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死の商会の聖骸世界大戦  作者: 黒桜旅団:狂王エノモト
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入学式の朝

2125年 4月1日


 青春

 ああ、青春とはかけがえのないものだ。

 誰かが、「青春とは嘘であり、悪である」と言った。

 そうであろう。青春とはそのようなものを含んでいる可能性はある。

 だが、私はもっと楽観的に、かつ希望的観測でこの青春というものを見てみたい。

 何故なら、これから自身で味わうのだから。



よし、いい感じにまとまった!


 高校入学当日の早朝、俺は早く起きてしまった時間つぶしに、少々のポエムを書いた。

 いや、ポエムと言っていいのだろうか。そんなにロマンチックじゃない。

 いうならば作文?いや、そんな長さはない。

 ま、いいや。今日から俺の青春が始まるのだから、もっと気楽にいこうじゃないか。

 

 セットしておいたアラームが鳴る。予定していた時間になったようだ。

 軽い作文もどきも時間つぶしにはなったな。


 かけてあったブレザーをキッチリと着る。

 黒主体で、胸に校章が主張しすぎない程度に収まっている。無難なデザインだが、嫌いじゃない。むしろ好きな部類だ。

 すでにシャツとネクタイは着用済みである。伊達に時間潰してたわけではない。準備は万端だ。

 

 自室から出て、階段を下りる。リビングで、母さんがご飯の用意をしていた。

「おはよう」

「あら、随分早いのね」

 朝の挨拶。まぁ確かにいつもの俺と比べれば早い。

 だが、入学式の朝が早いのは全国の学生に言えることだろ。普通だフツー。なんて考えていると、サンドイッチが俺の前に置かれた。具は俺が好きなたまご。


「そういえば今日からだったわね。問題起こしたりするんじゃないわよ」

「わかってるよ、そんな変なことするわけないじゃないか。」

 もちろん、希望にまみれた高校生活をどぶに捨てるような馬鹿な真似はしない。せいぜい絡まれたら死なない程度に叩きのめすくらいだ。


「どうだか。」

 信用ならないという目を向けられた。そんな母さんに抗議するような目を向けながら、俺はサンドイッチを平らげた。


「いってきます!」

 真新しいローファーを履き、家を出る


「気をつけなさいよ~」

 母さんの言葉が背中にかかる。親心とかいうやつか。

 なんだかんだ言ってめっちゃ心配してくれてんだろうなぁ母さん。あんまり心配かけないよう振る舞わなければ。



 俺の家は駅から徒歩三分の好立地にある。これは駅があとから作られたからの好立地。


 もともと駅からかなり遠く、不便だったこの地区は新たに駅を建てるにあたって、地元住民からは一切異論反論がでなかったことで有名だ。

 まぁちょっとした田舎だし、環境が整っていくのを嫌がるやつなんざいないだろう。いても口に出してしまえば周りの人から白い目で見られる。よくも悪くも村社会ってやつだな。


 さて、そんなこんなで駅に到着。うむ。やっぱり三分って近いわ。

 駅舎の階段を勢いよく駆け上がっていく。人の多きこの時間、電車はとても混んでいるだろう。だが俺がこれから乗る車両は、そんなことはない。

なぜかって?原因は俺の行く学校にあるのさ。



国立黒桜学園

 大災害から間もないころに制定された【特別教育推進法】によってできた特区、政令軍事都市サイタマに存在するたった一つの教育機関。

(因みに、【特別教育推進法】によってできた特区は関西にも一つだけ存在する)

 日本全国から、クリスタルを移植できる身体を認められた人間のみを集めた、超エリート校。

この学園に入学を許されたという時点で、人生が薔薇色になるともいわれている。


 クリスタルを移植された人間は、体内に魔力を生成することができるようになる。

さらに、一人に一つ、何かしらの異能力が開花し、魔力を使うことにより、その能力を使うことができるようになるのだ。



 さて、ここで話を戻そう。なぜ、俺は満員電車のおしくらまんじゅうを喰らわなくてすむかという話だ。


 それは、特区サイタマという点だ。サイタマに行くには、”政府運営の特別車両”に乗る必要がある。


 この車両には学園関係者しか乗ることは許されておらず、政府の人でも、かなり面倒な手続きが必要になるといわれている。

 俺はこの車両に乗る。だから、満員電車なんてのは無縁なのだ。

 くっくっく。国の援助って最高だわ。


 俺は駅員さんに学生証を見せる。すると駅員さんの顔が少し緊張した面持ちに変わった。

「こちらへどうぞ」

 どうやら事務室に連れていかれるようだ。

 俺なんかやらかした?いやいやなんもやってない。とりあえずでついていく。


 事務室に入ると、駅員さんは本棚をずらし始めた。

「私も学園の子を案内するのは初めてでして、少々お待ちください」

 やっとのことでずれた本棚の下にあったの地下への階段だった。やべぇこんなん実在したのか。初めて見た。


「さぁ、この先へどうぞお進みください。この先で専用車両が待っています。」

「ありがとうございます。行ってきます」

 駅員さんは笑顔で送ってくれた。


次は列車の中のお話です。

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