一緒
学校の昼休み、喉を潤すために自販機に向かって歩いていた。
風が吹き落ちた桜が空を舞う。
桜を目で追うと、そこには空を舞う桜を見上げているアイの姿があった。
学校でアイの姿を見るのは初めてだった。
バイト先の喫茶店には時々制服で来ていた。
風の音、木の幹が揺れる音、男女の話し声様々な音が彼女を引き立てているようにも聞こえた。
僕に気づいたアイは小走りで駆け寄ってきて、
「優くん、学校で会うのは初めてだね」
ニシっと笑顔を向け言った。
コミュ障の僕はどう答えたらいいのかわからずに、テンパりながらもなんとか答えを絞りだした。
「いい天気だね」
(ナチュラルに言えたかな、大丈夫かな。)
何かを察したようにアイは、ふふっと笑い
「大丈夫だよ、そんなに緊張しなくても」
あははっと愛想笑いを返し、話が途切れた。
バイト中は仕事の話をちょこちょこと話す程度なので、そこまで親しくない。
(なにか話した方がいいのかな。話題..話題....)
沈黙を破ったのはアイだった。
「今日ってバイト会えるよね?」
「えっあっうん」戸惑いながらも答える。
「じゃあさ一緒に行かない?」
なんだか今日の僕はリア充(辞書的な意味で)になっていた気がした。
学校が終わり次第、玄関で待ち合わせをした。
チャイムが鳴りすぐに玄関に向かったが、僕が着く頃にはもうアイは待っていた。
「はやいね」
「そんなことないよ」
太陽はまだ明るく青々とした空だったが、僕の中は、オレンジ色の空だった。
部活動の声を背にし、バイト先の喫茶店に向けて2人で歩き出した。
黒い影が動いているのにも気づかずに、、、




