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帰宅


コーヒーの香りが店内に広がる昼のひと時。

お客さんもまばらに入り、ゆったりとした時間を過ごしていた。


「そういえば2人は同じ学校なんだね」


大学生の東山咲さんがテーブルから上げてきた食器をカウンターの中に渡しながら言った。


「「えっ」」


一瞬の静寂が訪れる。


「もしかして知らなかった?履歴書を偶然見えちゃって」


僕とあいは、お互いの顔を見合わせ


「優くんは何組?」

「C組。あいは?」

「A組」


A組は偏差値が高く、僕とは無縁の領域のクラスだ


「クラスが違うなら知らないのも当然ね」


咲さんは腕を組みながら、うんうんと頷いていた。


カランカランとドアの鈴がなる。


「いらっしゃいませ」


お客さんが来店した。



「ただいま」

家に戻ると妹が玄関に走ってきた。


「おにいちゃん、なんで最近帰りがおそいの」

妹は頬を膨らませ、不満げに言った。


特に言う事もないと思っていたので、バイトをしていることは誰にも話していなかった。


「バイトだよ」


妹の顔が固まった。


「えっうそでしょ。お兄ちゃんが....あの引きこもりニートで友達もろくにいなかったお兄ちゃんが....」


妹に胸をえぐられる事をさらりと言われた気がするが置いておこう。

こんな僕がお兄ちゃんでごめんなさい。心の中で、深々と頭を下げ謝った。


「どこでバイトしてるの?」


「近くの喫茶店」


妹はモジモジし始め


「そこって女の人もいるの?」

最後の方はほとんど聞こえなかった。


「いるよ」


僕の返事を聞くとプイッと顔を背け、僕に聞こえない声で「なんで、そんなとこえらんだん」


「えっなんて?」


「なんでもない」と言い放ち自分の部屋に行ってしまった。


「なんだよ、あいつ」


喉を潤して、部屋に戻る前に妹の部屋の前を通ったが、物音一つ聞こえなかった。


これ以降妹は、外に出る際どこに行くのか聞いてきたり、一緒に出かけることが多くなった。

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