぁぁ!!」
「売ってませぇぇぇん!!」
貧乏の集落全体にに悲しい声が響き渡った。
☆☆☆☆☆
「痛ってぇ、殴ることないだろ……」
赤みがかった頬を抑えながら机にうなだれるクリフ。
さっきの冒険者はクリフで鬱散晴らすと塩(?)を置いてさっさと店を出て行ってしまった。
ちなみにこの結晶に似たものは岩塩と呼ばれる鉱石の一つであり、正真正銘の塩。
当たり前だが、結晶とは全く違うので価値も全くない。
「むしろ5$でいいほうだっつーの」
小さく愚痴をこぼすが誰にも伝えられない消失感にため息が出る。
すると、カランカラン、とドアの鈴が鳴った。お客が来た合図だ。
先ほどのことを頭から消して元気よく顔を上げる。
「いらっしゃいませ!」
「おう、邪魔するぜクリフ」
来たのはごつい鎧を着た大男。顔には百戦錬磨を想像させるような無数の傷が。
「ザーランドさんっ!もう戻ったんですか!」
「まあな。今回は思ってたより楽勝でよぉ」
ザーランドと呼ばれた男は大きな剣や荷物を床に置くと、顧客用の椅子に腰をかける。
そして、机に両手サイズの布袋を豪快に置いた。
「今回の収穫だ」
少し自慢げな顔でクリフの前に出す。
クリフはその袋の中を確認すると若干嫌な顔を見せる。
「……多いですね」
「あったりめぇよ、俺は金稼ぎにダンジョンへ潜ったんだからな!」
ニカっと笑うザーランドに非難の目を向けるクリフ。
そして、手元で袋から結晶を出して、鑑定を始める。
数分だろう。結晶の数や品質、その種類などを確認し終える。そして真剣な面持ちでザーランドの方を向く。
「えー、合計106個で、530$です」
「少なっ!んなわけねぇだろ!!」
「いや、すべて岩塩かもしれないので」
「なんで最初から岩塩で想定してんだよ!?」
クリフはため息を漏らし、こほん、と咳払いを一つ。
「合計106個で、268,000$です」
「……ふむ、安いな」
腕を組みしかめっ面をするザーランド。元から恐ろしい顔がもっと恐ろしくなっていた。
「だからいつも言ってるじゃないですか。結晶は数じゃなく質で決まる。って」
クリフの言う通り、結晶の価値は質で決まる。
かといって、ダンジョンの奥へ行ったからといってその質が上がるわけではない。
もしかしたらダンジョンの入り口から一歩目に高価な結晶があることだってありうる。つまり殆どが〝運〟になってしまうのだ。
しかし、魔物を倒した時に倒した魔物が結晶落とす場合は〝運〟ではない。
いわゆる、『魔物ドロップ』と呼ばれるこの行為は、倒した魔物のランクによって落とす結晶も変わる。
強い魔物を倒すほど落とす結晶も高価、ということだ。
が、一つ問題なのは、落とす魔物と落とさない魔物がいるということ。
種族によって結晶を落とすか、落とさないかが違うため、冒険者はこのことをしっかり調べてなければいけない。でなければ結晶狙いで倒しても、何の意味もない戦いになる場合もあるからである。
「見ても俺にゃ、価値なんてわからんからな」
ガハハッ、と大声で笑うザーランドに呆れることしかできないクリフ。
そして、支払うお金の用意を始めた。
「まぁ、そんなことはいいとして。クリフ、相談事なんだが」
急に神妙な雰囲気に変わるザーランドに自然と目線がそっちを向く。
「Lv.7のダンジョンでこいつを見つけたんだ」
ザーランドが荷物から出したのは紫色をした結晶。しかし、その透き通った色の奥にはなんとも不思議なエネルギーが流れていた。
「これは……魔法結晶ですね。でも、見たことない」
初めて見るタイプの魔法結晶を珍しそうに手にとって見ていたクリフは突如、意識を結晶へと吸い込まれた。
結晶が映し出したのはかつての自分。
燃え盛る火の海をただ眺めることしかできなかった幼き日の自分。
自分の家も、友人の家も、知り合いの家も全てが燃えている。
悲しみ。ないわけではなかった。しかし、それより ももっと大きいのは怒り。
父と母を。そして故郷を消したあの冒険者が憎い。
奴にいつか復讐を……。
「うごっ!」
クリフは我に返ったと同時に椅子ごと後ろにぶっ倒れた。心なしか額に激痛が走っている。
