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死の商会の聖骸世界大戦  作者: 黒桜旅団:狂王エノモト
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入学式

 ついに新幹線は止まった。

 ドアが解放され、前のほうから降りていく。俺たちは最後尾なので、一番最後だ。

 結局あの後ほとんど話せなかったよ。トホホ。


「意外と遠かったな。」

「そうだなぁ、最後にこの子が乗って、そこからが長かったな。」


 確かに。彼女が乗ってから、かれこれ二十分は乗っていたのではないだろうか。

というか、今気づいた。


「君の名前聞いてないんだけれども、良ければ聞かせてくれないかな。」


 肝心な彼女の名前を聞いてないことを俺は思い出した。だって、ショックから立ち直るのに時間かかったんだもん。そのあとも普通に気まずかったし。


「いきなりかよ」


いきなりで悪いか。こちとら一度フラれてんだ。今更怖気付くわけないだろ。


「新堂エレナです。以後よろしくおねがいします」


 新堂エレナ。どこかで聞いた気がする。まぁ気のせいか?


「うん、よろしく。」


 やっと扉から出ると、改札口のようなところに出る。俺たちは学生証を提示し、改札口を出る。


「皆さんこちらです。迷わないでついてきてくださいね。」


 乗っていた全員が出たのを確認した高尾先輩が声をかけた。

 アルカナ保有者の引率とは、VIP待遇らしくて悪い気はしない。

 学園側は俺の凄さをよくわかっているようだ。



 連れていかれたのは、Aホールと書かれた場所。

 照明は暗く、これから試写会でも開かれるのかという雰囲気だ。

 

 よく見ると、俺たち以外にも別のグループがいる。

 確かに、さっきの新幹線は俺たちの車両しかなかったし、別グループがいても不思議じゃないか。

 


 俺たちが指定席に座ってから十分ほどたったころ、最終グループがホールに入ってきた。

 ん?最後の三人組の中になかなかの巨乳美少女が、、、、、、、、あ、隣の男にひざかっくんしてる。くそっ、あの男羨ましい!


「お前、そんな憎たらしいって目でどこ見てんの。」


 おっと、獅童に白い目で見られてしまった。よく見たらエレナさんも俺のことをジト目で見ている。

可愛いんだがかなりとげのある目線。

 痛い!滅茶苦茶刺さってる!


 

 ここで、聞きなれたビッグベンのチャイム音。

 サイタマの学校でもチャイムはビッグベンなのか。

 

 舞台袖から数人が出てくる。

 一人の大人と、三人の、あれはアルカナ保有者だな。胸の紋章が各自違う。その中に、俺たちを引率した高尾先輩はいなかった。

 

 その後、さらに二人のアルカナ保有者が出てきた。一人は白髪の背の少し低めの男の人。

 あれで三年か?俺らとほとんど変わんねぇ。せいぜい165cmくらいだろ。

 

 もう一人は車いすの和服を着た女性、、、、、

 

 うわっ何あのひと、超絶美人!エレナさんが霞むくらいの美人さんなんですけど!纏ってるオーラが違う。なんていうか、強烈な中に儚さがあるような、表現が難しい!とりあえずとてつもない和風美人!!


 拙い表現でごめんね!


 白髪の先輩が、和風美人先輩にマイクを渡す。ここで、全体の照明が一斉に明るくなった。


「これより、入学式を開会します。司会は、私伴野京子が務めさせていただきます。」


 凛とした綺麗な声だ。ただ、一歩後ろにいる白髪の先輩の目が怖い。番犬かよあのひと。


「まず初めに、学園長挨拶。園長、お願いします。」


 壇上の男性が立ち上がった。年齢は四十代後半だろうか。髪は黒く、少々の肉がついた身体で、背はそこまで高くない。さっきの白髪の先輩くらいだろう。しかし、しっかりとした、強い雰囲気がある。ここは壇上の先輩方も同じだな。


 白髪の先輩からマイクを受け取り、話し始める。


「みなさんおはようございます。校長の江黒です。私はこの学園の学園長であり、理事長です。そんな私がいつもいつも特区の全生徒に贈る言葉はいつも決まってこれです。“常勝できる人間になれ”。皆さんのような適合者にとって負けるということは死を表します。そんな皆さんにとって勝利とは生きる道なのです。。みなさん、このサイタマは素晴らしい所です。ここで良く学び、勝利を自らでつかみとれるような人間になってください。以上」


 言い終わって校長先生はどこかへ行ってしまった。

 会場は少しざわついていた。


 短いが、芯の通った挨拶だった。

 下手に長ったらしいより全然いい。やはり特区となると教員のレベルも高めなのか?

