新歓パーティ
「さて、行くか。」
待合室の端にあるエレベーターの前に立ち、輝御先輩は言った。
エレベーターは医療器具や研究用機械などの搬入のため、かなり広く作られていた。その中に一応30人全員がはいることができたが、満員電車のような状態になった。
最後に先輩が入るときに、実体を持った黒い影が男子と女子を触れさせないように間に入った。
「痴漢が起こってこの後の仲に響いたらアレだからな。」
どうやら先輩が魔力で作った軟体の壁らしい。ん?なんで俺これの正体が魔力だってわかったんだ?
そんなことを考えていると、エレベーターは動き出した。
今いるのが地下1階だ。で、今から行くのは2階らしい。
ものものしい音を立ててエレベーターは上がっていく。
うーん。これ人数制限オーバーしてるんじゃね?
2階についたようで、エレベーターが開いた。そこは、、、、、、、、、、、、、、、、、
「「新入生いらっしゃい!」」
結婚披露宴に使われるようなホテルの大部屋みたいな空間だった。
そこに響く先輩方の声。
先輩方は奥のほうのステージらしきひな壇の上にいる。
そこまでの間には、沢山の料理や飲み物が置かれた丸テーブルがある。
、、、、、、、、、。ホントに結婚披露宴みたいな会場だな。
「おいお前ら。突っ立ってねぇではよ席座れ。」
先輩に言われて、各々テキトーな椅子に座った。
てか俺ら輝御先輩に言われて動いてばっかだな。新入生だからしょうがないか。
「さて、みんな座ってくれたようだね。じゃぁ始めようか!黒桜新歓パーティを!」
ラフな格好をしたイケメンな先輩が壇上で言った。
言い終わったところで、左右にいた先輩たちが大きめのクラッカーを放った。普通のより大きかったからかなり広がったな。
こんな感じの盛り上げ方は嫌いじゃないぞ。
「まずは俺たちから自己紹介をさせてもらうよ。俺は3年の中林龍弥!杖のアルカナ序列1位で、いつも輝御君達と最前線で戦ってます。趣味は彼女と遊ぶこと!みんなよろしくね!ハイ次、司!」
杖のアルカナ序列1位?序列ってなんぞや。まぁ強いってことなんだろうな。そのくせリア充か。ただ面倒見は良さそうだな。
リア充ってところを除けばいい先輩だな。
マイクを渡されたのは大柄なでっかい人。腕太いしメチャゴツい。
巌のような人だ、、、、、。ただ着てるTシャツがやばい。
白い下地にクマさんのアップリケ。なんだそのギャップ。
「上野司3年、剣序列4位。最前線。趣味時代劇。」
声低っ!怖っ!短っ!しかも趣味が時代劇とか渋すぎだろ!
てか剣序列4位ってこの人も猛者か。やっぱ最前線出るクラブは実力者ぞろいだな。
「司短いよ!補足すると、この司先輩が君たちの訓練を見てくれるから、仲良くしてあげてくれ。ハイ次、菊花ちゃん!」
まじか。この人が訓練見るのか。少し怖いな。ん?けど司先輩少し顔赤いぞ?もしや恥ずかしいのか!?なんというギャップ乙男。
さて、次にマイクが渡ったのは目つき鋭い女の先輩。
ヘソ出しシャツにジーパン。胸はなかなか大きい、、、。
うーむ。エロいですなぁ。。。
「斑鳩菊花だ。剣序列2位で、この二人と同じく最前線で戦っている。京子とは中学からの親友だ。貴様らが京子を傷つけることができるとは思えないが、もしなにかしたならば自分がお前らを裁くから覚悟しておけ。」
「京子さんのことに関わらず、なにかしらの問題を起こした時は菊花ちゃんに叱られると思って行動してね。」
「おい龍弥!さっきから私のことをちゃん付けで呼んでるがやめてくれ!人前だと恥ずかしい、、、、、。」
語尾がだんだんと弱くなっている。うん、菊花先輩、龍弥さんには弱いのね。
というか今気づいたが、京子さんどこ行った?かなり前からいなかった気がするが、そういえば輝御先輩もどこにもいない。
二人で何してるんだろうか。まさかあんなことやこんなことを、、、、、。
「お前また顔赤いぞ。なぁに考えてんだ?おいらにも教えてくんろ?」
またお前かデコ。そういえば隣に座ったのお前だったか。
「なんでもない。というか先輩の話しっかり聞け。」
「ふふっ、聞いてなかったんはそっちだべよ。」
ちっめんどくさいやつめ。
舌打ちで返して前を向いた。デコはニヤニヤと俺を見てから前に向き直った。