「目ぇ覚めたか?」
拳を前に突き出したザーランドがクリフの顔を覗き込む。
「は、はい。おかげさまで……」
額をさすりながらゆっくり起き上がり、椅子を元に戻す。
机に置かれた魔法結晶に目をやるがすぐさま逸らす。
「……これ変な魔法結晶ですね」
「あぁ。恐らく、こいつは触れた者の意識を取り込む魔法結晶だ。てことは、」
「〝誰かが故意で作った〟ってことですね……」
うーん、と腕を組んで考えるクリフは視線を感じザーランドを見る。
すると悪いことをした犬を叱るときの飼い主の目をしたザーランドがこっちを見ていた。
「え?これ僕が疑われてるヤツですか?」
「だってこんなことできるのお前だけだろ?」
数秒の間の後、腕を高速で振って否定するクリフ。
「いやいやいや!出来ませんて、こんなこと!それに自分で作って自分で罠にかかるなんてアホじゃないですか!」
食い気味のクリフの否定を面白そうにザーランドが笑う。
その様子を見て、からかわれたを理解したクリフはがっくりと肩を落とした。
「もぉ〜、やめてくださいよ」
「ま、お前さんはそんな悪人じゃないからな。やらねぇだろうさ」
再度、ガハハッと笑うザーランドに軽い殺意を覚えながら、先ほど用意したお金を渡した。
渡したと同じタイミングで店のドアが開かれた。入り口の鈴が鳴ってクリフは忘れてたように挨拶をする。
「あ、いらっしゃいませ!」
最初に現れたのは青いローブを着て、木製の杖を持った、短い茶髪のメガネ美女。
そしてその後ろから長く美しい金の髪を揺らして入ってきた、軽装な鎧を身につけた美少女。
そんな2人に目を奪われるクリフ。
すると、魔法使いの格好をした方が気がついたのはクリフではなくザーランド。
「なっ!貴様は軍騎、ザーランド・リガーナ!」
それを聞いて後ろの戦士風な格好の美少女も驚いたように目を見開いた。
冒険者の中で少し有名であるザーランドも珍しそうに美女2人を見つめる。
「こんなしょぼくれた店に何の用だ?勇者御一行様よぉ」
「え?……え?」
クリフはザーランドを二度見した。
1度目はこの店のことをしょぼくれたと言ったことに。
2度目は彼女らに勇者御一行と言ったことに。
☆☆☆☆☆
勇者。
それは最もダンジョン攻略に貢献した冒険者に送られる称号。
いわゆる、最強の冒険者の証である。
「この人達が勇者!?」
驚きが隠せないままは2人を交互に見る。
1人は無関心そうな顔をして、もう1人は小首を傾げていた。
「正確に言えば、あの金髪が、だけどな」
「黙れ軍騎!エノ様を〝金髪〟呼ばわりとは、ここで殺されたいか!」
ローブ姿の美女が怒りながらザーランドに杖を向ける。
その様子を見たザーランドも剣の柄を持つ。
ピリピリと肌で感じる威圧と殺気。
そんな、お互いの剣幕が交差する中、勇者と呼ばれる美少女が2人の間に入る。
「……やめたほうがいいよ」
2人を睨みつけるその目はまるで先ほどとは違う鋭さ。
その目に2人はお互いの武器をしまう。
「申し訳ありません、エノ様」
軽く謝罪をしたが、その顔はまだ少し不満げだった。
そんな様子を見て、勇者は軽くため息をつく。
「ったく、そんで何のようなんだよオメェら」
ザーランドが元の話題へと戻し、クリフはすかさず二つの椅子を追加する。
「えっと、鑑定ですよね?」
勇者たちはお互い顔を見合わせると、クリフへ向き直り、こくんと一緒に頷いた。
「合計で250,000$ですね」
「おい」
クリフの鑑定にいちゃもんをつけたのは勇者ではなくザーランド。
「なんでたった3つの結晶で俺とあんま変わんねぇんだよ」
いやそうな顔でそう告げた。
「いやだって、大きさも質も非常にいいですから」
「俺のは悪かったていうのか!?」
「まぁ、ぶっちゃけ」
「くっそぉぉぉぉ!」
強く机を叩くザーランド。
そんな彼を無視し、クリフは勇者たちにお金を渡す。
「これ、お金になります」
「あぁ、助かる。ところで君、名前はなんという?」
お金を受け取ったローブ姿の美女が聞いてくる。
「クリフ・エバートです。よろしくお願いします、えっと……」
「私はシャリア・ティアル。そしてこのお方が、勇者のエノ・フローズ様だ」