いや、短いのを強い意志をこめて言うことでごまかしているともとれる。何とも言えんな。

 だが、”死”という言葉を使ってきた。これは、随分とインパクトが強い。現に会場はざわついている。

 まぁこの俺は死などという言葉で怖気づかないがな。

  なんて思っていたら、隣から声がかかる。


「この学園に入った時点で人生薔薇色とか良く聞くけど、そういうわけじゃないって意味なんだろうな。」 


獅童がご丁寧に状況を説明してくれた。


なるほど。今騒いでたのは、人生薔薇色という妄言を信じていた馬鹿どもだったということか。

 何も努力しないで人生薔薇色なんてそんなわけあるか。まぁ俺は生まれた時点で人生薔薇色だけどな。いや、薔薇色通り越して真珠色?


「うわ、二人とも酷い顔してる。その人を馬鹿にしたような顔はあまり出さない方が身のためだぞ。」


  獅童が言ってくる。低脳な奴に呆れている顔というのはそんなに酷いのか。

 てか二人とも?てことはエレナさんも?

よく見ると、エレナさんも人を侮辱するような表情をしていた。

うわぁーこんな表情されたら俺心折れるわ。俺ハートは少し弱めだから。特に美少女には弱い。


「不躾な目線が気持ち悪いです。」


なんか当たり強くない?あぁガラスのハートにヒビがぁ。なんて


「ごめん。おなじ事考えてるんだろうなって思って、ついつい見ちゃったよ。」


 スッと正面を向いてしまったエレナさん。

 もう少しその顔を見て居たかったなぁ。



「次に保有者会議副代表より激励の言葉。」


 京子先輩の形のいい唇が動く。保有者会議、か。確か代表は高尾先輩だったような。

 副代表は、、、、、

 京子先輩からマイクを受け取った白髪の先輩が、教壇に立つ。


「はい、皆さんこんにちは。保有者会議副代表、【死神】のアルカナ保有者、伴野輝御です。〈死の商会〉会長。現三年の中で、最強。それが私です。

 何故最強かは、今は置いておいて、皆さんには期待しているということをまず始めにお伝えいたします。

 皆さんは金の卵だ。可能性は無限大です。私たち上級生は、君たちの成長を全力で応援させていただきます。

 この中にはアルカナに選ばれる人も出てくるでしょう。しかし自惚れず、そこからさらに上を目指してください。我々は頂点でお待ちしています。」


へえ、あの人、ただの番犬じゃなかったのね。学園最強か。その称号、いずれ俺の物になるんだろうな。


「さて、ここまで話しましたが、内容は学園長とまるかぶりでしたね。ここからが私の本当の言葉です。耳かっぽじってよく聞け。」


ん、話し方が変わったか?


「この学園は狙われている。」


ざわめきが再び起きる。


「未曾有の大災害からもう二十年以上が経過した。あの災害で全てが変わった。

 イギリスはドイツと共謀し、EU諸国を抱き込み、新ブリタニア連合国を樹立、アメリカはカナダ、メキシコを吸収し、南米を制圧した。今じゃ大帝国。ロシアも周辺の国を迎合し、新ソ連を立ち上げた。中国だって東アジア諸国に戦争を仕掛け、全てを奪い去っていった。

世界で残っている小国は、既に日本だけなんだよ。」


 これは中学で学んだ歴史。大災害はそれまでの生活を全て壊した。


 無限のエネルギーを生み出すクリスタルは、世界が注目した。全世界が、クリスタルの占有に走り、奪い合いが起きた。幸いにして、早い段階でクリスタルの量産方法が確立したので、世界大戦とは言い難いほどの小規模に収まったが、クリスタル研究者、クリスタル適合者の誘拐、拉致は日に日に増えていった。


「中学で習っただろうが、十年前、日本も一度攻められた。政府が外交で失敗してな。ブリタニアに、攻め入る口実を与えてしまった。」


 確か、左派の山越辰郎と呼ばれる人が首相だった時だ。こちらが武力を持たなければ、敵もこちらを攻めないとか言っていた気がする。


「その時、日本は甚大な被害を受けた。クリスタル研究者は殆ど殺され、無関係の市民も少なからず殺された。この中にも家族を失ったやつがいるだろう。」


 あの時、日本の中枢だった東京は、壊滅したんだ。


「それから日本は、俺たち適合者や、研究者を守るため、この軍事都市サイタマを作り上げた。厳密にはコウベも軍事都市となったが、規模はサイタマの方が圧倒的だ。

 正直、ここまで聞けばわかるだろう。敵国からしたら、格好の的なんだ。だから、狙われている。君たちも彼らの拉致対象に入っているだろう。適合者は世界人口の約三割程しか居ないからな。

 だからこそ、君たちは自分の力を鍛え上げろ!自分を、いや、今周りにいる皆を守れる人間になれ。無限の可能性を持って、君たちは成長しなければいけない。その義務がある。」



 皆を守れる人間、、、、。上等だ。エレナさんや獅童、その他大勢皆俺が守ってやる。俺こそが最強になってやる。

タイトル付けって難しいですね。毎度考えちゃいます。まぁ安直な結果になっているのですがw

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