「よろしく」
紹介され、2人と握手するクリフ。
笑顔でなんとか誤魔化しているが、クリフの脳内では商売魂が駆け巡っていた。
なんせ、相手は勇者。今回でいい接客を見せれば、勇者がこの店の常連になることだってありうる。そうすれば、噂を聞きつけた冒険者たちがどんどん来て、クリフの店は大反響!と。
考えただけで顔がにやけてくるクリフ。
そんな未来を期待しつつここ一番の勢いで自分の商売道具を広げる。
「さぁ!いろいろな結晶がありますよ、どうぞ!!」
「いや、今回は換金だけだ。それじゃ」
「ありがと」
そう言うと勇者たちは立ってすぐさま店を出て行ってしまう。
取り残されたのはチャンスを逃し、真っ白になったクリフと、いまだに結晶の金額について落ち込んでいるザーランド。
今客が来ても出て行くだろうと言わんばかりの独特な光景がそこにはあった。
☆☆☆☆☆
「クリフ・エバート。顔も名前も一致します。間違いないですね」
「……うん」
人のいない貧乏の集落の静かな場所で、シャリアとエノは話し合っていた。
「でも、信じられない。あの人が冒険者殺しだなんて」
「ええ。確かに、そのようには見えませんでしたが……」
シャリアが持っている一枚の紙。
そこには左端にはクリフの顔写真が貼られていた。
そしてその下には、冒険者殺しの文字が。
「やっぱ、なんかワケありか」
「なっ!?」
空から聞こえた声に2人は反応する。
見上げた先には屋根に立つザーランドの姿。
「てめぇらがこんなところに来ることがおかしいと思ったんだよ」
「貴様……!」
すると、ザーランドは屋根から飛び降り、シャリア達の2mほど前方で着地する。
「悪いがあいつは俺のダチなんでなぁ」
遊ぶように大剣を一周振り回す。
その様子をみて構えるシャリアと、静かに見つめるエノ。
「もし、あいつになんか手ぇ出すつもりなら」
深く深呼吸を一つ。
ほんの数秒の間が異常なまで重々しく感じる。
そしてザーランドは静かに、ただ静かに告げた。
「殺すぞ」
刹那、周囲の空気がガラリと変わった。
その異変を感じた2人は一気に後退をする。
後退と同時にエノは腰につけた剣を抜く。
「あなたとは戦いたくない」
「気が合わねぇな。俺は待ち望んでたけどなっ!」
大剣を片手にエノへと突進していくザーランド。
しかし、途中でその足が止まる。足元に氷が張り巡らされていたからだった。
「エノ様の元に行かせると思うか?」
シャリアの氷魔法。
勇者の右腕とも言われるシャリアは冒険者の中でもトップクラスの魔法使いの1人である。
「轟け雷鳴、【サンダーボルト】!」
足が止まったザーランドに追い打ちをするかの如く、激しい雷撃がシャリアの手から放たれる。
「鬱陶しい!」
向かってくる雷撃を上半身だけで大剣を振り、打ち消した。
そしてすぐさま凍った足元に剣を突き刺す。
一気に割れる氷。自由になった足を確認して前を向く。
しかし、すぐ目の前に表れたのは、全冒険者の中で最強の女戦士。
Lv.18のダンジョンを歴代最速攻略をし、一気に名を挙げた疾風の姫、エノ・フローズ。
視界に入った瞬間、ザーランドの体は後ろに飛ぶ。
細身の剣のひと突きでこの威力。勇者の名は伊達じゃない。
「流石、やりおる」
自分にしか聞こえないくらいの小さな声でそう呟くザーランド。
状況で考えても2対1で不利。さらに相手は勇者とその右腕。
勝てる勝機など全くない。
わけではないのがこの男、ザーランド・リガーナである。
かつては戦の鬼などと言われたほど、豪快で剛腕なこの男は今こそ第一線からは降りたが、その実力は衰えず。
百戦錬磨の強さからついたあだ名は軍騎。
相手が勇者とその右腕だからと言って、唯一この男のみ負けるとは断言できない。
ザーランドはうまく受け身を取ると、立ち上がり、大剣を天高く空に掲げる。
「この軍騎、本気でお相手いたそう」
ニヤリと笑うその顔には重鎮ならではの強さがあり、恐ろしさがあった。
その姿を見て、シャリアとエノは今までより深く構える。
それが本気の表れであるのは言うまでもない。
「いざ!」
両者が踏み込もうとしたその瞬間。聞き覚えのある声がその場の3人に響いてくる。
「待ったぁぁぁぁ!!!」
声と共に間に走り込んできたのは、おんぼろ結晶店の店長であり、この騒動の中心人物。クリフ・エバートだった。
「なにしてるんですか!こんなところで!」
この場には似合わないすっとんきょうな怒り方で来たクリフはそれぞれ3人を睨んだ。
「……あー、クリフあのな、」
「ザーランドさん!あんたは前にも喧嘩で暴れて迷惑かけたでしょ!え、忘れたの!?なに、馬鹿なの!?」
言葉を途中で切られ、押し黙るザーランド。
「それにあなた達も!勇者ならもっと自覚を持って行動した下さいよ!」
ものすごい剣幕で説教をしてくるクリフに、驚いて何も言えないエノとシャリア。
「それに……!こんなところで争われてたら客が来れないでしょうがぁぁぁぁぁ!!!」
その言葉は3人には、客が来ないというクリフの心の叫びに聞こえた。
そして、なによりもとから客少ないじゃんということを3人は心の底にそっと閉じこめておいた。
場所をクリフの結晶店に移動し、3人を椅子に座らせ、再び説教。そして説教。最後に説教。
一通りの説教が終わったころには3人とも疲れきって、うなだれていた。
「で、結局なんで喧嘩したんですか?」
クリフは初歩的な質問を3人に投げかけた。
「なんで、だってよ勇者さん」
ザーランドは質問をエノにパスする。
それを受けたエノはシャリアへ目で合図を送る。
そして、ことの経緯を説明し始めた。
「国からの命令で君を調べるように言われたの。その、君が……」
少し言いずらそうに目線を一度下に下げる。しかし、決心してその続きの言葉を言い放った。
「冒険者殺しの容疑がかかってるから」
エノは真剣な眼差しでクリフを見つめた。
どっち?と聞いているのだろう。
「えーと……」
頬をぽりぽりと掻いて目をそらす。
あれだけ説教をした手前、原因が自分であることに歯がゆさがあったのだ。
その様子をシャリアが黙って見たいた。何かを隠す青年を見て考える。
エノ達は国の人間に、クリフが黒だと分かればすぐに処分しろと命令されていた。
エノもシャリアも国の人間のことはあまり好んではいない。しかし、シャリアは、エノが今後、勇者としてやっていくためには国の人間の言うことを聞いていなければいけないことも分かっている。
たとえ、目の前の青年が善人に見えても、彼が冒険者殺しならば、国のため、すなわちエノのために彼を殺す覚悟はできていた。
そして、シャリアは口を開く。
「クリフ・エバート。もし君が〝黒〟なら私たちは君を殺さなければならない」
少ない時間だが、シャリアはクリフの人間性を見た。
その結果、彼には包み隠さず全てのことを打ち明けるのが最善だと踏んだのだ。
「そして、確かに君には我々に隠すような過去がある。違うか?」
「……はい」
そのことを聞いて、ザーランドは自然と武器へと手が伸びる。しかし、それを前にいたエノに止められた。
「だめ。あなたの出る幕じゃない」
「……チッ!」
その光景をチラリと見て、シャリアは続ける。
「状況的に考えたら君は完全に〝黒〟だ」
シャリアの一言にクリフは生唾を飲み込んだ。
が、シャリアからは全く戦闘の気配がしない。そのことが疑問へと変わる。
すると、その理由を答えるようにシャリアが先ほどの言葉を自ら否定した。
「しかし、私から見て、いや、私たちからみて君はそんなことをする人間には思えん」
クリフは思わず腑抜けた声が漏れる。
てっきりこの場で処刑宣言でもされるのかと思いきや、自分のフォローをしてくれるとは思ってもいなかった。
「実際、我々には証拠がないし君からの自白もない。そこで、提案だ」
その場の全員がシャリアへ注目する。
「クリフ・エバート。君の人間性を調べるために、君には今日から私たちと共に行動してもらう」
突然の提案にクリフとザーランドは口を開けて驚く。そしてエノは、その手があったかと言わんばかりに納得していた。
「共に行動するって、具体的には何を?」
当然の疑問。
それに対し、少し間を空けてシャリアが答える。
「もちろん、ダンジョン攻略だ」